スバル「アイサイト」のカメラ発明者が率いるITD、資金調達で開発環境を強化

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自動運転車などに用いるステレオカメラを開発するITD lab(以下、ITD)は2月5日、電子部品の専門商社である富士エレクトロニクスを引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。金額は非公開であるものの、2018年6月に発表した前回ラウンド(4.8億円調達)と合わせて6億3000億円を調達したということなので、今回のラウンドでの調達額は1億5000万円ほどと推測される。

ITDが手がけるのは、「小型軽量」「低消費電力」「高速応答性」などの特徴をもつ「ステレオカメラ」と呼ばれる製品だ。2つのイメージセンサーから得られる視差を使って物体までの距離を計算する。自動車、ドローン、建機、ロボットなどに取り付けることで衝突防止をしたり、自動運転を実現したりなどの用途に用いられる。

自動運転車に取り付けるデバイスには、ステレオカメラの他にも「LiDAR」や「単眼カメラシステム」などがあるが、ステレオカメラはLiDARに比べてコストが抑えられてかつ応答速度が早く、単眼カメラとは違って学習モデルにない物体でも距離計算ができるというメリットがある。

ITDの代表取締役会長CTOを務めるのは実吉敬二氏。彼は、元東工大の准教授であり、スバルの運転支援システム「アイサイト」に採用されたステレオカメラの発明者でもある。実吉氏は1998年にスバルを退社した後、東工大へ。それから約20年に渡ってスバルとは独立してステレオカメラ技術の研究開発に従事。この研究を引き継ぐ形で2016年5月に創業されたのがITD Labだ。

ITDのステレオカメラのアルゴリズムは、アイサイトのステレオカメラと同様に「SAD(Sum of Absolute Difference)」方式を採用。一方で、現在商品化されているステレオカメラの多くは「SGM(Semi Global Matching)」方式を採用している。SAD方式はSGM方式に比べ、アルゴリズムの簡素化によってシステムコストや消費電力を大幅に抑えられる、視差画像の中に映る物体の輪郭がよりハッキリと表現されるなどのアドバンテージがあるという。コストや消費電力を抑えながら毎秒60〜160フレームの超高速処理を実現可能だ。

また、ITDのステレオカメラにはアイサイトでも実現できていない「リアルタイム自動調整機能」が搭載されており、例えば温度変化や衝撃などでカメラ本体の組み立て精度が変動してしまっても、システムが自動的に視差画像を調整・補正するそうだ。

ITDはプレスリリースのなかで、「(ITD製のステレオカメラは)毎秒60〜160フレームの超高速で物体の輪郭と距離情報を極めて正確に確定するため、自動運転車の “眼” の役割を担う事ができる。ディープラーニングのAIと組み合わせる事で真の意味 (レベル4、レベル5) の自動運転システムを構築する事ができる」とコメントしている。

ITDは今回調達した資金を利用して、人材の確保、研究環境の整備、外部開発会社を巻き込んだ大規模開発などを進める。

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