MWC 2019は「モバイル」が本当に多様化していく最初の年になるだろうか?

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CES 2019は不発だった。たまたまそうだった。おもしろい年もあれば、そうでない年もある。テクノロジーの世界には干満がある。時間は単純な円環だ。すべてがピカピカに光り輝き、自分こそ金(きん)だと主張している。でもその退屈を壊せるのは、不意に現れる流れ星だけだ。

一方、MWCは毎年必ず何かがある。モバイル産業は今、岐路に立っている。スマートフォンの売上は停滞し始め、アナリストたちは初めて落ち込みを認めた。しかも、選りに選ってそんな年に、Mobile World CongressはMWC Barcelonaに公式に改名した。

この唐突な改名は「モバイル」という言葉からその重荷を取り去った。Mobile World Congressという名前のままでは、世界のスマートフォンの高級機の新製品発表会、というイメージを拭い去れない。しかしこのショウは今や、CESやIFAと並ぶ消費者電子製品の世界大会へ変わろうとしている。まるで当然のように。

それでも当面は、スマートフォンは特別な存在だ。そのデバイスは今でも私たちの生活のどの部分にもついてまわるし、これからもしばらくはそうだろう。売上の低迷にはいくつかの理由があるが、しかしその最大の要因はアップグレードサイクルが遅くなったことと、製品の性能がほぼ頂点に達して、人をあっと言わせるような新機能がなくなったことだ。また、世界のスマートフォン市場を引っ張ってきた中国経済の乱調も低迷に貢献している。

そして市場の基調としての行き詰まり感は、新しい実験精神を生んだ。株主たちを喜ばせておくためには右肩上がりの成長と快調な売上が必要だが、そのためには消費者がどうしてもアップグレードしたくなる強力な理由を探さなければならない。そして今年は初めて、いや、初代のiPhone以来初めて、フォームファクター…外形形状…のラジカルなシフトが起きた。サムスンもファーウェイもTCLも、そしてオッポ(Oppo)も、全員が最近の数週間内に折り畳みスマホ(フォルダブルフォン)を発表した。

消費者がまさにそれを必要としている時期に登場した、というのもあるけど、各社の差別化ぶりがさらに話題をにぎやかにしている。大手各社はほぼ同じ時期に全員がフォルダブルのバスに乗り込んできたが、フレキシブルという技術の統一規格のない実装形式には、各社それぞれのユニークなアプローチが見られる。

実際には、これらのどれひとつとして、ゲートを出た途端にビッグセラーになってはいない。平均2000ドルという価格も問題だ。ファーウェイのモバイル部門のチーフであるリチャード・ユー(Richard Yu)氏が、ステージ上で、Mate Xの価格が高いことを謝ったぐらいだ。それも期待に水を差した。

でも、これまでの各社旗艦機の倍というお値段でありながら、関心は盛り上がっている。そしてどこも、その実験を引っ込めようとしない。LightのCEOの説では、スマートフォンの技術と市場の成熟により、各メーカーにはこれまでと違うユーザーニーズを探求する新しい機会が生まれたのだ、と。

彼がそのとき具体的に指したのは、スマートフォンのリアカメラの配列の多様化だが、それを「スペースの利用の多様化」と一般的に言ってもいい。今や多くのスマートフォンメーカーが、毎年アップルやサムスンと同じ土俵で競合していくことに、そのココロが‘燃え尽きて’しまった。

多様な断片化を特徴とするメディア市場において、長年スマートフォンだけは、ひとつの、あるいは数少ないトレンドへと全員が右へ倣えしてきた。だから今後の変化についても、同じことが言えるのではないか。そのトレンドとは、今後スマートフォンはますます均一ではなくなり、ユーザーの個々のニーズに精密にフィットしたものになる、という流れだ。

関連して、スマートフォンのハンドセットがあまり売上にも利益にも貢献していない企業が次々とモバイルから手を引く、というトレンドもありうる。今すでに、Razerがその第3世代のゲーム専用スマートフォンの計画を放棄したという噂がある。

しかし希望があるとすればそれは、今年のMWCが、モバイル業界が長年怠慢してきたラジカルな激動と変革に向かう、最初の一歩になることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa