MagicScroll
ヒューマン・コンピューター・インタラクション

研究者が作ったタブレットは巻物式スタイル

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クイーンズ大学ヒューマンメディアラボの研究者が、スマートフォンでもタブレットでもない、それでいてその両方に近いタッチスクリーン式のデバイスをつくった。MagicScrollと名付けられたそのデバイスは古代の(パピルス/紙/パーチメント)巻物に着想を得て開発された。シリンダー状の巻きスタイルで、7.5インチのフレキシブルなタッチスクリーンがケースに収まる。

3Dプリントを使ってつくられたこの斬新なスタイルでは、デバイスの端にある回転ホイールを回すことで、かつての回転式名刺ホルダー(覚えているだろうか?)のように、スクリーン上にある連絡先を素早くめくることができる(回転ホイールは両端に取り付けられている)。

そして、より詳細な情報が必要ということであれば、ユーザーはスクリーンをケースから引っ張り、実際に見るためのディスプレイとして広げる。プロトタイプのフレキシブルスクリーンの解像度は2K。なので、現在の初期段階としては、最新のiPhoneのRetinaディスプレイより中級レンジの携帯電話に近い。

  1. MagicScroll1

  2. MagicScroll2

  3. MagicScroll3

  4. MagicScroll4

  5. MagicScroll5

 

また、電話をかけるときに通話相手の顔が見えるようスクリーンがしっかりと固定されるなど、この巻物スタイルのデバイスを人間工学的に快適に使えるように設計している。

開発チームは、プロトタイプが現段階では漠としていることを認めているがーまだレトロな雰囲気を加えただけのデバイスだー1980年代の大量に生産された携帯電話のような存在にしたいと考えている。たとえば、1984年に発売されたクラシックなMotorola 8000X Dynatacだ。

研究開発が進められている現段階ではかさばる形状だが、開発チームはフレキシブルなスクリーンをシリンダー状にするというプロトタイプのスタイルだと軽量で、iPadのようなタブレットより片手で持ちやすいというメリットがあると考えている。巻いた状態にすると、ポケットにも入ると指摘する(ただし、大きい)。

彼らはまた、音声通話用としてだけでなく、書き取りデバイスとして、あるいは位置指示デバイスとしての活用も描いている。プロトタイプにはカメラも備わっていて、これにより任天堂のジェスチャーシステム‘Wiimote’のようにジェスチャーを使ってデバイスをコントロールすることができる。

さらに、研究チームは回転ホイールにロボティックな駆動装置を加えて面白い仕掛けをしている。いろんなシーン、たとえばノーティフィケーションを受信したときにスクロールが動いたり、一カ所でスピンしたりするというものだ。逃げ回る目覚まし時計Clockyは嫉妬するかもしれない。

「我々は古代の巻物に強い影響を受けている。というのも、それらは自然な形態であり、長いものを視覚的に途切れさせることがないからだ」。ヒューマン・コンピューター・インタラクションの教授でラボのディレクターでもあるRoel Vertegaalは発表文でこう述べている。

「他に、名刺を保存したり探したりするのに使う、昔ながらの回転式名刺ホルダーシステムにもインスピレーションを得た。MagicScrollでは回転ホイールにより、果てしなくめくるのではなく、たくさんあるリストから素早く探し出すことが可能になる。巻いているものを広げると、選んだアイテムをフルスクリーンでみることができる。まさに、Instagramのタイムラインでの写真ブラウズや、メッセージ、LinkedInの連絡先にうってつけの手法だ!」

「ゆくゆくはこのデバイスをシャツのポケットに入れて持ち歩けるよう、ペンほどのサイズにしたいと考えている」と彼は付け加えた。「広い意味でいうと、このMagicScrollプロジェクトでは‘スクリーンはフラットでなくてもいい’‘なんでもスクリーンになる’という考え方を検証できる。それは、コーヒーを注ぐスタンドに行く前にオーダーを選べるインターラクティブなスクリーンを搭載した繰り返し使うことのできるカップなのかもしれないし、はたまた衣服につけるディスプレイなのかもしれない。どんなものがアプリになるのか試行錯誤しているところだ」

研究チームはプロトタイプが実際に動く様子を収めたビデオを制作した(以下に埋め込んでいる)。このビデオは来月バルセロナで開かれる、ヒューマン・コンピューター・インタラクションに関するMobileHCI会議で公開される見込みだ。

明らかに、MagicScroll似のモバイルデバイス類は商品化には程遠いが(特に、この手のコンセプトデバイスはモバイルデバイス会社のR&Dラボが“チラ見せ”してきたーその一方でそうした企業はタッチ感応ガラスを使ったモンタージュのようなものをつくり続けている)、Samsungがここ数年、折り畳み式スクリーンのスマホの開発に力を注いでいることは特筆に値するだろう。このスマホに関する最新の噂によると、来年にも発売されるかもしれないとのことだ。もしくは、まだかもしれない。

しかし、Samsungが言う“折り畳み可能”という意味がMagicScrollプロトタイプのようにフレキシブルに曲げられるもの、というふうに解釈されるかどうはかなり疑わしい。2枚の殻をつなぎ合わせた様なデザインーつまりフラットなスクリーンを広げるとシームレスに拡張され、閉じるとポケットに入れられるほどコンパクトにできる、というのがSamsungのデザイナーにとって現実的な選択肢だろう。形状を変える能力を持ち、かつ消費者の日々の使用に耐えうるだけの頑丈さも必要で、そうしたデバイスを売るというのは明らかに商業的にもチャレンジとなることを考えれば、なおさらだ。

それにも増して、こうした見て楽しいデバイスでも、消費者が従来と全く違うものを受け入れようとするかというのは不透明だ。洗練された(そして必然的に)扱いにくいデバイスというのは、特定のニッチな使用方法やユーザーのためのものになりがちだ。

大衆向けには、6インチのタッチ感応(そしてフラット)ガラスがうまくいっているようだ。

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(翻訳:Mizoguchi)