UberのパートナーFairはソフトバンクから3億8500万ドルの投資を受け世界の自家用車に変革を起こす

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GPS戦争勃発

カリフォルニア州のスタートアップFair.comは、車を購入するものから、安価で勘弁なリースするものへと自動車産業の舵を切ることを目的に、本日(現地時間12月20日)、野心的な、新しい大きな一歩を踏み出す。

Fairは、ソフトバンク率いる3億8500万ドル(約428億円)という巨額のシリーズB投資ラウンドによる資金を調達した。この投資には、Exponential Ventures、Munich Re VentureのERGO Fund、G Squared、CreditEaseも参加し、このビジネスの世界展開を目指す。Fairは、運転免許証とクレジットカード(または銀行口座を証明するもの)があれば、日常的な個人使用でも業務用でも、誰にでも柔軟なリースのオプションを提示してくれる。昨年、密接な協力関係にあったUberは、そのリース部門を今年の初め、Fairに4億ドル(約444億7500万円)で売却した。これによりUberは、ドライバーに車両を用意することができる。この方式を、他のライドシェア企業にも広めたいと考えているのだ。

「計画では、ビジネスを10倍にすることです」とCEOで共同創設者のScott Painterはインタビューに答えて話している。Fairはすでに、アメリカの15の州(25の市場)で事業を展開し、毎週、新しい街に進出している。今日までに、2万件以上のリース契約を行ったと彼は語っている。「去年は劇的な成長を遂げました」

今回の投資は、ソフトバンクがビジョンファンドを通じて行った、技術業界全体からしても、このシリーズの最新にして最大のものであり、とても戦略的な意味を持つ。

ソフトバンクは、ライドシェア業界では世界最大の投資企業であり、Uberだけでなく、中国のDidi、東南アジアのGrab、インドのOla、アメリカのGetaroundも支援している(その他、食料品配達スタートアップDoordash、ドイツの自動車販売プラットフォームAuto1、自律運転車両の企業Cruise、マッピングのスタートアップMapboxなどといった、自動車、運送関係の数多くの企業にも投資している)。

その長期計画の中には、Fairを使って、より多くのドライバーに車両を与えることでライドシェア産業を拡大するというものがある。すでにUberで行っているように、ドライバー志望者に車両を素早く提供できるようにするのだ。

「Fairなら、ライドシェアを世界規模で展開できると思っています」とソフトバンク・ビジョンファンドの投資家Lydia Jettは、TechCrunchとのインタビューで話していた。「これがソフトバンクのポートフォリオに何を加えるのか、またその逆を見るのが、大変に楽しみです」

Painterによれば、Fairは昨年から今日まで、ソフトバンクと話を続けてきたという。ソフトバンクが投資を決めた理由には、FairがUberの事業を好転させた実績があった。

「Uberは、私たちを納得させるケースとなりました」とJettは言う。「投資家としては、2つの異なるチームによって運営されるひとつの資産に注目することは滅多にありませんが、Fairのチームは、Uberがうまくできなかったことを解決しようとしていました。彼らは資産を好転させ、それが多大な付加価値を与えることを証明して見せたのです」

Painterは、自社の評価額について、直接的に述べることは決してしなかったが、今回のラウンドによってFair.comが調達した投資総額は、現在のまでにおよそ5億ドル(約556億円)になった話している。また、私は推測するところでは、Fairの現在の企業価値は、株式投資家が集団で事業を支配していない状態で、10億ドル(約1112億円)は下らない。

株式投資の他に、Fairは車両を揃える目的で最大10億ドル(約1112億円)の借入資本を確保した。Painterが私に話したところによると、今回の投資により、同社は必要なときに必要に応じて大きくなる借金の壺ができたという。「平たく言えば、株1ドルにつき10ドルの借金ができます。その現金を使って車を買うのです」

データを使ってスケールを拡大する

Painterは、株式投資はおもに、より多くの市場に事業を広げるために使われると話しているが、それはライドシェア業界に留まらず、「ギグエコノミーの中にいるあらゆる労働者」も含まれる。とは言え、一部の投資は同社の技術プラットフォームにも引き続き割り当てられる。

このプラットフォームには、近年成長してきた金融サービスに共通するものがある。ビッグデータの解析と人工知能を利用するというものだ。Fairは、手続きをできる限り簡便化して、ちょっと興味を持った人を、本物の顧客に変えることを目指している。

この場合は、同社の新車または新車に近い車(こちらが主だが)を借りたい人は、たった2つの書類を提出すればよい。自動車運転免許証と、クレジットカードか銀行口座を証明するものだ。

これを元に、Fairは申請者の資産概要をバックエンドで組み立て、リースが可能かどうかを即座に判断する(それだけでも大きな成果だ。車のリースや購入には、多くの人の手と時間を要する手続きが付き物だからだ。そうした手間を省くことができる)。利用者は車を「サブスクライブ」(定額利用)することになる。契約は5日前の通知で解約できる。プランは130ドル(約1万4500円)からとなっている。

車両の側でも、Fairは計算を行っている。どの車種に需要があるかを見極め交渉を行う。自動車販売業者(すでに3000社と契約している)との間で価格を決め、車を入手するための、確かなビジネスの流れを作る。

そのビジネスのデータの流れには、無駄な側面はないようだ。

「私たちのアプリは、およそ200万本インストールされていて、中古車を探している人のための大変に便利な場になっています」とPainterは言う。「それを通じて、私たちは利用者とその購買行動の情報を手に入れ、それをもとに、どの車種や製品が適しているかを考えることができます。データ駆動形の深層学習の実践です」

Painterの事業は、車を所有せず、すべての人がリースする自動車産業を前提としている。好都合なことに、それは、自動車産業はすでに変化し始めていると信じる大勢の人々の考えと一致している。

変化はこのように起こる。自動車がより高性能になる。そしてより高価になり、人々の手が届きにくいものとなる。または、自分で運転するのを嫌うようになる(まさに、自動車メーカーはそんな未来のための準備を始めている)。

人々が移動サービスを好むようになるか、まだ自分で運転したいと思うかに関わらず、自分で車を買うことはなくなる。こうした傾向を、オンデマンドサービスで見てきた大きな経済の変化と合体させると、効率的で、納得価格のリースというビジネスモデルとなり、人々は一度試してみようと思うようになる。

長期的には、個人に車を提供する以外に挑戦したいドライビング・シナリオがあるとPainterは言っている。

「今、私たちは乗用車と個人の移動にフォーカスしていますが、小型の運搬車という商用利用も考えられます。たとえば、小さな運送会社やパン屋、花屋など、輸送が必要なすべての業種が対象です」とPainter。「しかし、2019年はUberや同業の企業を助けることが先決です。そこには明確な要請があります。彼らを成長させるために、私たちはオフバランスシートでやっていきます」。Uberも同業の企業も、いずれは株式を公開する。それが来年である可能性もある。まさに、成長という名のゲームの始まりだ。

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(翻訳:金井哲夫)