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スマホで貸付ファンドに投資できるマーケットプレイス「Funds」をクラウドポートが公開

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ソーシャルレンディング各社のサービス比較サイトを運営するクラウドポートが、自ら第二種金融商品取引業の登録を行い、個人向けの投資サービスをスタートする。新サービスの名前は「Funds(ファンズ)」。「資産形成したい個人」と「事業資金を借りたい企業」を結び、スマホで貸付ファンドの取引ができるマーケットプレイスだ。Fundsでは1月8日から口座開設の受付を開始した。

Fundsではクラウドポート自体は自己募集を行わないが、代わりにクラウドポートの定める基準をクリアした企業が、自社グループの事業に必要な資金を調達する目的でファンドを組成する。

この貸付ファンドに対して、ユーザーは投資を行い、分配金を得る。1つの口座で、さまざまな企業の運用するファンドに最小投資単位1円から分散投資が可能。分配金の再投資により、複利効果も期待できる。

クラウドポート代表取締役の藤田雄一郎氏は、Fundsを「個人向け社債と同等の性質を備えつつ、よりインターネット的なサービスを」と構想し、1〜2年かけて試行錯誤しながらサービスとして練り上げた、と話している。

「モダンな個人向け社債」を目指して作られたFunds

藤田氏は「少子高齢化により社会保障費が拡大する一方で税収が伸び悩んでいくなか、個人の負担増が予想され、資産運用というより資産形成による自助努力がますます必要になってくる」という。だが、貯蓄から投資への流れは進んでいない。日本の個人金融資産残高のうち、現預金、保険・年金の比率は高いままで、有価証券の比率は2013年からの5年間、ずっと16〜17%近辺で変わっていないのが実情だ。

資産運用が行われない理由は、余裕資金が不足していること、知識が足りないと感じる人が多いことによるものだと藤田氏はいう。「株式投資やFX、投資信託は相場による値動きがあって、管理の手間がかかる。また勉強も必要で、片手間で投資を行うにはハードルが高い方法だ。また不動産投資は値動きは激しくないのでよいけれども、ある程度の資金が要る。もっと値動きが激しくなくて、コツコツ少額で投資できる方法が必要だ」(藤田氏)

そうしたなかで社債は、「相場に左右されず、安定的なリターンが見込めるので、初心者や忙しい一般投資家に向いている投資方法だ」と藤田氏は述べる。「社債は株式投資と比べて値動きが少なく安定しており、貸し倒れがない限り元本は戻ってくる。また、当初決められた金利以上のものは得られないが、コツコツ資産を増やすことができる」(藤田氏)

実は個人向け社債の新規発行額は年間1.4兆円と大きな市場を持つ。SBIやマネックスなど、人気の社債は数十億〜100億円規模が即日完売するという。

だが、個人向け社債市場には問題点もあると藤田氏は指摘する。「販売方法が旧態依然として、モダン化されていない。いつでも買えるわけでもなく、投資家人気を受けて利回りは1%を切るところまで下がっている。また投資単価が100万円と高額で、PCやスマホだけで売買が完結できるものはほとんどない」(藤田氏)

社債を発行する企業の側にも課題はある。日本企業の社債による調達比率は20%以下。一方米国では半数以上を社債による調達が占める。これは「米国では社債マーケットが発達しているからだ」と藤田氏は説明する。

「日本では社債を発行できる企業が少ない。というのは、既存の証券会社が事実上、JCR格付けでBB以下の社債を取り扱っていないから。BBB格付けのマネックス、SBIなどでぎりぎり証券会社での扱いがある、という状況だ」(藤田氏)

また社債の起債(発行)には、目論見書の作成や格付けの取得など、発行企業の手間やコストもかかる。

そこで、社債のメリットを備えつつ、デメリットを排除してモダン化された投資サービスとして考案されたのが、Fundsだ。

既存ソーシャルレンディングの問題点を審査やスキームで回避

クラウドポートでは、既存のソーシャルレンディングで課題となっている、不適切な貸付審査やファンド募集、運用・管理による利用者の不利益や行政処分を避けるため、Fundsで扱うファンド組成企業に対して厳しいルールを設けている。

前提となる条件は、上場企業、または監査法人の監査を受けている企業、もしくはVCから出資を受けている企業であること。いずれも第三者からのけん制が効いており、上場済み、もしくは上場を目指しているため、不正を起こす確度が低い企業である、としている。

その上で、企業のファンド運営適格性を査定。財務状況をはじめとした審査項目による厳密な審査を行う。またファンド募集時にもファンドごとに審査を徹底。運用中ファンドについても決算期ごとのモニタリングにより監視を行い、都度ユーザーへ報告をするという。

Fundsローンチ時のファンド組成企業は3社。独立系ノンバンクで最大手のアイフルと不動産販売事業で実績とノウハウを持つデュアルタップ、そしてオンラインレンディング事業を営むスタートアップのLENDY(旧社名クレジットエンジン)だ。LENDYの参加について藤田氏は「東証1部上場企業や500 Startupsなどから出資を受けており、将来性のあるスタートアップ。そうしたスタートアップにもお金を回したい」と述べている。

Fundsでは、1月以降も東証1部上場の不動産会社や空中店舗「フィル・パーク」運営のフィル・カンパニーなどの参加を予定。「1年以内に20〜30社の企業の参加を目指したい」と藤田氏は話している。

審査の厳格さのほかに、投資家ユーザーの不利益を減らすべくFundsで採用されているのが「関係会社貸付スキーム」だ。Funds上で調達された資金は、ファンド組成会社からそのグループ企業に貸し付けられ、その後さまざまな事業に使われる。ユーザーが負う主なリスクは、ファンド運営企業の信用力、そして借り手であるグループ企業からファンド運営企業への返済が正常に行われるかという点になる。

このため、ユーザーは実質的にはファンド組成企業のグループ企業の信用に対して投資をする形となるという。借り手のグループ会社が貸し倒れた場合には連動して投資家の元本が損なわれる可能性はあるが、商品性やリスクは個人向け社債に似たものとなる。

またFundsでは、ファンドの募集はクラウドポートが、運用はファンド組成企業が行う完全分業制を採っている。クラウドポートは顧客対応や営業者審査、プロダクトのブラッシュアップやモニタリングなど「場としてのサービス」に特化。ファンド組成企業は案件開拓や案件審査など、本業のファンド運営に注力することで、より品質の高いサービス提供を可能とする。

また取り扱いとファンド運営を完全に分離したことで「利益相反が起こりにくくなる」と藤田氏は説明する。「これまでのソーシャルレンディングでは、取扱者と組成企業が実質的に同じであることで、問題が起こりやすかった。Fundsではこれを分離することで、投資家目線でサービスを提供していく」(藤田氏)

Fundsは個人向け社債とソーシャルレンディングとの間、利回り1.5〜6%程度の「ミドルリスク・ミドルリターン」の市場を対象とする。相場に左右されず、デフォルトがなければ元本は一定とあって、「マインドシェアが取られない」と藤田氏は話す。

Fundsでは、売買が成立した場合、応募額の1〜1.5%の取扱委託手数料が事業者からクラウドポートへ支払われる。「成果報酬のみで初期費用やシステム利用料は無料。企業はコストをかけずに調達が行える。また審査は厳しいが、ファンド設立にともなう第二種金融商品取引業の登録は不要。投資家集めやシステム構築も不要なので、企業にもメリットがある」(藤田氏)

Fundsにももちろん、リスクはあって、貸し倒れによる元本減少や取扱者、ファンド運営者の倒産リスク、運用期間中は解約できないことや運用期間の延長、早期償還などの可能性もあるため、「基本的には余裕資金で、分散投資を心がけてもらえれば」と藤田氏は話している。

Fundsで調達/投資の新スタンダード目指す

藤田氏は「クラウドポート設立時から、共同創業者の柴田(柴田陽氏)とも事業ブレストをするなかで、ファンド運営の構想はあった。比較サイト運営などで投資家さんたちとコミュニケーションを取っていくなかで、肌感覚を持って課題を知り、今回のサービスにつながっている」という。

写真前列中央:クラウドポート代表取締役 藤田雄一郎氏

「高利回りのソーシャルレンディングでは、企業が仕組みを使って資金調達をするためのコストが高い。そこで15%(の利率)とかで資金を貸すと、問題のある会社がどうしても入ってきちゃう。問題が起こればソーシャルレンディング業界全体が『怪しい』ということになってしまう。Fundsでは個人向け社債の性質に近いものを、ということで構想した。3〜5%の利率で、企業は資金調達ができ、投資家は『聞いたことのある企業に、手の出せる金額で投資できる』という楽しみができる」(藤田氏)

藤田氏はFundsを、インターネット経由、スマホ経由で、ファンドを通じて資金調達/投資ができる仕組みとして「新たなスタンダードとしたい」と語る。

国内には類似のサービスはないが、海外ではY Combinatorのプログラムにも参加したAlphaFlowが同種のサービスを行っており、ベンチマークとして研究したという藤田氏だが、「結果としてかなり違うサービスとなった」ということだった。「Fundsはグローバルにも展開したい。世界で使えるマーケットプレイスを作りたい」(藤田氏)

【2019年1月15日 18:00修正】
クラウドポートから、運用中ファンドのモニタリング期間について誤りがあったとの連絡を受けましたので、下記の通り修正、および図の差し替えを行いました。

誤:計算期間ごと
正:決算期ごと