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マイクロソフトが海中にデータセンターを設置する理由とは

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今週初め、マイクロソフトはプロジェクトNatickの第二段階を実行した。これは、海中に大規模なデータセンターを設置し、そのメリットや問題を検証するという実験だ。チームは、サーバーがぎっしり詰まった輸送コンテナほどのサイズのタンクをオークニー諸島沖に沈めた。今後数年間そのままにして、果たして将来のデータセンターとして有効な手段となるかどうかを見極める。

もし水をラップトップPCにこぼしたことがあるのならわかるかと思うが、当然ながらコンピューターと水というのは相容れない。だからサーバーの列を水中に置くというのは、奇妙なアイデアのように思える。しかし、マイクロソフトリサーチのBen Cutlerが、サーバーを設置するのに海底がうってつけの場所である理由を説明してくれた。

Cutlerいわく、ほとんどの人が海から200キロ以内の場所に住んでいる。そしてマイクロソフトはこれまで、多くの人が住んでいるところの近くにデータセンターを設置するというクラウド戦略をとってきた。再生可能エネルギーを作り出す大規模な風力発電施設が近くにあり、海中に設置することで冷却面で明らかにメリットがある(冷却コストはデータセンターを維持する上で大きなものだ)今回の取り組みは、理にかなっている。

私がCutlerに今回のプロジェクトの発端について尋ねると、彼は「マイクロソフトは、クラウドにかなりのエネルギーと時間、そしてもちろんお金も費やしてきた」と語り、「我々は常に刷新的な手法を探している。今回のアイデアはもともと、米国海軍の潜水艦で働いた経験があり、そしてテクノロジーについての知識も持ち合わせていた社員から生まれた。このアイデアをデータセンターに活用できるかもしれないということになったわけだ」と説明した。

そこでチームは2013年に第一段階の実験を実行した。それは、いくつかのサーバーを入れた小さな圧力容器を太平洋に沈めるというものだった。この実験では極めて良い結果が得られ、また周囲の海中生物にとって容器は好ましいものだったようだ。まず、この容器が周囲の水の温度を上げていないことが確認された。容器から数フィート離れたところの水の温度は数千分の1度(摂氏)高かっただけだった。それから騒音も、取るに足りないものだった。「容器から数メートルも離れると、海中でよく聞こえるテッポウエビの音など、周囲の音に囲まれることがわかった」とCutlerは語り、海というのは非常に影響を受けやすい環境であるために、こうした影響を測定するのがチームの仕事だったと強調した。「この容器が自然環境に受け入れられ、そして周辺に生息するカニやタコといった生物の住処となったこともわかった」。

今回の第二段階の実験を、チームはスコットランドで実施することにした。というのもスコットランドは欧州海洋エネルギーセンターの本拠地であり、陸と海で発電された再生可能エネルギーをサーバーを入れた容器に供給する設備がすでにあったからだ。

一度容器を水中に入れると、その後のメンテナンスはほぼ不可能だ。つまり、失敗するかもしれない、取り替えがきかないということを覚悟しなければならない。計画では、数年後に容器を回収し、新しいマシーンに取り替えて再び海中に設置する。

一方で、この実験の一環として、チームはどうやればサーバーを可能なかぎり長持ちさせられるかも検討した。というのも、容器の中のハードドライブが故障しても取り替えに行くことはできないからだ。その結果、腐食などを防ぐためにチームは容器の中に窒素を充填することにした。この影響を分析するため、マイクロソフトは同様の容器を陸上にも設置し、どれくらいシステムがうまくいくかを比べることにしている。

今回の実験では最先端のテクノロジーは使われていない、とCutlerは強調する。特殊なサーバーを使っているわけではなく、海中ケーブルや容器もごく普通のものだ。

今後について、Cutlerはこれらの容器を工場で組み立て式につくり、必要なところに送るという青写真を描いている。だからこそ、この容器は輸送コンテナサイズなのだ。チームは実際、ロジスティックチェーンをテストするために、容器をフランスで製造し、トラックに乗せて英国まで海上輸送した。

もちろん、これらがうまくいくかどうかはわからない。目下、チームはNatickの経済面を分析中で、これを本格採用するかどうかの判断はマイクロソフトAzureチームに委ねられる。Cutlerは「我々のゴールは、この手法が経済的に優れ、なおかつ望ましいものである、という状態にもっていくこと。それが達成されて初めて、製品チームがこの手法を使うべきか、どこで活用するかを決めることになる」と語った。

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(翻訳:Mizoguchi)