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AdobeのCTOはAIへの取り組みを率先して押し進めている

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現在まともな会社なら、人工知能(AI)に対して、全く何の取り組みもしていないということは考えられない。こうした組織は、この先どう展開して行くかは完全には理解していないとしても、AIがゲームチェンジャーになることを理解している。

3月に開催されたAdobe Summitで、私はAdobeのエグゼクティブVPでありCTOであるAbhay Parasn​​isに話を聞くことができた。話題は多岐にわたり、次の10年のために構築するクラウドプラットフォームや、そこでAIがどれほど大きな役割を果たすかなどについての話を聞くことができた。

Parasn​​isは、同社の技術戦略の方向を設定する、典型的なCTOの役割を始めとして、幅広い責任を負っていると語ったが、もちろんそれで終わりではない。彼はまた、コアクラウドプラットフォームの運用と、AIとSenseiを含むプラットフォーム構築のためのエンジニアリングを担当している。この役割には、数千人に及ぶエンジニアリングチームの管理も含まれている。また、全てのデジタルインフラストラクチャとIT部門に対しても、多少の責任を負っている。

これからの10年

Adobeが箱売りのソフトウェア企業から、サブスクリプションベースのクラウド企業に変わり始めたのは2013年のことだった。これはParasnisが入社するずっと前のことである。それは大成功をおさめているが、Adobeはそのことが、長期的な生き残りのために単に箱売りソフトウェアを捨て去ってしまう事以上の意味を持っていることを知っていた。Parasnisがやってきたとき、次のステップは、少なくとも10年は長持ちするような柔軟性を持たせるように、基礎プラットフォームを再構築することだった。

「次世代プラットフォームを考え始めたとき、私たちは何のために構築したいのか考えなければなりませんでした。それはとても気分を高揚させる体験でしたが、私たちは10年もつようにそれを作り上げなければなりませんでした」と彼は語った。特に技術が急速に変化している現在は、時間が経つにつれて多くのものが変化する可能性があるため、大きな課題が待ち構えている。

これは、時間の経過とともに、そうした変更を受け容れることを可能にするための柔軟性を持たなければならないことを意味している。同社はもちろん、ARとVRのような臨場感あふれる技術同様に、音声技術も将来への種として考え始める必要があった。そして彼らの基礎プラットフォームはそうしたものを支えられるような適応性の高いものでなければならなかったのだ。

すべてにSenseiを

しかし、Adobeには、AIに関わる万全の準備を整える必要もあった。それこそがおよそ18ヶ月前に同社が、新しいプラットフォームの中核としてAIを開発する戦略的決定をした理由なのである。彼らは、開発者向けのより汎用的なAIを狙っている多くの企業があることは知っていたが、彼らのビジョンはそれとは異なるものだった。それはAdobeの中核機能にしっかりと焦点の当たったものである。Parasn​​isはこれを、同社のクラウドプラットフォーム戦略の重要な部分と見ている。「AIはテクノロジーの中で最も変形力の強いものになるでしょう」と彼は言った。そして「Senseiは、これまで私が最も多くの時間を費やしているものです」と付け加えた。

写真:Ron Miller

同社は、より大きな人工知能の目標を念頭に置いた、新しいクラウドプラットフォームを考え始め、コアプラットフォーム機能を扱うための、AIを取り込んだアルゴリズムを構築し始めている。社内での利用を経て洗練された後、次のステップでは、これらのアルゴリズムをサードパーティの開発者たちに公開して、AdobeのAIツールを使用してそれぞれのアプリケーションを構築できるようにすることだ。

そのサービスがAIを含んでいようがいまいが、結局これは古典的なソフトウェアプラットフォーム作戦なのだ。BoxからSalesforceに至るまで、クラウド企業はそのサービスを何年も公開して来た。開発者たちはクラウド企業の専門知識を利用することで、自分たちの中核機能に集中することが可能になる。開発者たちはストレージやセキュリティなどを、初めから構築する必要はない。そうした機能は、専門知識が詰め込まれ、アプリケーションへの簡単な導入手段が提供されたプラットフォームから、取り込むことができるのだ。

ここで差別化を可能にしているのが、そこにはAdobeの中核機能が組み込まれているという点だ。このことでAdobe Experience Managerの中での自動トリミングやスマートタギングが可能になり、Creative Cloudの中でのAIを用いたビジュアルストック検索なども可能になる。これらは、Adobeのソフトウェア体験に不可欠な機能である。同社はこれらをAPIとしてパッケージングして、開発者たちが自身のソフトウェアの中で使用できるように提供している。

Senseiが今後10年間Adobeのクラウドプラットフォームを駆動する技術であるかどうかにかかわらず、Parasn​​isと会社はそのビジョンに真剣に取り組んでいる。今後数カ月そして数年のうちに、Adobeがより多くのAIアルゴリズムをプラットフォームに組み込み、それらを開発者たちにソフトウェア開発用として提供していくにつれて、私たちはより多くの発表をAdobeから聞くことになるだろう。

Parasn​​isはもちろん、これを現在進行形のプロセスだと認識している。「やらなければならない仕事はまだ沢山ありますが、私たちのアーキテクチャはとても良い方向にスタートを切ることができました。AIはその非常に重要な部分となるでしょう」と彼は言った。

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(翻訳:Sako)