ZEALS

会話でニーズを“あっためる”、チャットボット広告のZEALSが4.2億円調達

次の記事

AppleのHomePod発売直前試用レポート

チャットボットを利用した会話広告サービスを展開するZEALSは1月29日、JAFCOフリークアウト・ホールディングスを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は4億2000万円だ。

ZEALSが提供する「fanp(ファンプ)」は、チャットボットを利用した会話型の広告出稿サービスだ。通常では、Facebookに出稿したインフィード広告をクリックすると、より詳細な内容を説明するランディングページ(LP)に遷移することが多いと思う。

一方、fanpでは広告をクリックするとLPに飛ぶ代わりにFacebook Messengerのチャットボットが立ち上がる。ユーザーはそのチャットボットとの会話を通じ、広告を出稿した企業のサービスや商品の理解を深めるというわけだ。そのような会話内容の“設計”はZEALSが行う。

チャットボットとの会話は自然言語処理を駆使したフリー形式ではなく、あらかじめ用意された選択肢をタップして会話していくタイプだ。ZEALSは元々ロボットの向けの会話エンジンを作っていた企業なので、自然言語処理には長けている。しかし、ユーザーの離脱率をできるだけ低くするという目的から選択型のチャットボットに決めたそうだ。

「はじめは自然言語処理を利用したチャットボットもテストしたが、ユーザーがボットと2回も会話することなく離脱してしまうことが続いた。今は、個人情報の入力などを除き、ほぼすべての入力を選択形式にしている」(ZEALS代表取締役の清水正大氏)

fanpには顧客情報を管理するCRMもあり、ダッシュボードからユーザーの会話内容やデモグラフィック・データを確認することができるようにもなっている。

fanpのCRM機能

それでは、会話広告の威力とはいかほどのものなのだろうか。ZEALSが独自に調査したところによれば、インフィード広告とLPの組み合わせで出稿した場合のCVR(コンバージョン率)は0.8%だったのに対し、会話広告ではその約7倍にあたる5.7%だったという。

清水氏はこの結果について、「入力された検索語をもとに表示されるリスティング広告では、ユーザーのニーズが明確だ。一方、インフィード広告ではユーザーのニーズがまだ“あったまって”いない。会話広告では、まだ顕在化していないニーズをチャットボットとの会話と通してあっため、商品やサービスの理解を深めることができる」と語る。

また、一度ユーザーが離脱してしまったとしても、fanpはその後も継続してユーザーに働きかける。なかには、追加的な会話によって初回から半年後にコンバージョンした例もあるそうだ。

2017年5月にリリースしたfanpは、これまでに味の素キャリアデザインセンターインベスターズクラウドなど数十社を顧客として獲得している。業種としては、人材、保険、不動産など高単価サービスを提供する企業が多いのだという。よく考えてから購入を決めるタイプの商品・サービスと会話は(たとえそれがボットとの間のものでも)相性が良いのだろう。これまでに解析した会話データは4200万件を超す。

fanpを利用した広告出稿には、広告出稿費(最低150万円〜)、システム利用料、会話量に応じた従量課金料金がかかる。

ちなみに、ZEALSはもともと、メディア向けチャットボットサービスの「fanp」と企業向けの会話広告サービス「fanp Biz」の2つを提供していた。しかし、その後同社は会話広告サービスにリソースを集中させると決断。現在はかつてのfanp Bizをfanpという名称で提供している。やっぱり広告の方が儲かったのだろう。

ZEALSは今回調達した資金を利用して、チャットボットとユーザーの会話をデザインする「コミュニケーション・デザイナー」の採用を進めるという。TVCMや雑誌広告などは専門のクリエイターがクリエイティブの企画設計を行う。それと同じように、チャットボットやロボットとの会話の設計にも専門的な人材が必要になる社会がくる、というのが清水氏の考えだ。

ZEALSは2014年4月の創業。2017年5月には約8000万円の資金調達も実施している。

ZEALS代表取締役の清水正大氏