弁護士が作るAI契約書レビューサービス「LegalForce」のオープンβ版が公開

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法律事務所や企業の法務部門が日々担っている契約書のレビュー業務。従来はアナログな側面が強かったこの業務を、テクノロジーを用いることでスマートにしようとしているスタートアップがある。

4月にTechCrunchでも一度紹介したLegalForceがまさにその1社だ。森・濱田松本法律事務所で働いていた2人の弁護士が立ち上げた同社では、AI活用の契約書レビュー支援サービス「LegalForce」を開発。8月20日よりオープンβ版の提供を始める。

現在のLegalForceでできるのは「契約書の自動レビュー支援」と「契約書データベースの作成」の大きく2つ。これらによって契約書のリスクや抜け漏れを自動でピックアップすることに加え、社内に眠るナレッジを有効活用できるような環境を提供する。

自動レビュー支援機能はLegalForce上に契約書のワードファイルをアップロードした後、契約類型と自社の立場を選択すれば、リスクを抽出したり条項の抜け漏れを検出したりするものだ。

たとえば秘密保持契約書において「その他のアドバイザーに対して秘密情報を開示できる」という旨の記載があった場合。秘密情報を渡す側からすると比較的広い範囲の相手に開示されてしまう可能性があるため、そのリスクを自動でコメントしてくれる。

またLegalForceでは記載のある内容についてレビューするだけでなく、“本来は入れておいた方が望ましいけれど、現時点では契約書内に含まれていない内容”も抽出する。

「情報の抜け漏れのチェックはコンピュータが得意なこと。人間が全てきちんと抽出しようとすると、チェックリストを頭の中にインプットしておくか、Excelなどでリストを作って突合作業をする必要があった。ソフトウェアなら瞬時にできるので、抜け漏れをなくすと同時に作業時間の短縮も見込める」(LegalForce代表取締役の角田望氏)

現在対応しているのは秘密保持契約書のみだが、今後はニーズの多いものから順に類型を広げていく方針。またレビュー結果も現状はcsvでダウンロードする仕組みになっているが、9月末を目処にブラウザ上でそのまま表示できるようにアップデートする予定だという。

そしてLegalForceにはもうひとつ、契約書のデータベース機能が搭載されている。これは社内に眠っている契約書ファイルをアップロードすることで、各社独自のデータベースを作成できるというものだ。

LegalForceにアップした契約書は自動で条単位に分割されるため、キーワード単位で過去の条項を参照することが可能。たとえば「損害賠償」と検索すると、これまで作成した契約書の中から損害賠償に関する条項のみを探し出せる。

「契約書を作成していると、過去に作った契約書の条項を参考にしたい時がある。これを探そうと思うとエクスプローラーなどに溜まっているファイルをキーワードで検索し、その上でファイルをひとつひとつ開いて確認しないといけなかった。この手間を無くし、ダイレクトに欲しい条項にアクセスできるのが特徴だ」(角田氏)

LegalForceは4月からクローズドβ版の提供を開始。花王やサントリー、電通を始めとした複数の大手企業をプロダクトパートナーに迎え、実証実験を重ねてきた。

角田氏によるとすでに約1.5万件の契約書を分析しているそうで、今後はこれらのナレッジを蓄積しつつ、レビューやデータベースの検索精度を上げていくフェーズ。今回のオープンβ版を経て、2019年1月には正式版をリリースする計画だという。

なおAIを活用した契約書レビューサービスと言えば、こちらも以前紹介した「AI-CON」などがある。ただしAI-CONがスタートアップやフリーランサーも含めたエンドユーザーの利用も想定しているのに対し、LegalForceのターゲットは契約書をチェックする立場の法律事務所や企業の法務部門だ(角田氏によると、今のところエンドユーザーへの提供は考えていないとのこと)。

定型的な契約書レビュー業務を効率化することで、弁護士や法務部の担当者の負担を減らし、より高度な仕事にチャレンジできるようにサポートしていきたいという。