ダイナミックプライシング
メトロエンジン

AIがホテルの単価を最適化、ダイナミックプライシング支援ツールのメトロエンジンが7億円を調達

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AIを活用してホテルや旅館の客室単価の設定を支援する「メトロエンジン」などを展開するメトロエンジン。同社は8月23日、複数の投資家より総額約7億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回メトロエンジンに出資した投資家は以下の企業・個人などだ。

  • SBIインベストメント
  • NECキャピタルソリューション
  • エボラブルアジア
  • JR東日本スタートアップ
  • タップ
  • ベクトル
  • ベンチャーラボインベストメント
  • 菅下清廣氏

メトロエンジンが手がけるのは、事業者がいわゆる“ダイナミックプライシング”を活用するためのサポートツールだ。現在はこれをホテルや旅館向けに提供している。

ダイナミックプライシングとは、モノやサービスの価格を需要と供給に応じて変動させる仕組みのこと。需要予測を基に“適正価格”を設定することで、事業者にとっては収益向上にも繋がる。

海外では宿泊施設やエアチケットだけでなく、ライブやスポーツのチケットなど様々な業界でこの仕組みの導入が加速。日本でもヤフーと福岡ソフトバンクホークスが観戦チケットを価格変動で販売した事例などがあり、その注目度が増してきている。

ダイナミックプライシングでポイントとなるのが、いかに適正な価格を毎回算出することができるか。関連するビッグデータをリアルタイムに集め、それらを徹底的に分析した上で需要を予測し価格を導き出すシステムが必要だ。

メトロエンジンの場合は競合宿泊施設の客室単価や在庫数、レビュー数など「宿泊客の予約行動」に関わる様々なビッグデータを収集。それらをAIが分析した上で客室単価を算出する。

従来はこれらの業務をレベニューマネージャーと呼ばれるような担当者が人力で行なっていたわけだけど、複数のツールを使って多様な情報を収集したり、何度も新しい情報を反映させるのには相応の時間とコストがかかっていた。

メトロエンジンの特徴のひとつはそれをテクノロジーによって効率化できること。同社代表取締役CEOの田中良介氏は「適正な価格を出すことで収益の向上に繋がるだけでなく、そこにかかっていた人件費や調査費用、時間といったコストを削減できる」と話す。

現時点で国内を代表とするホテル数十チェーンへの導入が決定済み。調達した資金を活用してエンジニアやデータサイエンティストの人員を100名程度まで拡大し、ダイナミックプライシングの精度向上を始めサービスのさらなる改善、成長を目指していくという。

また今回のラウンドは同社にとって資金面以外でも大きなインパクトがある。このビジネスを拡大していく上では欠かせないのが、宿泊施設の基幹システムであるPMS(Property Management System)との連携だ。調達先であるNECとタップはPMS領域において実績のある2社。両社とタッグを組めたことはメトロエンジンにとって大きいだろう。

同社ではまず宿泊施設における価格の最適化を支援していくが、今後は他の領域においても単価設定や需要予測の仕組みを展開していく方針だ。

「今後あらゆる領域でモノやサービスの価格がダイナミックプライシングかサブスクリプションのどちらかになっていくと考えている。宿泊施設のように供給に上限があるものはダイナミックプライシング、ニュース記事の購読のように供給に上限がないものはサブスクリプションというように、この流れが2〜3年で一気に加速する」(田中氏)

たとえば航空券や高速バス、駐車場などは同社が持つ技術だけでなく、保有している宿泊施設のデータとも関連性がある領域。すでに持っているアセットを組み合わせることで、精度の高い需要予測や単価設定も実現できるという。

メトロエンジン以外でも、TechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した価格決定に関わる技術をホテル業界以外にも展開しようとしているし、6月には三井物産とヤフーがダイナミックプライシング事業の合弁会社を設立するといった動きもあった。

日本でもこれからいろいろな領域に、ダイナミックプライシングの波が訪れるのかもしれない。

メトロエンジン代表取締役CEOの田中良介氏