樹脂硬化
ホログラフィー

ホログラフィー技術を使い、数秒で成形が終わる3Dプリンター

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3Dプリンタはいろいろな意味で有用なデバイスだが、その多くは重大な問題を抱えている。とにかく何を作るのにも長い時間がかかるということだ。これは、主に顕微鏡レベルの薄い層を少しずつ積み重ねていく、追加型の加工方式のせいだ。しかし、新しいホログラフィ印刷技術を使用することで、一遍に全体を作り上げることが可能になる。しかも所要時間はわずか1、2秒だ。

一般に光ベースの3D印刷技術は、樹脂の層をパターンに沿って硬化させるためにレーザーを使用しているので、フィラメント射出型のプリンタと同様に、一層一層作り上げて行く必要がある。レーザーが液状の樹脂を貫通することで、貫通した光の道筋に沿って硬化した構造が出現する。

しかし、もし単体では硬化を行えないほど弱い複数のレーザーを使い、それらの光がすべて交差する場所で、初めて樹脂が硬化するようにしたらどうなるだろうか?それこそが、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の研究者たちが率いるチームによって、開発された技術である。

この基本的な考え方は、既に多くの他の領域で使われてきたものだ。光、音、または放射線などの弱いビームを慎重に重ね合わせることによって、他の領域にほとんど影響を及ぼすこと無く、選択した領域内に臨界量を超えるエネルギー照射を行うことが可能になるのだ。

今回の場合は、3つのビームが、硬化が必要な正確な地点だけでお互いに重なって、形を作り出すように、注意深くパターンが調整されなければならない。そして1度そのパターンが設定されれば、樹脂を硬化させ、取り出して使える状態にするプロセスを実際に完了するのに必要な時間は、ほんの数秒となる。このような試みを行ったものは、他にもあるが、今回のような完全な3D構造を作ることに成功したものはなかった。

論文から引用したこの図は、レンズとホログラフィックの設定と共に、この技法を使用してプリントされた形状のいくつかの例を示している。

この手法には沢山の利点がある。例えば、ギアボックスの中のギアのように、他の構造物の中で自由に動く構造物を作り出すことが可能だ。オーバーハング(せり出す部分)の下に支えるためのサポート材も不要である。そのため、下から上、あるいは上から下に向かってプリントしていくのが非常に難しい、あるいは不可能な形状をプリントとすることが可能だ。また、複数の構造物を同時に素早く印刷することもでできる。例えば沢山のサイコロを一度に作ったりすることもできる。

現段階では、ほとんどの市販の3Dプリンタから出力されるものと比べて、仕上がりはやや粗雑なものに留まっているが、これは計画通りだ。まずは実験室内での概念的実証実験が行われたということだ。

リード研究者のMaxim ShusteffはTechCrunchに対して「今回の実験では、とにかく3Dを一度に成形できることを、まずはきちんと示すことを優先しました」とメールで返信してきた。「したがって、ビルドパフォーマンスを評価するための様々な指標(速度、構築サイズ、解像度、複雑さ)のいずれも、今回は追求の対象になっていません」。

結局のところ「解像度」は、確実に硬化できる最小樹脂サイズによって決定されることになるが、これには多数の化学的および光学的要因が関わる。それがどれ位の解像度になるのかを予測するのは、時期尚早だが、少なくとも現段階で得られている結果から言えることは、既存の3Dプリンターが実現できている複雑度に到達できることは、確実だろうということだ。

Shusteffと、そのLLNL、MIT、バークレー、ロチェスター大学の仲間たちは、このとても有望な技術の開発を続けたいと考えている。商用への応用はまだまだ先だが、物体を(数分や、しばしばみられる数時間ではなく)数秒で生み出す3Dプリンターに、興味を持つ人びとが出てくることは間違いない。

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(翻訳:sako)