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“ファンクラブの民主化”目指す「CHIP」が4600万円を調達、開設されたファンクラブ数は2600個に

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ファンクラブ作成アプリ「CHIP(チップ)」を運営するRINACITAは11月21日、East Venturesと複数の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額4600万円を調達したことを明らかにした。

今回同社に株主として加わった個人投資家はヘイ代表取締役社長の佐藤裕介氏、ペロリ創業者の中川綾太郎氏、nanapi創業者の古川健介氏、Vapes代表取締役社長の野口圭登氏、Candle代表取締役の金靖征氏、AppBrew代表取締役の深澤雄太氏と匿名の個人が1名。

RINACITAは過去にSkyland VenturesとEast Venturesからも資金調達を実施していて、今回はそれに続く調達となる。

3ヶ月で約2600個のファンクラブが開設

“ファンクラブの民主化”という紹介をしている通り、CHIPはスマホアプリから誰でも簡単にファンクラブを作れるサービスだ。

最初にテーマ画像を1枚設定した後は、ファンクラブの名前と説明、月額会員費、会員証のデザインなどを選ぶだけ。作るだけなら2〜3分もあればできる。テキストや画像の投稿、コメントなどを通じてアーティストとファンが交流を楽しむ場所になっていて、会員費の90%がアーティストに還元され、10%がCHIPの収益となる仕組みだ。

2018年8月5日のリリース後にSNSなどでちょっとした話題を呼び、約2週間で約1.3万人がユーザー登録。1700個ほどのファンクラブが開設され、実際に1400人が何らかのコミュニティに“CHIP”(課金)した。

RINACITA代表取締役の小澤昂大氏によると「今は一旦落ち着いたフェーズ」とのことで、確かにペース自体は落ちているものの、約3ヶ月が経過した現在もファンクラブ数が2600個、登録ユーザー数が2.2万人、課金ユーザー数が2700人と伸びている。

左からトップページ、CHIPの公式ファンクラブページ、ファンクラブの追加プラン作成画面

ただし現時点でCHIPを使ってできることはまだまだ限定的。「ローンチしてからの2〜3ヶ月はバグの修正や本当に最低限必要な機能を整備していた状態」(小澤氏)で、基本的にはアーティストがテキストや画像を投稿し、それに対してコミュニケーションをとるシンプルなプラットフォームだ。

直近では複数のプランを設定して金額や投稿の内容を変えられる機能や、入会できるファンの上限を設定できる機能、画像を複数枚投稿できる機能などが追加。11月からはより本格的なアップデートに向けた開発を進めていて、今回調達した資金も主にプロダクト強化に向けた人材採用などに用いるという。

現在はiOS版のみとなっているが、来年春ごろまでを目安にAndroid版とWeb版をローンチする方針。並行して(1)投稿できるコンテンツの種類を拡大(2)今までよりも本格的なファンクラブページを作れる機能の追加(3)アーティストと個人によるダイレクトメッセージ(DM)機能の追加 という3つを軸にアップデートを進めている。

投稿できるコンテンツに関しては動画や音声への対応を進める計画。今はテンプレートから選ぶ仕様になっている「ファンクラブの会員証」をカスマイズできる仕組みや、外向けにファンクラブサイトをデザインできる機能など、アーティストの世界観を反映しやすい環境も整える。

双方の交流を深めるという点で、DMの機能なども用意していく予定。なおDMについては全員が対象というよりは少人数限定の上位プランで特典として提供するなど、アーティストが範囲を選択できる仕様を検討しているとのことだ。

初期コストを気にせず、誰でも気軽にファンクラブを作れる場所へ

CHIPをローンチしてからの数ヶ月で「予想以上に多くの人に初期から使ってもらえ、多くの発見があった」と話す小澤氏。同様のサービスやオンラインサロンを含め“個人をエンパワーメントするサービス”が増えてきてはいるけれど、CHIPとしてはよりファンクラブに寄せていきたいという思いが強くなったという。

そのきっかけのひとつが「実際にCHIPを出してからファンクラブは『トップレイヤーのアーティストしか作れない』ということに改めて気づいた」ことにあるようだ。

「初期コストがかかるため、大手の事務所でもそれに見合った成果が見込めなければ簡単には作らない。結果として駆け出しの人達はもちろん、一定数のファンがいて良い作品を作っているアーティストでもファンクラブを持っておらず、収益化やファンとの交流の仕方に悩んでいるケースも多い。そんなアーティストが初期コストとかを気にせず、気軽にファンクラブを作れるようにしたい」(小澤氏)

とはいえ、ほとんど名も知られていないようなアーティストが熱狂的なファンを獲得したり、活動資金を確保したりできる場所を確立するには、解決しなければいけない課題も多い。

実際にCHIPを眺めてみても、多くのファンを集めているコミュニティはまだまだ一定数。もちろん試しに開設されたものもあるのだろうけど、ファンの数が0人や数人のものも少なくない。現在はSNSなどで影響力を持ちすでにフォロワーを抱えているユーザーが、そのパワーをCHIPでも発揮しているような状況にも見える。

これは他のサービスも抱えている問題かもしれないけれど、小澤氏も「その点は今後も試行錯誤を続けていきたい。まずは使いやすさなどで価値を感じてもらえるように改善をしていきつつ、『もともとのフォロワーが少ない人でもCHIPに来れば新たなファンがつく』『CHIPを開けば応援してみたいと思えるアーティストが見つかる』ような仕組みを模索していく」と話していた。