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ドンキーコングの伝説の世界最高得点は不正操作によるものだった

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週4時間働けばよいという考え方に反論する

ドキュメンタリー映画「ザ・キング・オブ・コング」(2007年にアメリカで公開されたアーケードゲーム「ドンキーコング」で高得点を競う人たちの話)で有名になったドンキーコングの最高得点の世界記録が、世界のアーケードゲームの得点の事実上の審査機関となっているTwin Galaxiesによって無効と判断された。しかも、その記録の他に、いくつものゲームの高得点記録を打ちたてながら、折に触れて疑惑のプレイヤーと目されていたBikky Mitchellは、今後永久に、新しい記録の公認が許可されないこととなってしまった。

これは数十年間にわたる歴史に疑問を投げかける大問題だ。これ以外にも、怪しい記録は無効にされてしまうのか? 懐かしのアーケードのレジェンドたちは無事でいられるのか?

と、その前に、ひとつ言っておこう。これは小さな世界のどうでもいい問題のように聞こえるかもしれないが、クラシックゲームの世界は非常に大きく、何百万という人間がこうした問題を凝視し、真剣に考えている。30年前のゲームでハイスコアを出したとか、接戦の末に記録を4分の1秒縮めたとか、そういうことが、あたかもオリンピックでメダルを取ったかのごとくに尊敬されるのだ。ネット上のコミュニティーの大きさも、その真剣さも、決して侮ってはいけない。インチキは、もちろん、決して許される世界ではない。

Billy Mitchellの場合は希なケースだと言われいる。彼のプレイ・テクニックには疑う余地がなく、80年代から記録を出し続けてきた。しかし、「ザ・キング・オブ・コング」を見た人なら、彼にはどこか疑わしいところがあり、ドンキーコングに関する知識もいい加減であると、誰もが感じたはずだ。

問題は単純なことだ。彼は、ドンキーコングで初めて100万点を叩き出したときの有名な映像を記録したテープを提出しているのだが、彼自身が、そんなふうに巧みにゲームをプレイしているところを誰も見ていないのだ。

それはアウトだろうと思われるかも知れない。しかし、常に記録が更新されてゆく世界では、新記録は誰も見ていないところで達成されるのが普通だ。がら空きのゲームセンターや、信頼できる目撃者もいないところだ(Twitchの登場でその状況は変わったが)。仕事から帰る途中で世界記録を出したとしても、生身の目撃者がいるか、その映像を第三者が審査しないかぎり、公式には認められない。その仕事を行っている最大の組織がTwin Galaxiesなのだが、彼らは記録に対して非常に厳格な態度を示している。

「ザ・キング・オブ・コング」で紹介されたMitchellの疑惑のテープに映された最終得点。100万点に達すると得点は元に戻るので90万点台で表示されている。

「ザ・キング・オブ・コング」の最後のシーンを覚えているだろうか。Mitchellは、「画面を直接撮影したテープ」でもって104万7200点というスコアを示し、地方の勇敢な若者Steve Wiebeを下した。このゲームを目撃した人間はいない。そのすぐ後、彼は105万200点という得点を記録したが、このときも目撃者はいなかった。そのわずか1週間前、アイオワ州にあるInternational Video Game Hall of Fame(ビデオゲームの博物館)に招かれた際には、ドンキーコング(106万2800点)とドンキーコングJR.の両方で記録を打ちだした。

さて、ここから話が怪しくなる(そしてオタクっぽくなる)。

怪しいと感じた人間は、Twin Galaxiesに正式に異議を唱えることができる。それを受けて、彼らは必要に応じて調査を行う。Xelniaという名で知られるJeremy Youngは、この2月に2つの疑惑をTwin Galaxiesのフォーラムに投稿した。そのひとつは、BoomersというゲームセンターでMitchellが出したという最新で最高の得点を示すとされる証拠に関する疑惑だ。

他の人たちも指摘しているが、ビデオには途中の得点も、最終的な得点も表示されていない。審査員は信用のない人間であり、時系列も不明確だと、いろいろある。なかでもいちばんまずいのは、Mitchellの共犯者が、これ見よがしにドンキーコングの基板を(他所で検証するために)、ドンキーコングJR.の基板と差し替えていることだ(Mitchellはそのマシンで記録を出したとされている)。しかし実際はどちらも、ドンキーコングJR.の基板だった。

Twin GalaxiesのユーザーRobert.Fは、インターネットのフォーラム用語を使って、その2つの違いを教えてくれた。

慣れていない人の目には、DKもDKjrも同じに見えます。実際に、よく似ています。しかし、ハッキリとした違いがいくつかあります。……DKの基板には白い文字が印字されていて、DKjrの基板にはバナナイエローの文字が印字されています。DKのサウンドは、半分がデジタル、半分がアナログで、DKの基板にはアナログ・サウンド用の調整ツマミがあります。DKjrのサウンドは完全にデジタルなので、DKの基板の同じ位置に調整ツマミはありません。3つめの目に見える違いは、ビデオをよく見るとわかりますが、DKとDKjrの基板には、同じレイアウトで同じ数のROMソケットが配置されています。しかし、DKjrのほうは、ひとつのソケットが空になっています……

なぜこんな細工をするのか? 単なる間違いだったのか? YouTubeでこの問題を指摘した人たちのコメントが、なぜ削除されたのか? また怪しいのは、こうした状況的な問題に対する説明が、当時、右往左往したり、記録を達成したときの興奮状態のなかで、言葉を言い違えているなどという問題だ。幸いなことに、それらは証拠の範囲には含まれなかった。

エミュレーターというアプリケーションがあるのをご存知だろうか。アーケードゲームなど、昔のソフトウエアを、オリジナルのハードウエアで走らせたときとほとんど同じ形に、パソコン上で使えるようにするソフトウエアだ。現在、もっとも高度で、おそらくもっとも有名なエミュレーターに「MAME」がある。ドンキーコングから最近の複雑な3Dグラフィックスまで、みごとにエミュレートしてしまう驚きのアプリだが、当然のことながら、MAMEでの得点は世界記録としては公認されない。ソフトウエアは簡単に操作できるし、ゲームのデータを書き換えることもできてしまうからだ。記録公認には、本物のアーケードマシンを使わないといけない。

だが、MAMEも完璧ではない。グラフィックに多少の違いがある。もっとも、その違いを探そうとフレームごとに目を凝らさなければわからない程度ではあるが。

人々は、それを使ってMitchellの、誰も見ていない、彼だけが知るゲームの得点を再現しようとし始めた。

それによってわかったのは、ドンキーコングの本物の基板を使った場合、グラフィックが書き換わるときに、「スライディング・ドア効果」と呼ばれる特徴的な描画方法がとられていることだ。それは、ピクセルが更新されるときのパターンによって現れる。Mitchellのテープをよく調べると、スライディング・ドア効果が見られない。その代わりに、MAMEで特徴的なパターンが現れているのだ。メモリーからデータを読み出す方法によって、フレームがブロック状に描きかわる。

Youngが証拠として提供した下のGIF画像でも、同じ効果が見られる。

最初の画像は、本物のアーケードマシンを60FPSで撮影したものだ。左上から下にかけて、斜めに「スライディング・ドア効果」が見てとれる。

次はMitchellが105万200点を出したときの映像だ。

最後は、MAMEでの同じ場面。

ハシゴが一度に表示されるのがわかるだろう。スライディング・ドアは見られない。これはもう動かぬ証拠だと思うだろう。実際、Twin Galaxiesの調査員たちもそう考えた。本日、フォーラムで発表された彼らの結論は、以下のとおりだ(太字部分はオリジナルのまま)。

104万7200点を出したドンキーコングのテープ(「ザ・キング・オブ・コング」の“テープ”)、105万200点(Mortgage Brokersの得点)は、Twin Galaxiesが以前からこれらの得点を実証するために使用し、データベースに保管してきましが、これらは改造されていないオリジナルのドンキーコング基板から直接出力されたものではありません。

Twin Galaxiesは今のところ、MAMEでの得点であるかどうかには言及していないが、心が痛む。そうに違いないと、みんなは感じてる。ともかく、Mitchellが本物だと偽って提出した不正な映像による記録は抹消され、さらに、今後Twin Galaxiesへの記録の登録も禁止すると発表された。

嬉しいのは、「ザ・キング・オブ・コング」で破れたチャレンジャーSteve Wiebeが、ドンキーコングで最初に「本物の」100万点を突破した人物に昇格したことだ。すっかり遅くなって済まないが、Wiebeに祝福の気持ちを贈ろう(ウィキペディアではすでに更新されている)。

更新情報:WiebeはVarietyのインタビューにこう答えている。「私はもうチャンピオンではないが、最初に100万点を出した人間として認められて本当に安心しました。11年前、必死にそれを求めていたのですから」

一方、Mitchellは、調査が始まってからの数カ月間、姿を消している。アーケードゲームの世界には、もう彼の居場所はない。たとえ彼が新しい世界記録を打ちだしたとしても(現在のチャンピオンは彼にはそのスキルはないと言っているが)、インチキでないかを何年間もかけて調査さされることになるだろう。コミュニティーは決して彼を許さない。

今回のことで心配する声があがっている。長年、崇拝されながら、現在のように厳格に審議されてこなかった他のゲームの記録も、調査されるのだろうか? たとえば、信頼できる目撃者や確かな記録のない得点は、リストから消されてしまうのか?

Twin Galaxiesでは、こう判断している。

Twin Galaxiesは、それがわかったときに、いつでも過去のデータベースから不正な得点を探し出します。
今回の得点に関連するもののみならず、ビデオゲームの歴史のなかで論議されてこなかったものも含め、私たちの系統的アプローチが、さまざまなものを表面化させます。
私たちは手を緩めません。真実こそが最優先事項です。どんな犠牲も厭いません。

今回の論争は幕引きとなり、疑惑に満ちた伝説のゲーマーは汚名を背負うこととなった(もしあれが本当ならそうなるべきだ)。次は誰だ? だが、次に誰が落ちようとコミュニティーは間違いなく繁栄を続ける。昔のゲームへの情熱は決して消えない。ジェネレーションXの古い愛好家が過ぎ去った栄光の日々を延長しようとしているだけではなく(たしかに彼らは大きな比率を占めているが)、新しい世代も生まれて来ている。

私と同様、昔のビデオゲームにちょっとでも興味を感じた人は、どんどん飛び込んできてほしい。あなたの新しホビーになるかも知れない。だが、インチキはダメだ。ところで、ドンキーコングの現在の最高得点は124万7700点だ。ほんの2カ月前に、Robbie Lakemanが叩き出した。がんばれ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)