オフィス探しを簡単にする物件検索エンジン「estie」のβ版がローンチ、AIで適正賃料を推定

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オフィス版の「SUUMO」や「HOME’S」を目指したサービス——本日12月13日にβ版が公開された「estie」を大雑把に紹介すると、そんなところだろうか。

個人が住居用の賃貸物件を探す場合、SUUMOやHOME’Sのように様々な物件情報が集められたWebサービスを活用する人が多いだろう。僕自身も何度か引越しを経験しているけれど、毎回それらのサービスを使ってエリアや間取り、賃料などの条件に合った物件をピックアップすることから始めている。

これと同じような形で、オフィス用の賃貸物件も簡単に検索・比較できる“物件検索エンジン”を作ろうというのがestieのチャレンジだ。

冒頭でオフィス版のSUUMOと紹介したように、estieではこれまで複数の不動産仲介会社のサイトを行き来して収集する必要があった賃貸オフィス物件情報を一箇所に集約。オンライン上で知ることが困難な各物件の賃料についても、自社で適性賃料水準(e-賃料)を算出する仕組みを作った。これによって賃料も含めて複数の物件を比較検討できるのが特徴だ。

e-賃料とは15年以上にわたるオフィス賃料データをベースに、機械学習を活用した独自のアルゴリズムによって月額の共益費込みで一坪あたりの賃料水準を推定したもの。仲介業者や物件オーナーが自ら開示した募集価格ではなく、各物件の特性や景気変動も考慮した賃料が算出される。

estieを開発するのは不動産業界のバックグラウンドがあるメンバーやエンジニアら、東大出身のメンバーが集まったチーム。「Amazonなど巨大なECサイトとは違いデータ数が限られている中で、どうやって効率的に綺麗なアルゴリズムを作れるか。その点は不動産領域に関するドメイン知識を持っていることも強みになると考えている」という。

なおこのチームは東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)が運営する「東大IPC起業支援プログラム」の支援先に選出されていて、近々法人化する予定だ。

オンライン化が遅れるオフィス賃貸マーケットを変革

estieの開発チームによるとオフィス賃貸のマーケットは一般住宅の賃貸に比べてオンライン化が進んでおらず、いざオフィスを探すとなると「賃料を含めた募集情報を取得する際の壁」「複数の情報を比較する際の壁」「集めた情報の正しさを判断する際の壁」といった課題があったという。

オフィス用の賃貸マーケットは透明性が低く、オンライン上で賃料を開示することが当たり前ではない。物件情報を集約して一箇所で比較できるようなサービスもほとんどないため、基本的な情報を取得するには複数の不動産仲介会社のサイトを行き来する必要もある。

HOME’Sなどでは一部オフィス用物件を掲載していたりもするけれど、まだまだオンライン上で賃料も含めて比較できる物件は限定的。特にマーケットのボリュームゾーンとなるオフィスビルなどの賃料は基本的にオープンになっていない状況だ。

結果的に最初から不動産会社の担当者に直接問い合わせをして逐一進める必要があり、限られた時間の中で合理的かつ効率的に物件の比較をすることが困難だった。

「estieに来れば今までバラバラだったオフィス賃貸情報のほとんどに1箇所からアクセスでき、それぞれの物件に関して大外れしない料金が調べられ、比較できる。そんなサービスにしていきたい」(estie開発チーム)

まずは主要オフィスエリアである都心5区(千代田・港・中央・新宿・渋谷)の物件を対象に取り扱っていく計画。今後は企業の移転業務を効率化する新機能の開発や、物件オーナーや不動産仲介会社の集客サポートに繋がる施策にも取り組む予定だ。

「オフィス賃貸のマーケットは大きいけれど、時代の変化に十分について行けてない。(仲介会社やオーナーと)ユーザーとの情報格差も残っていて、数年後には今の状態で成り立っていないと考えている。どこかの企業がこの業界を変えるのであれば、自分たちがそこにチャレンジしたい」(estie開発チーム)