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史上最年少の女性下院議員はミームの使い手

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Alexandria Ocasio-Cortezはインターネットカルチャーに精通し、評論家たちが彼女に「大人になれ」と要求してもネットを使うことを恐れたりしない

ミーム(Meme)は、政治文化の新しい用語であり、それを無視することには危険を伴う。リベラル派はこのことを、先の大統領選挙運動の後半に、 オルタナ右翼たちが、白人至上主義者たちのイデオロギーを支持するバイラルジョーク、ハッシュタグ、およびイメージなどを、プロパガンダツールとしていかに器用に使いこなすことができたかに気付き、痛みと共に学習したのだ。この現象は、しばしばリツイートを通じて、ドナルド・トランプから拡散された(大統領のTwitterアカウント@realDonaldTrumpは、間違いなく最高行政機関によるミームファームだ)。進歩主義者たちは自分たちのミームで反撃しようとしたものの、政敵たちによる”cuck”(「腰抜け」といった意味の罵倒語)といった新しい語彙や、コミックキャラクターであるPepe the Frogの利用(そのオルタナ右翼による不正利用が、作者であるMatt Furieと出版社によって非難された)のような影響力を生み出すことはできなかった。

しかし、左派はようやくミーム文化を取り戻す方法を得たようだ。それも4chanやRedditの匿名の書き込みに由来するもではなく、キャピトルヒル(米国会議事堂)から来るものだ:下院議員Alexandria Ocasio-Cortez(アレキサンドリア・オカシオ=コルテス)のソーシャルメディアアカウントがその発信源である(彼女はしばしばAOCという名前で参照される。これは彼女のTwitterハンドルでもある)。彼女はインターネットカルチャーに精通しているだけでなく、Ocasio-Cortezはそれを積極的に活用しようとしている。たとえ評論家たちが、国会議員として選ばれた史上最年少の女性である彼女のことを、“little girl”(お嬢ちゃん)と呼んだり、彼女の所属する民主党に対して「若者のような振る舞いは止めるべきだ」とAaron SorkinがCNNのインタビューで口走ったように、とにかく軽く扱おうとしてもその勢いは止まらない。

Ocasio-Cortezのツイートは、インターネットとゲームカルチャーの知識を、課税や所得格差、化石燃料による汚染、そしてトランスジェンダーといった真面目な課題と織り交ぜたものだ。一方彼女のInstagramとStoriesの投稿は、フォロワーたちに対して国会の舞台裏を伝えるものである。彼女は重要な政策に関する議論を促し、特に限界税率の場合には、Mitch McConnell(共和党の大物議員)をミーム(#wheresMitch)に変えさらにC-Span(ケーブルテレビの政治チャンネル)上の動画は話題になり拡散された

まだ議会に宣誓して1ヶ月も経たない Ocasio-Cortezの、政治的文脈への影響は既に明らかなものとなっている。このことは、先の週末に一層強調された。まずOcasio-Cortezが、 彼女の提出した(年1000万ドルを超える収入を得るものに70%の課税を行うという)税率の提案に対する(共和党民主党を問わない支持層からの)人気の高さに、“All your base (are) belong to us”(みなが私たちの味方です)とツイートしたことだ(”All Your Base Are Belong to Us”の元々の意味は、敵に対して「全ての基地を制圧したので投降せよ」というもの、一種の勝利宣言)。このミーム自体は「古典的」とみなされるほど、昔から使われ続けてきたことだが、彼女がそれを使うことによって大きな話題となった

そして日曜日には、Ocasio-Cortezは、YouTuberであるHbomberguy(Harry Brewisという名前でも知られている)のDonkey Kong 64のTwitchに参加した。これはトランスジェンダーの若者の支援グループであるMermaidsのための募金イベントであり、彼女から支援も表明された。Ocasio-Cortezは、トランスジェンダーの人々に対する差別について語り「経済的な枠組みの中でこれらの問題について話すことは重要ですが、差別が経済的困難の主な理由であるという事実を忘れてはいけません」と述べた(なお番組中で彼女はNintendo 64について「おそらく最も素晴らしいシステム」だとも述べている)。

ニューヨークのクイーンズ第14地区およびブロンクス選出議員であるOcasio-Cortezは、ミーム文化を皮肉るやり方にも深い理解を示していて、そうした反発する手合いさえも参加者として引き込むのだ。こうした手腕は、自分自身の物語と視点を手に入れたいと思っている公人なら誰しも、手に入れなければならないものだ。そして民主党側はこれを理解しているようだ、なぜなら彼らは彼女に対してソーシャルメディアについてのトレーニングセッションを主催してくれるように頼んだのだ。

彼女を批判するものは、Ocasio-Cortezの影響力の強さは、その若さと外見によるものだと言う。それはもちろんOcasio-Cortezが意識して対応し続けてきた要素だ。しかし、彼女はそうした批判でさえも、彼女のためにどのように使うべきかを見出した。Ocasio-Cortezの偽のヌードセルフィーが、右翼系ニュースサイトDaily Caller上に再投稿されのは、ミーム文化(と彼女の外見)を彼女に刃向かわせようという試みだった。だが彼女はそれを、女性リーダーに対するミソジニー(女性蔑視)問題に関する議論として昇華した。

TwitterユーザーのAnonymousQ1776が、高校時代の彼女のダンスビデオを投稿することで、Ocasio-Cortezを「どうしようもない馬鹿者」と印象付けようとした試みは、逆に彼女が普通の高校生であることを示しているだけだという反論を集めた。Freedom of the Press財団の特別プロジェクトディレクターであるParker Higginsがツイートしているように、”The Breakfast Club”のシーンに触発されたこのビデオ自体は(比較的)初期のインターネットミームの一例であり、それ自身が著作権法とフェアユースの権利に関する議論(と訴訟)を引き起こした。ご想像どおり、そのツイートがきっかけになって、AOC Dancing to Every Song(AOCがどんな曲でも踊るよ)ミームが誕生している。

しかし、Ocasio-Cortezのメッセージは、彼女の政治的反対者に対するものだけではない。それらはまた、 ここ数年徐々に権利を奪われ恐怖を感じてきた人たちに対して、国家の問題は根深いものの、知恵やときには皮肉なユーモアを使ってアプローチできるというシグナルを発しているのだ。

彼女が議員に就任した1週間後、ハイテク投資家Vinod Khoslaはさりげなく彼女の信用を損なう発言を行った「彼女の基本的な経済学、実際の人間と技術に対する理解」に対する疑念を表明したのだ。これは、 Intel International Science and Engineering Fair(高校生のための研究コンペティション)の微生物学部門で第2位を獲得し、ボストン大学で国際関係および経済学の学位を取得した人について語るには、とても奇妙な発言だ。

「ミームが得意であること」は、高校生のための最も権威ある研究コンペティション(過去の受賞者の中にはノーベル賞や国立科学賞を受賞している者もいる)の1つを受賞した彼女の経歴の中では、それほど輝いているようには見えないかもしれないが、少なくともOcasio-Cortezがテクノロジー(と実際の人間)を、彼女の批判者たち(Ocasio-Cortezに対して「若いお馬鹿さんではなくて、大人になれ」と忠告するKhosla、Sorkin、そしてPiers Morganたち)が、追いつけないレベルで理解していることを示している。

Ocasio-Cortezは、ソーシャルメディア、特にTwitterを介して言説をコントロールすることができるため、 トランプ大統領とよく比較されてきた。しかし、別のミームを引用するなら、トランプは混沌とした悪であり、衝動のおもむくままに行動し、たとえ弱い人びとの生活に深く影響を与えたとしても、コントロールができないように見える。Ocasio-Cortezの政治的影響がD&Dアラインメント(ゲームのキャラクタを秩序-混沌、善-悪の二次元のマトリクスで表現したもの)のどこに当てはまるのかを正確に決めるのは時期尚早かもしれないが、それが「混沌」以外のどこかに当てはまることは間違いない。

画像クレジット: John Lamparski (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)