Google+を振り返る

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ついにGoogle+が終わる。本日(米国時間10月8日)Googleは、利用者と開発者の不足、低い利用率と定着率を理由に、そのコンシューマー向けソーシャルネットワークを段階的に終了していくことを発表した。おっと、データ漏洩もその理由の1つだ。ソーシャルネットワークのパフォーマンスの悪さも明らかにした。Google+のユーザーの90%が一度に5秒以下のアクセスしか行っていないのだ。あらら。

しかし、ずっとそうだったわけではない。かつてのGoogle+は、Facebookによるソーシャルネットワーキング支配を打ち砕くための真剣な挑戦としてみなされていて、初期の頃は大歓迎されていたのだ。

2011年

6月:発表

Googleが新しいソーシャルネットワーキングのアイデアを発表したのは、2011年6月のことだった。とは言え、それはソーシャルに対する初の進出ではなかった。Googleは、ソーシャルネットワーキングサービスを何らかの形で提供しようと数々の試みを行っていた。例えばOrkutは2004年に開始され、2014年秋に閉鎖された。2008年にはGoogle Friend Connect(2012年に閉鎖)、 2010年にはGoogle Buzz(翌年には閉鎖)といった具合だ。

しかしGoogle+は同社が試みた最も重要な試みだったのだ、その当時彼らは「私たちは、オンライン共有は壊れていると思っています」と高らかに宣言を行っていた。

最高機密プロジェクトは、その公開に先立ち、数々のリークのターゲットとなった。このことで人びとは生まれようとしているプロジェクトに関心を抱くことになった。

Vic GundotraとBradley Horowitzに率いられたGoogleのソーシャルへの処方箋は、ユーザー自身に連絡先のグループ(”Circle”と呼ばれた)を作ることを許し、そのことでソーシャル共有に対して、より多くのコントロールが可能になるようにすることだった。つまり、家族や親しい友人と共有するのに適したものがある一方、同僚、同級生、または同様の関心(例えば、自転車や料理など)を共有する人たちと分かち合うことの方が、より意味のあることもある。

しかし、グループをユーザー自身が作ることは面倒な作業になりがちであるため、実際にそれを行うことは難しい。しかしGoogleは、その代わりに、連絡先の整理が簡単に感じる(場合によっては楽しくさえ感じる)巧妙なユーザーインターフェースをデザインした。幾つかの議論もあった。それはまた、当時のFacebookが提供していた連絡先整理システムよりも優れていた。

そして次には、皆がそれぞれのCircleを、小さなプロフィールアイコンをドラッグ&ドロップすることでセットアップして、その新しくできたマイクロネットワークに対して、投稿したり写真をアップロードしたりすることができた。

もう1つの重要な機能である”Sparks”は、ユーザーの特定の関心事に関連するニュースやコンテンツを見つけ出すのに役立った。このようにすることで、Googleは、Facebookのように、ユーザーが「いいね!」をするためのトピックページを用意することなく、人びとが気に入って追跡したいものを理解することができた。しかもそれはまた、新しいタイプの検索への道を開いた。青いリンクのリストを返すだけでなく、Google+の検索は、対象のトピックに関連するユーザーのプロフィールや、マッチングするページ、その他のコンテンツを返した。

Google+はHangoutsも導入した。これはCircleのひとつの中で、一度に最大10人のビデオチャットを行うことができる手段だ。

当時、その実装はまるで魔法であるかのように説明されていた。 これは、ソフトウェアが話す人に焦点を当てるやりかたや、全員がチャット内でコンテンツを共有できる方法などの、いくつかの革新的な機能によるものである。

初期の成長は有望に見えた

2週間のうちに、Googleは成功を手にしたように見えた、なにしろネットワークの利用者は1000万人に達したのだ。開始後わずか1ヶ月後には、その人数は2500万人に成長した。2011年10月までには、その数は4000万人に達した。そして年末までには9000万人。Googleがサインアップ人数だけを追跡していたとしても、それはFacebookに対する大いなる脅威のように見えていた。

しかし、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグは、Google+に関する最初のコメントの中で、Facebookのいかなる競合他社も、価値を持つためにはソーシャルグラフを構築しなければならないことを、賢く指摘した。当時7億5000万人のユーザーを抱えていたFacebookは、既にこれを行っていた。Google+のサインアップ人数は増えていたものの、ユーザーたちが時間経過とともに、アクティブなままでいてくれるかどうかは、依然不透明なままだった。

また初期の段階から、Google+が非友人を取り込んでいることがいずれ問題になる兆候は見られていた。ネットワークが不必要な通知によってスパムだらけになってしまったために、開始して数カ月後にはブロックメカニズムを導入しなければならなかった。その後何年も、スパムを制御できないことが大きな問題になっていた

2017年後半になってもまだ、人びとはスパムがGoogle+を使えないものにしていると訴えていたのだ。

7月:ブランドと実名ポリシーに対する反発

Facebookと競争するために、Google+もまた「実名」のポリシーを強制した。これは、ペンネームやニックネームを使いたいと思っていた多くのユーザーたちを怒らせた。特にGoogleが規約違反を盾にそうした人のアカウントを削除し始めたときに、怒りはますます激しくなった。これは単にソーシャルネットワークへのアクセスを失う以上に大きな問題だったのだ。なにしろGoogleアカウントを失うということは、Gmail、ドキュメント、カレンダー、その他のGoogleサービスへのアクセスが失われることを意味していたからだ。

同社はまた、ブランドのページの取り扱いをしくじった、全てのビジネスプロフィールを、不用意なやりかたで禁止したのである。後にGoogle自身が、それがある意味誤った対応だったことを認めている

実際には、これらの問題は何年にもわたって修正されないままだった。エリック・シュミットは、もし本名を使用したくない場合には、別のソーシャルネットワークを見つけることを提案していたと言われている。人を見下したような物言いだ。

8月:ソーシャル検索

Google+は8月にGoogle検索に登場した。同社は、ユーザーがサインインしているときに表示される「ソーシャル検索」の結果にGoogle+への投稿が表示されるようになると発表した。Googleははこの新しい機能を「検索プラスあなたの世界」と呼んだ。しかしその「あなたの世界」の切り口は極めて限られていた。なぜなら友人やフォロワーたちとFacebookやTwitterの上で共有している投稿を見ることはできなかったからだ。

2012年

1月:Google+アカウント作成の強制

言うことを聞かないならば、強制するまでだ!Googleは、Gmailにサインアップするためには、ユーザーにGoogle+アカウント取得を要求するようになった。 それはユーザーフレンドリーな変更ではなく、あとに続く強制的な統合の始まりとなった。

3月:批判が集まる

TechCrunchのDevin ColdeweyはGoogleはソーシャルの長期的な運用に失敗したと主張し、Google+の試みはあまりにも野心的過ぎたと述べた。全てのネットワークが本当にその”+1″ボタンで始まるべきだった ―― そのクリックによってやがて検索対象とできるユーザーに結びついた大量のデータが生成される(ディフォルトはプライベートだが別の場所へとシェア可能)。

6月:イベントスパムが蔓延する

Google+ではスパムが問題のままである。このときは、Google+とカレンダーのようなミッションクリティカルな製品との「賢い」統合のおかげで、イベントスパムが登場した。

ユーザーたちは他の人たちがこちらを「招待」でき、それが自動的にカレンダーの上に現れるようになったからといって喜んではいなかった。しかも参加することを決めていないイベントに対してもそれが行われたのだ。このことはGoogle+を使うことが大きな間違いのような気分にさせた。

11月:Hangoutsが進化する

Google+の立ち上げの翌年、Hangoutの周辺では既に沢山のアクティビティが行われていた。それは興味深いことに、元のGoogle+を出て長生きすることになった製品のうち、最も大きなものの1つになった。

ビデオは正しく取り組むことが難しい分野だった ―― それがSkypeのようなビジネスがまだ繁栄している理由なのだ。そしてHangoutsは友だちや家族がGoogle+の中で使うようにデザインされていたが、Googleは既に企業たちが、このテクノロジーをミーティングに利用していることや、NBAのようなブランドが、ファンとの交流をするために使っていることを知っていた

12月:Google+がコミュニティを追加

Google+の中で、ユーザーの関心へ焦点を当てる流れは、コミュニティの立ち上げでこの年も進化を続けた。これはサイト上に人びとがトピックベースのフォーラムを作り出す手段だ。成長が減速していたために、消費者の関心をより多く引きつけられることを期待して、この動きは行われた。

2013年

それは目的地ではない。それは「ソーシャルレイヤー」だ!

Google+は「Facebookキラー」としての役割を果たしていなかった。 エンゲージメントは低く、使われ方はまちまちで、主流の利用者たちではなく、テクノロジーのアーリーアダプターだけによって使われているだけのように見えた。そこで新しい計画は、Google+をFacebookのような目的地のウェブサイトではなくGoogleのプロダクトを支えるソーシャルレイヤーにするという方向に賭けるものになった。

Googleは既に、開始直後からGoogle+をGmailと連絡先に統合していた。2013年6月には、Gmailからブランドのページに移動する方法を提供した

その後、Google Talk(別名Gchat)とGoogle+ Messengerを、Hangoutsに統合することを決めた。

そしてBlogger向けのGoogle+コメントシステムを開始した。

そしてサードパーティサイトのGoogleログインを、Google+ログインに置き換えた

いずれも少々やりすぎだった。

9月:Google+がYouTubeに侵入する

それから、最も議論を呼んでいるものだが、YouTubeのコメントを引き継いだのだ 。YouTubeにコメントしたい場合には、Google+アカウントが必要になったのだ。

言い換えるなら、もしGmailの2億人以上のユーザーがGoogle+を盛り上げることができるなら、YouTubeの何百万ものコメントにも同じことを期待できるとGoogleは考えたのだ。

少なくとも、ユーザーは幸せではなかった

これは、人びとがどれほどGoogle+を愛していなかったを示す顕著な指標となった。YouTuberたちは完全に怒っていた。1人の少女が、こうした動きに合わせて冒涜的な曲を書いているほどだ。その歌詞と言えば… 「あなたは私たちのサイトを台無しにして、それを『統合』(integration)と言うのね/私たちの欲求不満をぶちまけるためにこの曲を書いてるの/クソッタレ、Googleプラーーース!」

GoogleはまたGoogle+のことを、5億人のユーザーを抱える「アイデンティティレイヤー」としても語り始めた。

2014年

4月:Google+の父、Vic GundotraがGoogleを去る

Google+はその創始者を失った。2014年4月、Google+の父であるVic Gundotraが退社することが発表された。GoogleのCEOであるラリー・ペイジはその時に、Google+ソーシャルネットワークにはまだ投資の余地があると語ったが、これはGoogleのアプローチに変化が訪れつつある兆候だった。

元TechCrunchの編集者であるAlexia Bonatsos(néeTsotsis)と編集者Matthew Panzarinoは当時、Google+はもはやプロダクトではなくプラットフォームになるのだと聞いて、Google+は「生ける屍」であると書いている(記事の原題が”Google+ Is Walking Dead”だった)。

過去の強制的な統合は、GmailやYouTubeのように後退して、チームは再編された。

7月:Hangoutsが自由に

おそらく最も注目すべき変更の1つは、Hangoutsが自由になったことだ。Hangoutsはとても魅力的なプロダクトだった…Google+に縛り付けておくにはあまりにも重要なものだったのだ。2014年7月、HangoutsはGoogle+アカウントなしで動作し始め、ビジネスに展開されて、それ自身のSLAを発行するようになった。

7月:Google+が「実名」ルールを破棄し、謝罪した

Gundotraが辞めた後、Google+が変化していることを示すまた別の兆候は、ユーザーの怒りを招いた3年後に訪れた、「実名」ポリシーの放棄だった。

Googleは、2012年1月に旧姓やニックネームの登録を許すルールを開始することで、実名ポリシーの緩和を始めていたが、それでも依然として、選択された名前と一緒に実名も表示していた。それは人びとが望んでいたものとは違っていた。

ようやくGoogleは実名に関わる決定に対して正直に謝罪し、この変更がユーザーに戻ってきてもらう役に立つことを期待した。しかしの期待は叶わなかった。遅すぎたのだ。

2015年

5月:Googleフォトが自由に

Hangoutsに続いてGoogleは、Google+の写真共有機能も、独自のスタンドアロンプロダクトに値すると考えた。

Google I/O 2015でGoogleは、Google Photosの改訂を発表した。この新製品は、もともとGoogle+の中で生まれたAIや機械学習機能を利用していた。このことには、ユーザーが人物、場所、物事の写真を検索できるようになるだけでなく、Google +の自動写真改善機能(”auto awesome”)のアップデートも含まれており、これによってGoogle PhotosのAssistantはより強力なものとなった。

Google+ Photosが2015年8月に終了した後のその年の後半、Google Photosは月間アクティブユーザーの数が1億人へと拡大した

7月:YouTubeからGoogle+が取り除かれた

2015年7月、GoogleはGoogle+とのYouTubeの統合を逆行させた。こうしてYouTubeのコメントはGoogle+の上にではなく、YouTube上に留まることになった。

人びとはこれに満足したが、Google+に戻りたくなるほど満足したわけではなかった。

11月:全く新しいGoogle+が公開された

Google+は2015年11月に大きく改訂された

Googleのフォトストリーミング担当でプロダクトディレクターでもある副社長のBradley Horowitzは、Google自身のデータが示した有効なものの周りにGoogle+を再デザインするチームを構成した。その有効なものとはコミュニティとコレクションである。基本的に新しいGoogle+は、ユーザーとその関心に重点を置いていた。トピックの周りに人びとのネットワークを作ることはできるが、必ずしも個人的なつながりではない。

Googleでは、About.meのようなサイトの代替品として、“About Me”ページも展開した

新しいサイトには色とりどりのペイントが施されていたが、牽引力は回復しなかった。

2016年

1月:AndroidゲーミングサービスからGoogle+を取り除いた

Googleは、Google Playゲームサービスを利用するためにソーシャルネットワークにアカウントを設定するという要件を廃止することで、Google+をまた別のコア製品から切り離した。

8月:PlayストアからGoogle+を取り除いた

引き離しはさらに続いた。Google Play Storeがユーザーがレビューを書くためにGoogle+アカウントを要求することを止めたのだ

Horowitzはその当時、Googleはユーザーたちから「Google+のプロフィールを、利用する全てのGoogleプロダクトのアイデンティティにすることには意味がない」と言われ、その声に応えていくことになったと説明した。

8月:Hangouts on AirがYouTube Liveに移動

ソーシャルネットワークの最後の独自機能であったHangouts on Air(Hangoutを広く配信する手段)が2016年にYouTube Liveに移動した

2017年

Google+はかなり静かになった。サイトはまだそこにあったが、Communityはスパム一杯だった。Communityのモデレーターたちは、とても対応が間に合わないと訴えた。この問題に対するGoogleの不注意な態度は、Google+の大規模な実験が終了する可能性があることを示す兆候そのものだった。

1月:古いデザインを段階的に廃止

Google+は2015年後半に最初にプレビューされた、新しいデザインへの変更を強制した

2017年1月には、古い外観に戻すことができなくなった。またサイトが「死んでいる」という巷の風評に対抗するために、Google+の上で人気のあるグループを選び出すのにも時間がかかるようになった。(まあ実際には死んでいたのだが)。

8月:Google+が+1ボタンの共有数の表示をやめた

2012年春に開始された、どこにでもある”+1″ボタンは、改訂されていた。それはもうシェアの数を表示することはない 。Googleはこれを、ボタンの読み込みをより迅速に行うためだと言った。しかし本当の理由は、シェア数を目立たせる価値がなくなっていたせいなのだ(とはいえその後 “+1” ボタンのデザインも変わり、シェア数表示も復活しているようだ)。

2018年

2018年10月:Google+が自身のCambridge Analytica問題に出会う

Googleが3月に発見するまで、セキュリティバグにより、サードパーティの開発者がGoogle+のユーザープロフィールデータに2015年からアクセス可能な状態になっていた。だが同社はそれをユーザーに知らせないことにした。合計で49万6951人のユーザーの、フルネーム、電子メールアドレス、生年月日、性別、プロフィール写真、住んでいる場所、職業、および関係の状態が漏洩する可能性があった。Googleは、データが悪用されたという証拠はないが、このコンシューマーのためのGoogle+サイトは、利用者の少なさを考えて、閉鎖することを決定したと言う。

Cambridge Analyticaのようなデータの不正使用によるスキャンダルは、FacebookTwitter評判を傷つけたが、Google+には同じような悪影響は見られない。結局のところ、Googleはもはや、Google+をソーシャルネットワークであると主張していなかったのだ。そして、それ自体のデータが示すように、残っていたネットワークの大部分が放棄されていた。

しかし、同社には依然として多くのユーザープロフィールデータが蓄積されており、リスクにさらされていたのだ。これによって、議会による質問を受けたり、規制に関する政策立案者の議論の場に呼び出されるという意味で、Googleがより活動的な他のソーシャルネットワークと同じような命運に晒される可能性もある。

となると後知恵に過ぎないが、Googleにとっては、Google+を何年も前に閉鎖しておいた方が良かったということになるのだろう。

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(翻訳:sako)