「お坊さん便」運営のみんれびが10億円調達、仏事にまつわる情報の透明化を目指す

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会社でも個人でも何か商品やサービスを購入する時、見積もりや価格を比較検討するだろう。ただ、葬儀の場合は見積もりを細かく比較するという概念はないかもしれない。大切な人が亡くなったという時に、見積もりを比較するという作業が冷静にできるとも思えない。みんれびは、定額の葬儀を提供することで葬儀にまつわる情報の不透明さを解消しようとするスタートアップだ。みんれびは本日、シリーズCとして総額10億円の第三者割当増資を実施した。引受先には既存投資家のグローバル・ブレイン、三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルに加え、新たにグロービス・キャピタル・パートナーズ、Spiral Ventures Japan、みずほキャピタルが加わった。10億円のうち1.5億円が日本政策金融公庫からのデットファイナンスだ。また、2017年4月1日付でソフトバンクで社長室長を務めた嶋聡氏が社外取締役に就任することも発表している。

みんれびは2009年3月に設立し、2014年3月にシリーズAで数千万円、2015年7月のシリーズBで2.9億円を調達している。今回の調達額を含めると、累計調達額は12.9億円以上となる。

みんれびは創業当初、歯医者や占い、ゲームといった分野のレビューサイトを運用していた。そうしたレビューサイトを運営する中で、葬儀に関連した情報が透明化されていないことに気づき、葬儀関連サービスに参入を決めたとみんれび代表取締役の芦沢雅治氏は説明する。

2013年5月、単発で僧侶に法要や読経を依頼できる「お坊さん便」のサービスを展開を開始した。2015年12月にはAmazonマーケットプレイスにも出品したが、このサービスは仏教界で波紋を呼ぶこととなった。仏教界の連合組織である全日本仏教会は、2015年12月24日にリリースした声明で「お坊さん便」が宗教をビジネス化していることに対して異議を唱えている。

私ども公益財団法人 全日本仏教会は、宗教行為としてあるお布施を営利企業が定額表示することに一貫して反対してきました。お布施は、サービスの対価ではありません。同様に、「戒名」「法名」も商品ではないのです。

一方で、これまでお寺との関わりがなかった人や檀家ではない人にとっては僧侶に法要を依頼する方法やお布施にいくら包むべきか分からないといった悩みがある。また、現場の僧侶にとっても人々とお寺との接点が少なくなり、檀家が減っているという状態だ。みんれびは既存のプレイヤーをディスラプトするということではなく、現実的な手法で業界の非効率性を解決していくことを目指していると話す。そうして取り組んだ結果、カスタマーから問い合わせ件数も「お坊さん便」に登録している僧侶の人数も増えているそうだ。現在およそ700名の僧侶が登録しているという。

2013年8月からは定額で葬儀が挙げられる「シンプルなお葬式」の提供を開始している。通常、葬儀の相場は100万円から200万円くらいだが、葬儀は高額にも関わらず、見積もりを取ったり、金額の内訳を知ろうとしたりする人は少ない。みんれびによると、2014年、国民生活センターには724件の葬儀トラブルの相談が寄せられ、その内205件が「高価格・料金」に関する相談で、それに続いて「説明不足」「契約」「見積もり」といった内容の相談が多かったという。「シンプルなお葬式」は一律価格の葬儀を提供することにより、情報を透明化し、ニーズの不一致の解消を目指している。最も基本的な火葬式だと14万8000円、身内だけで執り行う通夜と告別式の家族葬は39万8000円だ。

これだけ低価格で葬儀を提供できる理由の1つは、ネットが窓口になっていて店舗を運営するコストがかからないからだ。もう1つは、そもそも葬儀社は1年の3分の1ほどしか稼働していないため、みんれびは多くの葬儀社と提携し、彼らの稼働していない空き時間を活用できるようにしているためと芦沢氏は説明する。現在みんれびは全国500社の葬儀社と提携しているという。

この分野には他にも葬儀のオーダーメイドプランを提供するYahoo!エンディング定額葬儀の「小さなお葬式」を提供するユニクエスト・オンラインなどが参入している。

今回調達した資金は、マーケティングとサービスを拡充するための人員拡大に充てると芦沢氏は説明する。残される家族のことを考え、自身の葬儀や相続の準備を始める「終活」が昨今広まっているが、そうしたこれからのことを考えている人に役立つサービスを展開していきたいと話す。「シンプルなお葬式」に来る問い合わせの2割は親族が亡くなってすぐに葬儀を執り行いたい人たちだが、残り8割は事前検討層なのだという。そうした人に、例えば相続や保険といった分野のサービスを提供することを視野に入れている。「今後高齢化社会が進みます。みんれびでこの先やるべきサービスや施策は見えていて、それを実現するために仲間を増やしていきたいと思います」と芦沢氏は話している。