iRobotのロボット芝刈り機、10年の開発期間を経て商品化

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iRobotが提供する最新の製品ライン、Terraをご紹介しよう。この先「芝刈りRoomba」として知られるようになる筈だ。まあもっと酷い名前になる可能性もある。しかしなんと言っても、iRobotは数え切れないほどのスタートアップたちが試行錯誤を繰り返してきたホームロボットの分野で、Roombaシリーズを使って主流となる製品を投入することができた企業なのだ。マサチューセッツに本拠を置くこのハードウェア会社が、庭仕事のためにも同じことを達成することができるならば、それは本当に印象的な偉業となるだろう。

しかし、iRobotの多くの仕事と同様に、芝刈りロボットの開発はゆっくりと慎重に進められてきた。今年のCESでの非公開の会議で、CEOのColin Angleがこのロボットのベールを剥いだ。それは、その1機種のための盛大な発表会のようだった。だが彼はまず最初に、なぜiRobotがこの商品の投入に時間がかかったのかを正確に説明した。

結果としてTerraは、Roombaが床のために行っていることを、芝生に対してもやろうとした最初の試作品とは、はるかにかけ離れたものになっているのだ。ホンダは既に、RobomowとかWorxといったあまり知られていない名前のロボットで、この分野に参入していた。しかし、iRobotには、競合他社がもたない重要な技術がある ―― 17年間に及ぶRoombaラインの開発と進化の経験だ。

それでもAngleは、Terra(コードネーム:Wichita)は開発に10年近く掛けられた製品であり、35人から50人の研究開発スタッフが、この新製品だけに専念してきたのだと言う。このような製品をきちんと作り上げるには、数多くの可動部品が(比喩的にも文字通りにも)必要とされる。そして新しい目的のために、水平でない屋外を移動するためには、確かにRoombaチームの成果を単に繰り返せばよいというわけではないのだ。トランポリン上での傾斜した脚は、ロボットにとって制御が特に難しいものであることが証明されている。

実際、同社はマサチューセッツ州ベッドフォードにある、柵で囲まれた駐車場の中でこの芝刈り機を密かにテストしていた。この場所はかつて同社の軍事ロボット用の戦闘場だった(2016年にEndeavor Roboticsとして独立している)。その間私も、同社の本社を何度か訪問していたのだが、何も気付いてはいなかった。

Terraの操作は、最近のRoombaを使ったことのある人なら誰でも、既にお馴染みのはずだ。通常芝刈り機は充電ドックに収まっている。初めて起動されたときに、芝刈り機はiRobotのImprintスマートマッピング技術を使って周囲の様子を探る。この技術は基本的にRoombaで使われているものを、より大規模に応用したものだ。視覚システムは、より障害物を検知し、屋外で起きる均一でないライティング状況に対応するものになっている。

ロボットの上部が開き、小さなリモコンが出てくるので、それを使って初めは人間がどこに行くべきかを手動でTerraに示すこともできる。自分で操縦する楽しみを味わいたいひとは、もちろん後でそれを使うこともできる。

Roombaと同様に、システムはビーコンシステムを利用している(2台のビーコンが同梱されている)。それらはあまり目立たない支柱で地面に立っていて、柵やその他の自然の境界線のない区画に対する、仮想的な境界を作る手助けをする。このシステムはRoombaと同じHomeアプリを利用しているので、ユーザーはその作業進捗状況などをリモートから監視できる。

Terraは刈られた芝をバッグに集めるのではなく、多くの産業用芝刈り機が採用している、マルチングシステム(刈った芝を細かく粉砕する手法)を用いている。このロボットはRoombaよりもはるかに整然としたやり方で芝生に乗って往復し、芝生を縞模様に刈り上げる。バッテリーは、ほとんどの住宅用の芝刈りには十分すぎるほどの容量がある筈だが、もし途中で充電が必要になった場合には、Terraは充電ベースに自力で戻り、充電が終わると続きの場所から芝刈りを始める。

このシステムは様々な気象条件に耐えることができる。ただし、特に寒い地域に住んでいる場合には、雪が積もったときには屋内に持ち込んでおくことが賢明だ。特定の芝生から別の場所に移動されたときには、Terraが使えないようにするセキュリティシステムも搭載されている。

価格を含む詳細はこれから発表される予定だ。面白いことに、このロボットはまずドイツで発売され、今年後半には米国でベータ版として発売される予定である。このため同社はシステムの調整をまだ継続することができるだろう。

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(翻訳:sako)

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