まるでハリウッド映画 ―― 米国公式の「地球近傍天体対応計画」では小惑星への核攻撃なども検討されている

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宇宙は広大な場所であり、そしてほとんど中身の詰まっていない空間だ。しかし私たちと出会い、私たちの生命を脅かす可能性のある物体は沢山存在している。このような物体を検出して対処するための新しい国家計画が本日(米国時間6月20日)提案された。その提案内容には、到来する小惑星に対する核攻撃や、その他の「惑星防衛ミッション」の可能性が記されている。

今朝明らかにされたこの計画は、もちろん冗談ではない。ただこうしたスケールで脅威に対応しようとすると、どうしても議論がハリウッド映画レベルになってしまうだけだ。

なお、この計画は「これを実施しよう」というよりは、むしろ「何ができるかを検討しよう」というものに近い。ともあれ、それは5つの主要な目標を持っている。

第1の目標は、地球近傍天体(near-earth object:NEO)を検知し追跡する能力の向上だ。私たちはそれを何年も前から行ってきており、NEOWISEのようなプロジェクトが、信じられない数のこうした物体を捕捉している。それが対象としているサイズは、軌道上で安全に燃え尽きるようなものから、(チェリャビンスクの隕石のような)深刻な損害を生じさせかねないもの、そして真に地球を破壊する大きさに至るものだ。

しかし私たちがしばしば耳にするのは、NEOが衝突するほんの数日前、あるいは事後に初めて検出されたという報告だ。このため、報告書では、既存のプログラムや新しいプログラムを利用して、問題が生じる前にこれらの物体を、よりよく捕捉する方法を検討するように推奨している。

第2の目標は、これらの物体を研究しモデリングすることで、何が起きる可能性があるのか、何が起きたのかに関する、私たちの知識を向上させることだ。単に一般的な知識の向上を図るのではなく、物体の深刻な接近時に、私たちの予測が正しくなるようにすることが狙いだ。

第3の目標は、いささか空想的だが、NEOを「逸したり破壊する」技術の評価と開発が必要だということだ。結局のところ、地球破壊者が私たちめがけてやってくるなら、私たちは何かをできなければならない筈だ、そうだろう?そしておそらく、その時が初めての行動ではないようにするべきだろう。

提案されている方法のリストは、まるでサイエンスフィクションから引き出したもののように聞こえる:

この技術評価には、宇宙で利用できる最も成熟した概念(キネティックインパクター、軌道修正のための重力牽引装置、破壊のための核兵器)だけでなく、より未成熟なNEO影響阻止技術も含まれるべきである。

この種のものとして、宇宙核兵器や重力牽引装置(gravity tractors:小惑星の近傍で重たい宇宙船を長期間(例えば10年以上)飛行させ、軌道をわずかに変える)が、最も成熟した概念だとは私は知らなかった!とはいえ、物凄い高速で近付いてくる都市サイズの物体は、非常識な解を要求する非常識な問題なのだ。

そして読者がどう思うかはわからないが、個人的にはアルマゲドンが迫る中でぶっつけ本番を行うよりは、1、2度は宇宙核兵器を用いた予行演習を試した方が良いと思う。

最初の段階では、もちろんこれらの評価は、純粋に理論的なものになる。しかし、中長期的には、NASAやその他の組織は、実際の「惑星防衛ミッション」をデザインする任にあたることになる。

このアクションには、重力牽引装置によるNEOの軌道修正ミッションの初期デザイン、そしてキネティックインパクターとして利用可能であるか、核爆発装置を送り込むことの可能な宇宙船を用いた、キネティックインパクターミッションが含まれる。後者のミッションの場合、宇宙船には、核爆発装置を搭載し安全に使用するために必要なすべてのシステムが載せられるが、実際の核爆発装置の代わりに、適切なインターフェイスを備えた重量シミュレーター(mass simulator)が搭載されることになるだろう。ミッションデザインには、観測用宇宙船と実際の軌道修正量を測定する手段も含まれる。

実際の飛行試験は「実際の核兵器は組み込まないか、実際の核爆発試験は行わない」ことになるだろう。少なくとも今の段階では、ということだが。それは特定の目的に向けた予行演習である:「軌道修正/破壊システムに対して、実際の惑星防衛ミッションに先立って、綿密に飛行試験を行っておくことは、ミッションの失敗リスクを大幅に引き下げることになるだろう」。

報告書に書かれた第4の目標は、世界レベルでの協力の必要性である。NEOの衝突は、もちろん特定の国をえこひいきしたりしないからだ。したがって、まず多くの国々と、NEO関連のデータを共有したり、それに沿った研究を行うことによって、既存のパートナーシップを強化する必要がある。もちろん私たちは皆、潜在的な影響が特に自分たちの国にどのように及ぶのかは、それぞれで見極めなければならない。だがそうしたデータは世界的に共有され分析されなければならないのだ。

そして最後の目標は「NEO衝突に際しての緊急手続きと行動手順を、強化し定期的な訓練を実施すること」である。

言い換えれば、小惑星防災訓練ということだ。

しかしそれは、単に「ボルダー(コロラド州の街)の住民は衝突の際に、ここに避難すべきである」と示すだけのものではない。この文書が指摘しているように、NEOの衝突は極めて特異的な緊急事態なのだ。

災害対応と被害軽減訓練は、ハリケーンのような他の自然災害に対するものと同じ頻度では日常的に行うことはできない。むしろ、行動開始基準と行動手順を、確立し訓練しておくことで、関係機関によるオプションの準備と推奨行動方針の決定を支援することができる。

報告書は、存在することがわかっている物体や状況に基づいて、いくつかの現実的なシナリオを探ることや、それらがどのように推移するかを考察することを推奨している。誰が関係すべきか?どのようにデータは共有されるべきか?国内と国外の影響がある場合には、誰が関係諸機関の調整を行うのか?(未知の脅威に直面した際の、官僚組織の機能不全に関する、驚くべき良い例に関しては、「シン・ゴジラ」を観ると良い)。

私たちがこれたの問題を真剣に考えていると思うと奇妙な気がするが、巨大な小惑星が衝突する日を何もせずに待っているよりは遥かに良いことだ。残りの推奨事項はここで読むことができる。

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(翻訳:sako)

画像クレジット:  CC BY 4.0