義足テック、法律×IT、ランチの事前予約・決済——東大IPC起業支援プログラムの新たな支援先が決定

次の記事

飲食店の経営をデジタル化し、ECのように効果測定できる環境へ——「favy」が5億円を調達

東京大学の投資事業会社としての活動を通じて、大学周辺でスタートアップ・エコシステムの構築を目指している東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)。同社は6月11日、現役の東大生や卒業生などの大学関係者や、東大関連ベンチャーを支援する「東大IPC起業支援プログラム」の新たな支援先を決定したことを明らかにした。

2回目となる今回のプログラムで新たに支援先として選ばれたのは、3Dプリンティングと機械学習技術を活用した義足を手がけるインスタリム、自然言語処理技術に基づく法律業務の支援サービスを開発するLegalscape、ランチの事前予約・決済サービスを提供するダイニーの3社だ。

インスタリム : テクノロジーの活用で低価格・高品質な義足を開発

インスタリムは3Dプリンティングと機械学習テクノロジーを組み合わせることで、価格と納期を従来の約10分の1に抑えた新しい義足を開発するハードスタートアップだ。

代表取締役CEOの徳島泰氏は大手医療機器メーカーでAEDや医療系ソフトウェアの開発に従事した後、青年海外協力隊としてフィリピンに2年半滞在。そこで糖尿病が原因で足を切断し、義足を必要とする人が多いことを知ったという。

一般的な義足は職人が自身のノウハウを活用しながらアナログな手法で製作するため、1本あたり2〜3週間の時間がかかる上に費用も30万以上。お金に余裕がない家庭でないととても手に入らないものだった。

インスタリムの開発する仕組みでは3Dプリンタを活用することで材料費や設備費、制作納期を大幅に抑え、1本あたり3〜5万円で提供することが可能だという。また患部データの状態と、フィッティング後のデータを機械学習にかけることで、作れば作るほど高精度の義足を製作できる仕組みを構築している。

現在はフィリピンで実証実験を進めている段階。まずは発展途上国を中心に事業を展開する方針だ。

Legalscape : 自然言語処理技術を用いたリーガルテックサービスの開発

Legalscapeが取り組むのは、法律の専門家でなくても法的な問題に直面した際に解決の糸口を見つけられるようなサービスの開発だ。

代表取締役の八木田樹氏は東京大学でコンピュータサイエンスを先攻。そこで培った経験をビジネスに活用できないかと模索した結果、親族に法曹関係者がいて身近であり、IT化も進んでいなかった法律領域に的を絞ったのだという。

在学中の研究を生かした判例検索サービスが、2017年度の経済産業省IPAの未踏アドバンスト事業に採択。現在は実現可能性を調査しながら新たなプロダクトの開発も進めているそうだ。チームは八木田氏とマイクロソフト出身の2名によるエンジニア3人体制。自然言語処理技術を含めコンピュータサイエンスの技術を生かしたリーガルテックサービスを目指す。

ダイニー : ランチの事前予約・事前決済サービス

現役東大生4人が開発する「ダイニー」はランチを事前に予約、決済することで、列に並ぶ手間やレジで会計をする手間をなくすサービス。

ここ最近TechCrunchでも「PICKS」や「POTLUCK」といったテイクアウトの事前予約・決済サービスを紹介したけれど、ダイニーの場合は実際に店舗でランチを食べる際のストレスを減らしてくれるものだ。

2018年2月に本郷エリアでテスト版をリリース。現在はβ版という形で六本木エリアで9店舗、本郷エリアで13店舗の飲食店で利用できる。代表取締役の山田真央氏によると、まだ店舗が少ないため利用者の数は限られているが、一度使ったユーザーの継続率は高いという。今後は人気店を含めた飲食店の開拓が、事業を拡大していく上での鍵となりそうだ。

山田氏はメルカリやDeNAなどでインターンを経験した後、自らサービスを立ち上げた。一度は別のプロダクトを作っていたそうだが、リリース後ほとんど使われなかったため方向性を転換。あらためてチームで解決したい課題を約120個リストアップした結果、ダイニーの元となるランチタイムの問題に取り組むことを決めたという。

過去の採択チームからは2社が資金調達済み

東大IPCでは1号ファンドを通じてシード・アーリーステージの東大関連ベンチャーを支援する複数のVCへのLP出資に加え、ミドルステージ以降の東大関連ベンチャーへ直接投資もしてきた。

具体的には現時点でUTEC(東京大学エッジキャピタル)など6つのVCファンドへ出資、バイオベンチャーのタグシクス・バイオ資金調達時に紹介したスマートアパレルを展開するXenomaなど4社に投資しているという。

今回の東大IPC起業支援プログラムはこれらの投資活動を補完する取り組みのひとつという位置付け。VCなどから出資を受ける前のプレシード段階にあるスタートアップや、起業の前段階にあるグループに対して市場調査資金の提供や経営面のサポートをすることで、さらなる事業展開や資金調達の実現を目指している。

今回採択されたチーム以外にこれまでに3社が採択されていて、2017年12月に紹介したヒラソル・エナジーを含む2社はすでに資金調達を実施済みとのことだ。