詐欺まがいのサブスクリプションの排除に舵を切ったApple

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Appleは、ユーザーを騙してサブスクリプションに引き込むのは止めろ、というメッセージをデベロッパーに送っている。それは、モバイルアプリのデベロッパー向けガイドラインを更新し、許されることと許されないことの線引を明確に定義したことによるもの。この最近の変更点は、9to5Macによって発見された。この文書の改定のタイミングは、サブスクリプションが消費者にとって何かしら災難のように感じられ始めたことと時機を同じくしている。

サブスクリプションは、すべてのアプリがそのサービスに移行してしまうのではないかと思われるほど、急速に普及した。それは結局のところ、ユーザーにお気に入りのアプリの利用を止めさせることになりかねない。なぜなら、何十ものアプリの支払いがずっと続くのは、大きな金銭的負担となるからだ。しかしもっと喫緊の問題は、サブスクリプションに関するルールの適用が甘いせいで、グレーなアプリデベロッパーの懐を肥やしてきたことだ。

サブスクリプションは、アップストア上の大きなビジネスとなっている。アプリ業界は、無料アプリ内の1回限りの購入や有料ダウンロードから、継続的な収益が得られるモデルへと移行してきた。常にアプリを改良し、新機能をリリースし続けるデベロッパーにとって、サブスクリプションは、そうした仕事を続けるための財政的な支えとなる。それがなければ、常に新規のユーザーを開拓し続けなければならない。

しかし、必ずしもすべてのデベロッパーがフェアに振る舞ってきたわけではない。

TechCrunchが昨年の秋に報告したように、多くの詐欺師たちは、サブスクリプションモデルを悪用し、無料ユーザーにしつこくアップグレードを促し、消費者を騙して継続的な支払いに誘い込んでいる。

アップグレードを促すプロンプトを頻繁にポップアップしたり、そのプロンプトウィンドウを閉じるための「×」を隠したりするアプリがある。また、無料トライアルを謳いながら、非常に短期間、たとえば3日で有料版になってしまうものがある。あるいは、わざと混乱を招くようなデザインを採用し、サブスクリプションのオプトインのボタンが「始める」とか「続ける」のような大きな文字になっているものもある。それでいて、それによりサブスクリプション料金の支払いに同意することになる、と説明する文字は小さく、薄く、読みにくくなっていたり、何らかの方法で隠されていたりする。

Appleのデベロッパーガイドラインは、これまでもサブスクリプションに関して詐欺的な行為を明確に禁止してきたが、現在では可否を具体的に記述している。

9to5Macが見つけたところでは、AppleのヒューマンインターフェースガイドラインApp Storeのドキュメントの改定の結果、サブスクリプションの月額を明記するよう、はっきりと記述された。また、長期間を選ぶと、いくらお得になるかといった情報は、あまり目立たないようにしなければならない。

無料トライアルに関する記述には、トライアルの期間の長さと、トライアル期間が終了したときにかかる料金を明示しなければならなくなった。

こうした新しいドキュメント自体も明瞭な構成となっていて、適切なサブスクリプションのためのサインアップの手順が、スクリーンショット付きで示されている。また、デベロッパーが各自のアプリ用に修正して使えるような、サンプルテキストも含まれている。さらに、ユーザーがApp Store内のサブスクリプションのセクションを探すのではなく、アプリ内で自分のサブスクリプションを管理できるようにすることを、デベロッパーに促している。

今日、多くのユーザーは、いったん有効にしたサブスクリプションを停止する方法を理解してない。 iPhoneの「設定」から、サブスクリプションのセクションにたどり着くには、いくつものステップが必要となる。App Storeからでも、2、3ステップかかる。(しかも分かりにくい。ホームページの右上にある自分のプロフィールアイコンをタップし、次にApple IDをタップしてから、そのページのいちばん下までスクロールする。それに比べると、Google Playでは、左側のハンバーガーメニューを1回タップするだけで、「定期購入」セクションを表示できる。)

すべきことと、すべきでないことを明確に記述したドキュメントの存在は歓迎できるが、現時点での本当の問題は、Appleがそのルールをどの程度まで厳密に適用するか、ということだ。

結局のところ、Appleは以前からサブスクリプションに関する詐欺やごまかしを容認してきたわけではないが、App Storeの、特にユーティリティのカテゴリには、それなりの数のたちの悪いものが巣食っていたというわけだ。

もちろん、Appleとしても、App Store内で、誤解を招くような、あるいは詐欺的なアプリが幅を利かせているというような風評が立つことは望んでいない。しかし、それはそれでAppleに利益をもたらすことになる。

App Annieのレポート、「State of Mobile 2019」によれば、ゲームは依然としてApp Storeでの支払額の大部分を占めているものの、現在ではゲーム以外のアプリも、App Store全体の4分の1を超える(26%)までになった。そして、その数字は2016年から18%も増加している。これは、主にアプリ内サブスクリプションのためなのだ。

重要なのは、サブスクリプションを市場に広めるための適切な方法を会得することだ。しかし、長い目で見たときに、デベロッパーにとってサブスクリプションが、果たして持続可能なモデルになり得るのか、という大きな疑問もある。今日のApp Storeでは、サブスクリプションを一種のゴールドラッシュ的なものととらえる風潮が広まっている。実際、毎月のように転がり込む目先の利益には抗しがたいものがある。

しかし、より多くのデベロッパーがサブスクリプションを採用すれば、消費者は自分にとって本当に価値があるものを最終的に選択しなければならなくなる。Apple Storeに限らず、すでに多くのサブスクリプション料金を支払っているからだ。たとえば、Netflixのようなストリーミングビデオ、Spotifyのようなストリーミングミュージック、YouTube TVのようなストリーミングTV、Ipsyのような定期購入、Amazonプライムのメンバーシップ、Instacartのような食料品の配達、RingやNestのようなスマートホームのサブスクリプション、新聞や雑誌、ニュースレター、などなど。最終的に、自撮りのエディタ、To-Doリスト、天気予報アプリ、といったものに残される取り分はあるのだろうか?

多くの消費者は、これ以上は払えないという段階に達し始めている。新しいものを有効にするために、何かを無効にしなければならない。そうなれば、サブスクリプションアプリのユーザーベースは縮小せざるを得ない。有料のサブスクリプションに留まるのは、コアなユーザーだけ。それほどこだわらないユーザーは、たとえばApple純正の標準アプリや、Googleのような裕福な大企業が提供する無料サービスに戻るだけだ。

Appleは、アプリの実装や設計方法だけでなく、そのアプリにとってサブスクリプションが意味がある場合には、デベロッパーにそれをアドバイスするようにすれば良いだろう。サブスクリプションは、単にアプリを使い続けられるようにするだけでなく、本当の価値を提供すべきだ。また、いつもサブスクリプションを拒否するようなユーザーをアプリにつなぎ留めておくには、1回限りの購入のオプションが有効な場合もあるはずだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

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