電話予約や紙のカルテが不要に――美容師のカルテ管理アプリ「LiME」が7000万円調達

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美容師のカルテ管理サービス「LiME(ライム)」を提供するLiMEは2月7日、「@cosme」などを運営するアイスタイルを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は7000万円だ。

LiMEのメンバーら。写真一番左が代表取締役の古木数馬氏

腕の良さそうな美容院をネットで探し、電話で予約する。その際、「ご希望の担当は?」と聞かれるが、初めてで誰がよいのか分からないので、「空いている人で」と言い返す。そんなやり取りがなくなるかもしれない。

美容院で扱う顧客カルテとは、顧客の髪質や過去の髪型を書き留めておく書類のことだ。通常、そのようなカルテは紙で保管されており、人気の美容師であればあるほどその数は膨大になる。

LiMEを使うことで、美容師はその顧客カルテをスマホアプリで管理することが可能になる。アプリなので顧客の検索も簡単で、スマホで写真をとってアップロードすれば過去の髪型もすぐに見返すことができる。また、LiMEは予約管理ツールとしても機能する。受付のPCから予約情報を入力すると、美容師がもつアプリに搭載されたカレンダーにもリアルタイムで予定が反映される。

LiMEは今回調達した資金を利用して、美容師に通う一般ユーザー向けに予約アプリ「STEKiNA」の開発にも着手する予定だという。STEKiNAとLiMEの予約台帳は一元管理される予定で、このアプリが完成すれば、ユーザーはわざわざ美容院に電話連絡をしなくても、アプリ上のカレンダーにある「空き」の部分に予定を入力するだけで予約できる。

また、このアプリはお気に入りの美容師を見つけるための手段にもなる。美容師と一括りに言っても、それぞれが得意・不得意の分野をもっている。ある人はカラーやショートヘアーが得意な一方で、ある人はパーマやロングヘアーが得意といった具合だ。STEKiNAは美容師専門のSNSのような要素もあり、美容師が過去に手がけた髪型や日々の仕事の様子などを投稿することができる。それに加え、ユーザーからのレビュー機能も追加される予定だ。

ユーザーはそれを見て、自分がなりたい髪型が得意そうな美容師を見つけ、そのままアプリでその美容師のスケジュールをチェックし、予約することも可能になるという。

「ユーザーがInstagramを通して(美容室ではなく)美容師を探すという例が増えている。従来のサービスのように事業体である美容室に光を当てるのではなく、個人である美容師に力を与えるようなサービスを作りたかった」と、LiME代表取締役の古木数馬氏は語る。

美容師から起業家へ

ちなみに、古木氏は現役の美容師だ。平日は起業家としてサービスを開発するが、週末には今も美容師としてハサミをもつ。スタートアップ業界とは無縁だったという古木氏が起業するきっかけになったのは、彼が経営する美容室にたまたま通っていたツクルバ代表取締役の村上浩輝氏との出会いだった。

古木氏は美容師として働くうちに、美容業界が抱える課題を認識するようになったという。しかし、その具体的な解決方法を見出すことはできずにいた。「浩輝さんの担当として髪を切っているとき、どんなわけか、僕が胸に抱えていたモヤモヤを話すことがあった。それを聞いた浩輝さんは、その解決策の1つとして『起業』という手段があることを教えてくれた。その言葉を聞いたのは、それが生まれて初めてだった」と古木氏は語る。

起業を決意した古木氏は、これから手がけるビジネスについてのイメージを固め、ピッチイベントにも参加した。でも結果は惨敗で、「ボコボコにされてしまった」(古木氏)。ビジネスについての知識の無さを痛感し、そこから猛勉強を重ねたという。

そして2016年4月、LiMEをリリースした。サービスリリースから約1年半がたった今、LiMEに登録した美容師の数は9000人に拡大している。古木氏は、LiMEはまだ大々的なPR活動を行っておらず、この数のユーザーを集められたのは美容師間の口コミの効果が大きいと話す。美容師である古木氏は、美容院の現場で実際に働く人々の目線でこのサービスを作った。だからこそ美容師たちに受け入れられ、口コミが生まれたのかもしれない。