遊園地
娯楽

VRを駆使した固定型カーニバルTwo Bit Circusがロサンゼルスにオープン

次の記事

Galaxy Note 9およびGalaxy Watchが米国にて販売開始

焼け付くような7月のロサンゼルスで、いつも蝶ネクタイで気取っているTwo Bit Circus共同創設者のBrent Bushnellは、ある屋内遊園地の仮想現実に感染したお祭り騒ぎの中へ、招待客たちを案内していた。ただ、まだそこは建設途中の状態だ。

しかし、あと数週間のうちに、ロサンゼルスにいるすべての人は、Bushnellとその共同創設者であるEric Gradmanが何年もかけて改革を重ねてた、新世代のための革新的な遊戯施設を実際に見られるようになるはずだ。

Tow Bit Circusの物語は、2008年、ロサンゼルスの外れにある、ロフトやアーティストのためのスペースがごちゃごちゃと入り混じる地域から始まった。そこでは、GradmanやBushnellのほか、陽気でいたずら好きな連中が数多く集まり、当時市場に出回り始めていた新世代の技術系デザイナーやメーカーが作り出したガジェットや機械をいじり回して遊んでいた。一流のハードウエア・ハッカーの伝統にのっとり、Bushnell、Gradman、そしてそこに集まった雑多な仲間たちは、生まれたばかりのセンサー、プロジェクション、視覚化といった技術を組み合わせて、楽しくてビックリするような体験やイベントを作り出せないか模索していた。

「8人から10人が一緒にいて、共通のプロジェクトに取り組んでいました」とBushnellは言う。MindShareと言うロサンゼルスのダウンタウンが主催したイベントでは、BushnellとGradmanは、「客をいじって楽しませるための出し物を考案する専門顧問」の役を仰せつかった。

Tow Bit Circusの共同創設者Brent BushnellとEric Gradman。

 

お客さんをいじって楽しませる出し物のアイデアは、BushnellとGradmanが物語の要素をゲームに取り入れようと考えたときに、形が見え始めた。2人がお金集めのために編み出した最終的な出し物には、「The Versic Institute of Counter Espionage」というものがあった。みんなが暮らし仕事をしているビール醸造所のある複合施設を舞台にした、初歩的な体験劇場型の脱出ゲームだ。「これは基本的に、ハイテクごみ拾い競争です」とGradmanは話している。

そうして、2人が考えたゲームとイベントの人気がロサンゼルスで話題となり、ほうぼうの企業から声がかかるようになった。

「第一段階は、私たちの道具をお客さんのパーティーに持ち込む形でしたが、第二段階は、お客さんのものを使って、何か別のものを作り、それを別のものに取り込むという形になりました」とBushnellは、彼らの会社の初期の数年間を振り返って話した。

彼らが初めて収入を得た仕事は、コンピューターゲームの見本市E3で行われるMicrosoftの大規模な発表会で、娯楽を提供するというものだった。それに続き、Intel、Warner Brothersなどの大手企業の仕事も入ってきた。そのときBushnellとGradmanは、昔のカーニバルや、コニーアイラインどのボードウォークにあったような、スキルを競うゲームからヒントを得て、そこに新しい技術を結合させ、デジタルであり物理的でもある体験を作り出した。

「始めのころは仮設の会場を建てていました。なぜなら、その当時、私たちが作ろうとしているものを、だれも理解してくれないという厳しい状態にあったからです」とGradmanは言う。「これがみなさんが欲しがっているものですと、説得する必要がありました。あれから何年か経ち、人々は、技術が人の楽しみ方を変えるという事実を、理解するようになりました」

 

 

Bushnellの発明家の血は、家族から受け継いだものだ。彼は、あの有名なAtari(そしてChuck E. Cheese)の創設者Nolan Bushnellの8番の息子の一人なのだ。彼は文字通り、ゲームに囲まれ、賭博、遊園地の熱狂的な世界、カーニバルで働く怪しい人たち、香具師、芸人などの間で育った。

まさに、Bushnellは、21世紀のR.T.バーナムの空気を醸し出している。または、技術をベースにした、あらゆる世代の子どもたちの夢の工場を作る、現実のウィリー・ウォンカかも知れない。Two Bit Circusの雰囲気は、スチームパンクなDave and Buster’s(ゲームセンターのようなレンストランチェーン)と、彼の父がフランチャイズ展開していたChuck E. Cheeseのもっと洗練された形(Bushnellにとってはこの表現は気に入らないだろうが)を掛け合わせたような感じだ。

Two Bit Circusの初期のイメージイラスト。

ビックリ館の中をさまよう

Two Bit Circusに入ってまず目に入るのは、倉庫を改造して作ったスペースの中央に置かれた円形のバーだ。そこは、BushnellとGradmanの世界的野望を試す場所になっている(詳しくは後述する)。

左に行くとMidwayアーケードがある。そこにはコニーアイランド風のクラシックなゲームの現代版が並んでいる。たとえば、Demolition Zoneというゲームは、2人が仮想の高層ビルの上に立ち、ビル破壊用の鉄球に見立てたボールをぶつけあって、互いに与えたダメージの多さを競うというもの。Big Top Balloon Popは、最大4人で遊べるゲーム。プレイヤーは、目の前に現れる、与えられたボールと同じ色の風船にめがけてボールを投げ、できるだけ多くの風船を割るというもの。スキーボールのような不朽の古典ゲームも、そのままの形で楽しめる(この完璧なゲームに改良の必要はない)。

Midwayの奥にはバーがあり、特別製のロボット・バーテンダーが、魔法のような働きをする自動カクテル製造機を見ようと近づいてくる客たちに冗談を投げかける。Guillermo del Pouroという名のそのロボットは、下戸も呑んべいも一緒に楽しめるよう、新旧の材料を混ぜ合わせて飲み物を作ってくれる。

その仕掛けから後ろを振り返ると、そこにはストーリールームがある。仮想現実を利用した脱出ゲーム的な体験が楽しめる。それは、秘密のアステカの寺院の探検であったり、またはSpace Squad in Spaceでは、宇宙に放り出されて道の世界を旅する。ルイジアナの湿地帯の呪われた川から生還するといったシナリオもある。

体験型VRゲームSpace Squad in Spaceのインテリア。

「およそ80パーセントのゲームが、ここのために開発されています」とBushnellは将来のお客さんに公開した施設について話した。Space Squad in Spaceなどのゲームは物語性が強く、プレイヤーは何度も繰り返しプレイして、いくつものレベルをクリアすることで報酬がもらえる。単発のストーリーのゲームもある。

Bushnellは、そこには仮想現実体験型ゲームに参加してもしなくても、誰もが体験劇場として楽しめる要素もあると話している。「あちらこちらに、いろいろな体験につながる手がかりが隠されています」とBushnellは言う。「私たちは、好奇心へのご褒美として、楽しいイースターエッグを提供したいと思っています」

施設内にランダムに置かれたように見える電話に出ると、Bushnellが呼ぶところの「メタゲーム」のヒントが得られるという。施設内を探検するというだけの遊びだ。そして、仮想現実から、古典的なカーニバルのゲーム、体験型劇場と、いろいろな遊びを見て回る。それは、すべての人のためのものになるとBushnellは言っている。

「私のお気に入りはメタゲームです」と今年の年始に行ったインタビューでGradmanは話していた。「私たちは施設全体をコントロールしているため、こうしたユニークな仕掛けが作れるのです。それにより、この施設そのものが、体験型の物語になるのです」

Two Bit Circusには、そこまでの没入体験はしたくないという客のために、従来型の仮想現実やアーケードゲームも用意している。組み立て型の仮想現実迷路を使ったゲームでは、6x4メートルの実際の迷路の中を、プレイヤーがHTC Vive VRヘッドセットとバックパックPCを装着して探検する。迷路の中では、ミノタウロスの迷宮を歩いたり、宇宙船の離陸を阻む凶暴な「ラビッツ」と戦ったりできる。

さらに、さまざまなゲームや体験を提供する仮想現実ポッドもある。Hologateは、4人プレイのための仮想現実ゲームステーションだ。仲間と協力したり、または互いに対戦したりができる。もう少しプライバシーが欲しい人や、独自の世界に入りたい人のためには、個室のレンタルもある。

仮想現実ゲームBattleZoneのイメージイラスト。

フードスタンドには、昔懐かしいストリートフェアの定番の屋台を最新式に再現したものが揃っている。2階には椅子席があり、階下で遊ぶ人たちを眺められる。またカウンターでは食べ物を注文できる。

もうひとつ、古典的なアーケードゲームのコーナーもあり、BushnellとGradmanが最初に作って評判となったゲームの改良版も置かれている(なんと、4人同時にプレイできるエアホッケーもある)。

Two Bit Circusは9月7日に一般オープンとなる。入場は無料。古典的なゲームと没入型ではない体験型ゲームの料金は50セントから3ドル(約55円から330円)の間。没入型ゲームの料金は、10ドルから15ドル(約1100円から1660円)の範囲となる。

個人または団体のゲームは、この施設の目玉だが、呼び込み用の出し物として、150席を備えた劇場Club 01も完備されている。ここがTwo Bit Circusのもうひとつの呼び物になると、GradmanとBushnellは期待している。そこには75台の共有タッチスクリーンがあり、司会者がインタラクティブなゲームやクイズショーを進行して観客を楽しませてくれる。「ここは私たちの、インタラクティブなゲームショー劇場です」とGradmanは言う。彼らは、ここで行うライブコンテンツの開発を手伝ってくれるパートナーを探しているところだ。

この事業はサーカスだ

BushnellとGradmanのTwo Bit Circusの夢を実現した最初の物理的施設は、ひとつの道しるべにすぎない。彼らは、2150万ドル(約23億9000万円)のベンチャー投資を、ひとつの施設を作るためだけに獲得したわけではない。去年の1月、1500万ドル(約16億7000万円)の投資ラウンドが決定した直後、Two Bit Circusの2人は目標を公表した。

その当時彼らは、獲得した資金を、世界に展開するマイクロ遊園地のポートフォリオの建設に使うと話していた。どの施設でも、Two Bit Circusとパートナーによる最先端技術を使った娯楽のショーケースになるということだった。

この目標は、一流投資家を惹きつけるには十分なものだった。JAZZ Venture Partnersを筆頭に、Foundry Group、Techstars Ventures、Intel Capital、Dentsu Ventures、Georgian Pineなども投資ラウンドに参加した。

今後の事業拡大に向けて、彼らは、Great Wolf Resortsの元経営者で、地域固定型の娯楽事業の拡大を手がけた経験豊富な会社役員Kim Schaeferを招き入れた。さらに、驚くほどの業績をあげている仮想現実の専門家Nancy Bennetを、仮想現実コンテンツ開発のトップに据えた(Two Bit Circusが提供するゲームのおよそ20パーセントにその技術が使われている)。

「ロサンゼルスはテンプレートです」と、彼らの計画に関してBushnellは話す。「ここは、複製を考慮して作られています。今や、歴史上のどの時代よりも、小売が供給過剰に陥っています。それは、新しい関わり合いを求めるミレニアル世代によって証明されています」

Bushnellは、Oculus Riftの使い方を例にとり、その点を強調した。「誰もBest Buy(大型家電量販店)でOculusは使いません。それを使うのに相応しい場所ではないから、使わないのです。私たちの娯楽は、もっと資金が拡大し、もっとその資金に相応しいものになりす」

さらに、BushnellとGradmanは、Two Bit Circusが他のゲーム開発者のハブになることも視野に入れている。開発した製品を、観客に生で試してもらえるという点を売り込んでいるのだ。ハッカーだったころを振り返り、彼らは、Two Bit Circusのスペースを、ゲーマー、メイカー、ビルダーたちの大きなコミュニティーが、喜びを得るための新しい方法を実験できる拠点にしたいと望んでいる。

そしてBushnellは、そのビジョンを世界に広げたいとも考えている。「私たちには、この施設の外でも成立するアトラクションが数多くあります」と彼は言う。「そこで私たちは、いろいろな場所に話を持って行っています。……映画であれ、ビデオゲームであれ、特定のハードウエアであれ、この施設の外でも私たちのコンテンツが楽めるようになる可能性は、非常に現実的になっています」。それは、Two Bit Circusの2人の創設者が、世界中のさまざまな場所で複製できると信じている体験だ。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)