アドフラウド
Phybbit

アドフラウド対策ツール提供のPhybbitが6500万円を調達、検出を自動化し担当者の負担を削減

次の記事

自律型攻撃ドローンによる果てしない復讐戦を避けよ

クリックやインストールを不正な方法で作り出し、広告収益を得るアドフラウド。人工的ないしbotを使って広告費を搾取するこの手法は「広告詐欺」などとも呼ばれ、広告主や広告配信事業者を悩ませている。

そのアドフラウド検出における業務を自動化・可視化することで、アドフラウド対策の敷居を下げる「SpiderAF」。同サービスを提供するPhybbitは4月17日、大和企業投資フリービットインベストメント、川田尚吾氏、佐伯嘉信氏を引受先とする第三者割当増資資により6500万円を調達したことを明らかにした。

調達した資金をもとにSpiderAFの営業やサポート体制の強化、マーケティングの強化を進める方針だ。

多様化するアドフラウド、近年はアプリ広告がターゲットに

冒頭でも触れたように、ネット広告の課題としてアドフラウドが取り上げられるシーンが増えてきた。Phybbit代表取締役の大月聡子氏によると、近年ではアプリ広告に対する不正行為が目立つという。

「アドフラウドの手法もどんどん多様化している。アプリ広告ではインストール単価が1000円を超えるものなどもあり高額。その一方で新しい手法ということもあり対策が十分に進んでいない」

「ばらつきはあるが、平均して(配信した広告のコンバージョンの)1〜2割はアドフラウド。条件によっても大分変わるが、海外でも2割くらいになっている」(大月氏)

広告配信事業者としては、月々数10~100TBを超える広告データを担当者が逐一分析するというのは難しい。加えて巧妙なアドフラウドに対応するには、相応のノウハウも必要になる。仮に不正なアカウントを発見できたとしても、アカウントを変えて再び不正を受ければ毎回同じ作業を続けなければならない。

このように担当者がアドフラウドに人力で対応するには、かなりの時間とナレッジが必要になりハードルが高かった。

アドフラウドの検出を自動化し対策にかかる負担を削減

SpiderAFはそんな業務を自動化し、非エンジニアでもアドフラウド対策をできるようにサポートするサービスだ。配信された広告のログを自動で収集、解析するとともに広告が配信されたサイトのコンテンツを監視する。これらを不審なIPなど独自のブラックリストと照合し、広告出稿先ごとにスコアを付与。この数値が高くなるほどアドフラウドの可能性が高くなる。

現在PhybbitではWeb広告用の「SpiderAF for web」とアプリ広告向けの「SpiderAF for app」を提供。たとえばSpiderAF for appではスコアの他にインストール件数、データセンター経由の有無、端末の種類なども確認できる。

「一定数のインストールがあっても、それが全てデータセンターからきていれば人間がインストールしていないことがわかる。ほかにも日本国内で販売されていない端末がインストールの大半を占めている場合、国内向けのアプリなのに言語設定が英語になっていたり文字化けしていたりする場合はアドフラウドのケースが多い」(大月氏)

この広告枠から発生しているインストールの端末言語設定では、多くが文字化けと英語で、日本語は1件だけ。これは海外のクリックファームによる不正の可能性がある。

SpiderAFではこれらの作業を自動化しつつ、スコアリングのブラッシュアップにはAIも活用。スコアが低い場合などは人間が目視で確認、フィードバックを重ねていくことで学習し、スコアリングの精度を向上させていく。

競合プロダクトにはリアルタイムでデータを解析するものもあるが、SpiderAFでは、蓄積されたデータを用いてアドフラウドを判定している。もちろんリアルタイムにアドフラウドを検出できるに越したことはない。だが、一定期間のデータをまとめて解析しないと検出しにくいアドフラウドがあるからだという。また、コスト面でもリアルタイム検出に比較して安価に提供できるとしている。

「広告をクリックしてからアプリストアに接続後、インストールして起動する。その間がわずか10秒しかかかっていない場合などもあるが、これは明らかにおかしい。最近では夜は寝ているかのように偽装したりなど、不正の手口が高度化していて判別が難しくなってきている。ただ1ヶ月など一定のスパンで解析してみると、実は5秒おきにクリックしていることがわかるなど、怪しい挙動を判別できる」(大月氏)

この広告枠の例では、6秒ごとにクリックが発生しているのを確認できる。このような周期的なパターンは、ボットなどによる不正なクリックだと考えられるという。

2018年内に50社、2019年内に200社の導入を目指す

今後の方向性としては特にSpiderAF for appの拡大に力を入れていく方針。これまでは広告配信事業者向けに提供を進めてきたが、これからは広告主向けのサービス展開も強化する。

Phybbitは2011年の設立。大学院で原子物理学の研究をしていた大月氏が卒業後に仲間とともに立ち上げたスタートアップだ。当初は受託開発に取り組んでいたが、アドテク企業のデータ解析や開発を引き受けていた際に、アドフラウドの課題を知ったそうだ。

それまで属人的に行っていた広告ログの解析、異常値の抽出作業をシステム化したところ、反響があったために製品化。2017年6月にSpiderAF(現在のSpiderAF for web)を、2018年2月にSpiderAF for appをリリースしている。Phybbitでは引き続きプロダクトの改良を重ねながら2018年内に50社、2019年内に200社の導入を目指すという。