2017年以降、ICOを通した資金調達額はVCラウンドによる調達金額の3.5倍になった

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編集部注:本稿は、Crunchbase Newsでベンチャーキャピタルとテクノロジーの動向を伝えるjason Rowley氏が執筆した。

我々の予測では、2018年、ブロックチェーンおよびブロックチェーン関連企業が従来型ベンチャーキャピタル(VC)ラウンドを通じて調達する金額は、2017年の最高値を上回る勢いであることがわかった。

2017年に記録されたベンチャー投資額は9億ドルを超え、2018年の最初の2カ月間でわかっているだけでも3億7500万ドルを超えているとは言え、コンバーティブル・ノート、シード、エンジェル、シリーズA、シリーズBなどといった従来型のVCラウンドは、ICOの取り扱い高の影に隠れる形になっている。

これを読まれているということは、みなさんは少なくとも新規仮想通貨公開(ICOのほうが通りがよいかもしれないが)について聞いたことがあるだろう。従来型のベンチャー投資家でなくとも、すでにそこへ投資されているかも知れない。

ビットコインとその後続の仮想通貨の多くは、そもそも中央銀行や信頼できる第三者機関に依存した貨幣制度の転覆を目的としていた。だから、暗号マニアが、昔ながらの銀行文化や信頼にどっぷり浸かった古い投資プロセスを経ない仕組みを編み出したことは、さして驚くには当たらない。

むしろ注目すべきは、ICOがブロックチェーン・スタートアップへの投資を支配するようになり、この新しい投資方式に大量の資金を流入させるアイデアを発見する時期がどれだけ早いかだ。

ICO:件数は少ないが取り引き額はVCを超える

Crunchbaseの集計では、2017年から2018年の最初の2カ月間が経過した本記事の執筆時点で、VCラウンドと、自社のビットコインイーサリアムブロックチェーン暗号通貨、および仮想通貨カテゴリーで行われたICOの総数は527件となっている。

下の図は、従来型のVCとICOのラウンドの割合を示したものだ。

少なくともCrunchbaseの資料によれば、過去14カ月に行われたICOの件数は、ブロックチェーンおよびブロックチェーン関連企業の発表によるVCラウンドの数を下回っている(ほぼ半数)。

しかし、件数は少ないながら、ICOによる投資は、平均して、一般的なベンチャー投資ラウンドよりもずっと多くの資金を集めている。下の図は、判明している範囲内での、VCラウンドとICOの調達資金を比較したものだ。

この14カ月で、ブロックチェーンとその関連スタートアップは、全世界で従来型のベンチャー投資ラウンドを使って1300億ドル近くを調達している。しかし、Crunchbaseの調査によると、ICOが集めた資金は4500億ドルに迫っている。

上に示したICOのデータについては、この記事の最後の注意書きを読んで欲しい。

初期段階からレイターステージのようなICO

ブロックチェーンのスタートアップは、最初の外部投資ラウンドをICOで受けることが多いが、規模からすると、とてもシードラウンドとは思えない。まるでテクノロジー・グロース・ラウンドの最終段階のようだ。ここに、Crunchbaseの調査に基づく2017年に成立した、もっとも大規模なICOを紹介しよう。

2018年には、間違いなくこれを超えるICOが成立するだろう。現在は、TelegramのICOが注目されている。匿名の情報筋によると、目標は20億ドルにも達するという。

熱狂か、幻か、それとも思い込みか?

ビットコイン(BTC)のドル建ての価格が下落し、その他多くの暗号通貨が2017年の高値から大幅に値を下げているにも関わらず、ICO市場は「ちびっこ金融機関車くん」のように頑張っている。

しかしここに、市場が気をつけるべき、あまり耳にしたくない事実がある。ビットコインのニュースサイトBitcoin.comが行った調査によれば、ICOを行おうと考えた902社の企業のうち、142社は資金調達に失敗し、276社は資金調達に成立した後に破綻している。さらに113件のプロジェクトは「チームがソーシャルメディアでの情報配信を停止するか、コミュニティが小さすぎてプロジェクトに成功の見込みがない」と判明した後に「半破綻」と分類された。この調査の最終的な結果は、「昨年のクラウドセールの59パーセントは失敗であったか失敗しかけている」という悲惨なものだ。

暗号通貨のコミュニティは、懐疑的な考えを単なる「恐れと疑念と不信」(fear, uncertainty and doubt:FUD)で片付けようとしたがる。年月が経てば、この新しい資金調達方法で成功し存続するベンチャーはきっと現れるだろうが、起業家も投資家もみな、熱狂と幻と思い込み(fanaticism, unbelievability and delusion:これもまた別のFUDだ)によって判断が鈍ることには気をつけなければならない。

データに関する注意

これを執筆している時点で、Crunchbaseの従来型のVC取り引き(エンジェル、シード、コンバーティブル・ノート、シリーズA、シリーズBなど)に関するデータセットは、ICOに関するものよりもずっと手堅い。だが、これとは異なるICO情報も数多く、統計調査の内容も報告書によって大きな違いがある。

報告の遅れや市場固有の不透明性のために、Crunchbaseが把握しているICOの件数は実際よりも少ない可能性があるが、新しいデータが着実にプラットフォームに蓄積されることで、その報告数は増えてゆくはずだ。

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(翻訳:TechCrunch Japan翻訳チーム)