分散型の次世代認証基盤を使った「鍵」を開発するビットキーがVOYAGEなどから3.4億円を調達

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私は今でもヘッドホンジャックが欲しい

ブロックチェーンに似た分散技術などを活用し、独自の電子鍵テクノロジーを開発するスタートアップ、ビットキーは12月26日、総額3.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はVOYAGE VENTURESと、複数の事業会社経営者、エンジェル投資家だ。

ビットキーのキーテクノロジー「ビットキー」は、次世代ID/Keyとして、スマートコントラクトやスマートオラクルを応用した各種分散技術、暗号化技術などを活用した、同社独自のデジタルキー基盤だ。分散技術でもブロックチェーンは使わず、独自でブレイクスルーした技術を用いているという。

ビットキーは「改ざん不可能で、複数間で安全にやり取りでき、コスト面にも優れたID・電子鍵のプラットフォーム」として、サービス提供を目指している。また同社はビットキーを搭載した、物理的なスマートロックデバイスの開発も行っており、まずはBtoC領域で提供していく構えだ。

同社は2018年8月創業(会社設立は5月)。ビットキー代表取締役 CEOの江尻祐樹氏は、リンクアンドモチベーショングループでコンサルタント業務に従事した後、ワークスアプリケーションズへ入社。コンサルタントとして活動しながら、旧知のエンジニアたちとともに、2017年末にブロックチェーン/分散システム研究会を立ち上げた。

その後、ブロックチェーン/P2Pや分散技術を活用した、新しいデジタルID認証/キー基盤を開発し、事業化するべくビットキーを設立。江尻氏がワークスアプリケーションズで出会った、共同代表でCOOの福澤匡規氏と、同じく共同代表でCCOの寳槻昌則氏とともに、研究会の参加者を中心にしたメンバーでスタートした。

ビットキー代表取締役 CEO 江尻祐樹氏

江尻氏は会社設立の動機について「ちょっと壮大に聞こえるかもしれませんが、デジタル化が進む現代において、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)などのジャイアントに独占、支配、依存することで生じている社会問題の解決です」と語る。

つまり、巨大デジタル企業の台頭により起きるデータ寡占の問題を、分散型テクノロジーを使うことで、解決したいということだ。

「裏を返すと、より安全で利便性の高い、デジタル社会のID・権利・取引のプラットフォームを生み出して、世の中を前進させたいともいえます」(江尻氏)

ビットキーでは今回の資金調達により、開発体制の強化を図る。また、今後の正式リリースに備え、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスなどの体制づくりも行っていく。

またその後の展開について、江尻氏は「2019年には、スマートロックほか関連プロダクトの『Tobira事業』でロケットスタートを切り、世界一のシェア、出荷台数を1年で実現したい。2020年には日本で、家、オフィス、ホテルなど、どこの扉もビットキーを使って開けるのが当たり前、というのを目指す」と話している。

2020年はTobira事業以外でも、モビリティやスマート行政などの領域にも進出し、可能であればオリンピックでも活用してみたい、と江尻氏はコメント。2021年にはメディカルや自動運転車などとの連携、グローバルへの本格進出も目指すとしている。

「中国、アメリカ(企業の進出の仕方)とは違う、コミュニティの仲間を増やし手を取り合う形で、さまざまな国と連携して、世界の“デジタル社会インフラ”にしていきたい。初めはアジア、ヨーロッパへの展開を想定しています」(江尻氏)

またR&Dの面でも「政府や大学・研究機関と連携し、よりセキュアでセーフティの高いプラットフォーム化や、生体認証・AIと連携した、デバイスすらいらない認証基盤・デジタルキープラットフォーム化についても少し話をし始めている」と江尻氏は述べていた。