Google、反多様性メモ発覚後初の多様性報告書を発表ー黒人とヒスパニック系の従業員確保が課題

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Googleは、悪名高いJames Damoreのメモ(これによりDamoreはGoogleを離れることとなった)の一件後では初となる、同社従業員の多様性についての報告書を公表した。このメモの件は語ると長いが、要約すると、Damoreは性差別的な考えをメモに記し、これが社内外に広まったというものだ。Damoreはクビになり、この解雇について彼はGoogleを訴えた。しかしこの訴えは2月に労働関係委員会により調停が行われた。それからほどなくして、他の社員の件が明らかになった。2月下旬のGizmodoの報道にあるように、Tim Chevalierが多様性を唱えたことで解雇された、と主張している。ChevalierはGoogleを告訴している。

「私は、Googleの職場で見られる白人の特権や性差別を指摘したことで、報復を受けた。これは間違っている」。Chevalierは数カ月前、TechCrunchに対し、なぜGoogleを告訴しようと決めたのかこう語っている。「私はこの件を公にしたかった。Google内で人種的少数派の人たちがどのように扱われているかを社会に知ってほしかったからだ」。

Googleはこの件を調停に持ち込もうとしている。2018年6月11日付けの裁判所の記録文書によると、今月初め、Googleの弁護士は、Chevalierは最初の申し立ての中で“この件を調停とすることに書面で同意している”と述べている。

さて、Googleの多様性や構成の現状を要約して説明しよう。ここに実際のレポートがある。多様性についてのレポートとしては5回目となり、最新かつ最も網羅しているものだ。今回初めて、人員損耗率やインターセクショナリティについても情報を公開している。

最初に、ハイレベルな数字から。

・30.9パーセント グローバルでの女性の割合

・2.5パーセント 米国における黒人の割合

・3.6パーセント 米国におけるラテンアメリカ系の割合

・0.3パーセント 米国における先住民の割合

・4.2パーセント 米国における混血の人の割合

Googleはまた、ジェンダーについてのレポートが“社内の性的マイノリティの人たちの存在を反映していない”ことを認め、ジェンダーについての今後の調査手法を模索している。Googleが自ら指摘しているように、女性や黒人、ラテンアメリカ系の人たちの割合は増えてきている。昨年、Googleにおける女性の割合は30.8パーセント、黒人は2.4パーセント、ラテンアメリカ系の人は3.5パーセントだった。

管理職レベルでも、前年に比べると数字は良くなっているが、高い職位の従業員は74.5パーセントが男性で、66.9パーセントが白人だ。改善は喜ばしいことだが、これでは不十分で次回のレポートではさらなる改善を期待したい。

話を先に進めると、Googleにとっての最終目標は過小評価された能力を掘り起こすことだとしている。それがどういうことなのは今ひとつ明らかではない。Googleで多様性を担当する副社長のDanielle BrownはTechCrunchとのインタビューで、Googleは専門の学位を取得していながら過小評価されている人たちのスキルや仕事、センサス・データを見る、と明らかにしている。しかし、こうすることで構成割合の数字がどんなものになるのかはわからない、とも述べている。理想の姿について尋ねたところ、彼女の答えは以下のようなものだった。

ご存知の通り、これは長期にわたる取り組みだ。これまで我々はうまくやってきただろうか。私にはわからない。しかし我々は状況を改善していけると、楽観視している。1晩で解決できるチャレンジだとは思っていない。全体にかかるものだからだ。長期的な取り組みになるが、私たちのチームは達成可能だと楽観視している。

前述したように、Googleは今回初めて、人員損耗率についても公表している。黒人とラテンアメリカ系の人で人員損耗率が2017年最も多かったが、これは、少なくとも私にとっては、驚きではない。はっきり言うと、人員損耗率というのは、つまるつころ何人が社を去ったかという指標だ。管理職に黒人やラテンアメリカ系の人が少ない企業で働くとき、一般的にそうした企業内で排他的な扱いや攻撃、差別を受けるのはよくあることだ。

「明らかに、女性、男性ともに米国における黒人、ラテンアメリカ系の人員損耗率は良いものではない」とBrownはTechCrunchに語った。「この分野こそ、我々が集中して取り組んでいるところだ」。

それから彼女は、Googleの内部調査のデータから、従業員は自分たちが仲間に入れていないと感じた時に会社を辞める傾向があることが明らかになったことも付け加えた。だからこそ、今Googleは従業員同士のつながり、「いいつながりとはあなたにとってどういうことか」ということに取り組んでいる。

「私たちが学んだことの一つに、無意識の偏見のトレーニングをやめると、意識した行動を起こせないというものがある。必要な行動を起こせなくなる」と彼女は語った。

人員損耗率から離れると、Googleがうまくやっているのは女性の定着率だ。テクニカル分野、非テクニカル分野ともに男性より女性の方が長期間Googleで働いていることが明らかになった。一方でBrownは、大きな問題となる前に対処できるよう、CEOのSundar Pichaiと彼の経営チームに隔週で人員損耗率の数字を1月から報告している、と明らかにした。

前述したように、Googleがインターセクショナリティについての情報を明らかにするのは今回が初めてだ。Googleのデータによると、人種ごとにみたときの女性の数は全人種において男性よりも少なかった。それも、前回同様にさほど驚きではない。従業員の3パーセントが黒人だが、黒人女性の割合は1.2パーセントにすぎない。ラテンアメリカ系の女性に目を向けると、ラテンアメリカ系全体の割合が5.3パーセントだったのに対し、女性の割合は1.7パーセントにとどまる。つまり、Googleが言うように、Googleにおける女性従業員の増加は、主に白人とアジア系によるものということになる。

Brownは昨年6月にIntelからGoogleに移ってきたが、以来多くのことに直面した。8月にDamoreの反多様性メモが問題となったが、これはBrownがGoogleに移ってきて数カ月後のことだ。「オープンで包括的な環境というのは、異なる政治的意見を含めたさまざまな考え方をする人々が自由闊達に意見を交わせる文化の形成を意味する。しかしそうした自由な意思表明は行動規範、ポリシー、反差別法に記されている平等な雇用機会の原則に沿ったものでなければならない」と語っている。

Brownはまた、このドキュメントは「私や会社が推奨・奨励する見方を反映しているものではない」とも述べている。

今日、Brownは反多様性メモの件について、「私にとってGoogleの企業カルチャーやGoogle従業員がどう考えているのかを学ぶ、非常に興味深い機会となった」と話した。

「このレポートで強調されたことが公約となれば」とも語った。「Googleだけでなくテック産業全体としても、私たちは一丸となって長期的に取り組むべき課題を抱えている」。

Brownによると、Googleの従業員全員が社の考えに賛同しているわけではないという。しかし彼女は、ポジティブな見方、ネガティブな見方どちらでも従業員に積極的に議論に参加してほしいと切に願っている。しかし、他の企業同様「なんでもありというわけではない」。

Googleの行動規範に従わない場合は「慎重に対処しなければならない。そして、政治的な見方にとらわれずに判断を下す」と彼女は語った。

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(翻訳:Mizoguchi)