「火中の栗を拾う覚悟」脱社畜サロン新オーナーにStartPoint小原氏が参加、TIGALA正田氏と交代

次の記事

ドコモとスペースマーケットが協業、貸切空間でライブを楽しめる「プライベートビューイング」体験創出へ

StartPoint取締役社長 小原聖誉氏

読者の中には、Twitterなどでオンラインサロン「脱社畜サロン」について、見聞きしたことがある方も多いかもしれない。このサロンは、ブロガーのイケダハヤト氏と連続起業家でTIGALA代表取締役社長の正田圭氏が2018年11月に開設したものだ。2019年1月からは、ブロガー・作家のはあちゅう氏もオーナーとして加わっている。オーナーの3人だけでなく、個人投資家の古川健介(けんすう)氏やZOZOの田端信太郎氏ら著名人もサロンに参加していたこともあって話題になったのだが、1月半ばから会員数を大きく減らす事態となっていた。

サロンはクラウドファンディングのプラットフォーム、CAMPFIREの定額課金制プロジェクトとして参加者を募り、開設から約2カ月で約3000人の会員を集めていた。ところが1月に入り、正田氏のプロフィールについて疑義が持ち上がったことをきっかけにして、Twitter上でのやり取りから、ほかのオーナーや退会者も巻き込んだ、いわゆる“炎上”状態となったのだ。

正田氏は15歳で起業し、いくつかの会社を立ち上げて、現在はTIGALAでM&Aコンサルティングを中心とした事業を行っているという。疑義というのは主にこのM&A案件の規模に関するもの。正田氏がTwitterのプロフィールに「2〜3桁億円をメインとしたM&Aコンサル会社」と記載していたことに対して、誇大広告ではないか、とブログで指摘があり、サロンに参加していた会員がオーナー陣に質問したところ、会員が退会扱いとされたことから騒動が大きくなった(疑義については、後に正田氏が自身のブログで「3桁億円のM&A案件は実際に現在進行中のもの」として否定している)。

その後、正田氏は「サロンが急成長しているが故に、TIGALA社の本業とは大幅に異なったものになった」として、2月5日で脱社畜サロン運営から外れると発表。そして2月6日、正田氏に代わって、エンジェル投資家として創業支援を行うStartPoint取締役社長の小原聖誉氏がオーナーとして参加することを明らかにした。これにより、今後はイケダハヤト氏、はあちゅう氏、小原氏の3人体制でサロンは運営されることとなる。

「火中の栗を拾う覚悟」という小原氏から、サロン参画にあたってのいきさつや、今後の展開などについて話を聞いた。

サロンの潜在的な起業家のために運営参加を決断

小原氏は投資家として、正田氏のTIGALAへも2018年11月に出資している。このつながりが、小原氏の脱社畜サロン参画のきっかけになっている。参画について「(炎上もあり)正直最初はびびっていたが、僕のライフワークとは重なっている」と考え、決断したと小原氏は言う。

小原氏がスタートアップと関わり始めたのは、学生時代の1999年。創業メンバーとして2社のスタートアップに参画した後、2013年にスマートフォンゲームのマーケティング事業を行うAppBroadCastを創業した。2016年4月にはAppBroadCastをKDDIグループのmedibaへ売却して合流。2018年5月まで同社で新規事業開発に従事しながら、StartPointを立ち上げた。

StartPointと小原氏個人とを含め、現時点で15社のスタートアップへ出資を行っているが、現在は軸足をエンジェル投資から起業前支援へシフトしていると小原氏は話している。

「僕自身、起業前後で相談相手がいなかった。IVS(Infinity Ventures Summit:インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)などのスタートアップコミュニティにも入れていなかったので、事業や顧客とだけ向き合う日々だった」という小原氏。とはいえIVSなどのよく知られたコミュニティへ参加できるスタートアップの数は限られている。「これは起業家にとってよくないことなのではないか。起業したい人に広く、その差分を埋め、開放したい」と考えたことが、StartPoint創業の理由となった。

「一般的なVCは、起業家に新しい産業づくり、ユニコーンづくりを求めることが多いが、僕は自分で意思決定する人をつくりたいと思っている。限られた人ではなく、多くの人にうまくいってほしい。そのためのブースターの役割となりたい」(小原氏)

2018年末からは、起業家のためのスタートアップジム「WithStartUP」をサービスとしてスタート。1on1の面談とコミュニティで、「“起業版ライザップ”として、スポーツジムのように起業前を含む起業家を支援する」(小原氏)というものだそうだ。「起業に必要な情報のほか、心構えなどの部分でもサポートする。自分も起業するまでに15年かかったからこそ、同じ立場で支援できる」と小原氏はいう。

こうした小原氏の行う活動の延長線上に、脱社畜サロンがあった。「正田氏がサロンオーナーを辞めることで、起業家サイドのオーナーが減ってしまう。でもサロンには潜在的な起業家がいる。イケハヤ(イケダハヤト)さんやはあちゅうさんが、インフルエンサーやクリエイターとしてサロンを運営するなら、僕は起業サイドで運営に加わろうと思った」(小原氏)

「ASAYANの起業版」コンテンツ提供も検討

“炎上”騒ぎの渦中では、参加者、元参加者からサロンのコンテンツの質を問う発言も見られた。これについて小原氏は「コンテンツには価値の高いものもあるが、パッケージに課題があると感じた」と述べている。

もともと「ビジネス版の週刊少年ジャンプ」として構想されていたというサロン。「今月読めるコンテンツ」を期間限定で参加者に提供する「読みもの+テキストコミュニケーション」で構成することで、サロンとしては手が出しやすい、月額3000円の価格設定を実現しようとしていたようだ。コンテンツ量も、1000円の書籍3冊分、30万字を基準に保持しようとされていたという。

小原氏はオーナーとして加わるにあたって「ネーミングは“脱社畜”と過激だけれども、サロンそのもの、起業家づくりの応援は促進したい」と話す。そこでコンテンツの強化も検討しているそうだ。

「昔、ASAYANという番組(モーニング娘。などを輩出したタレントオーディションのバラエティ)があったが、起業家でそれをやるようなプログラムを考えている。サロン参加者で起業家を目指す人の中から、事業内容や本人の熱量が高い人を選抜して、スタートアップジムの強化版を一緒にやっていく。すべての人に支援をするのは難しいが、起業するところまでの成長の過程を公開してもいい、という人を選んで、コンテンツとして提供し、他の人にも擬似的に体験できるようにしたい」(小原氏)

「起業を無理に進めるわけではなく、独立独歩で決められることが大切」という小原氏。脱社畜サロンはそのためのプラットフォームだと考えているそうだ。

「先ほども言ったように、インフルエンサー、アーティストとして独立したい、という人にはイケハヤさん、はあちゅうさんがいる。僕は独立独歩の選択肢として、起業を目指す、という人に、丁寧に向き合っていく」(小原氏)

直近では、サロンのリブランディングに取り組むという小原氏。コンテンツは参加者と向き合っていく中で、チューニングしていく、という。

小原氏は、起業のコストを削減するサービスやソリューション、すなわち「起業テック」をいずれStartPointとして提供したいとして「そのためにも、より多くの起業を目指す人と会いたい」と話しており、火中の栗を拾う、というだけではなく、サロン参画は自身の目的にも沿ったものだと述べている。

「サロン運営で儲けたい、というよりは、(参画により)顕在的な起業家層、潜在的な起業家層も含めた人それぞれに、最適なソリューションを見つけたい」(小原氏)

StartPointでは、TIGALAが単独で運営していた起業家向けサロン「pedia salon」についても事業譲渡を受け、運営担当を開始するという。小原氏はこれらサロン運営を「ライフワークとして実行していきたい」と語っていた。

【関連記事】
DMM.comがオンラインサロンサービス運営のシナプスを子会社化
ユーザーローカルが「VALU」のユーザーランキング公開
CAMPFIREがコミュニティウォレット「Gojo」をBrainCatより事業譲受
ホリエモンが月額1万円の「堀江貴文サロン」始動
人工知能で入会審査する大学生限定SNS「Lemon」