MITが「サイバー農業」でバジルの風味を最適化

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窓際に置いたプランターにバジルの種をまいて、定期的に水をやりながら育てていた日々は終わりを告げた。機械学習によって最適化された水耕栽培が、より強烈な風味を備えた優れた作物を作るようになった今では、これまでのやり方にはもはや意味がないことなのだ。バジルソースの未来がここにある。

とはいえ、なにもソースを改良したいという願望からこの研究が行われたわけではない。これはMITのメディアラボとテキサス大学オースティン校による、農業の改善と自動化の両者を理解することを目的とした研究の成果である。

PLOS ONEが米国時間43日に発表したこの研究では、与えられたゴールを達成するための栽培環境を発見し、栽培戦略を実践できるかどうかが、研究のテーマだった。今回与えられたゴールは、より強い風味をもったバジルの栽培である。

そのような作業には、変えるべき膨大なパラメータが存在している。土壌の種類、植物の特性、散水の頻度と量、照明などだ。そして測定可能な結果、すなわちこの場合は風味を放つ分子の濃度が得られる。これは、機械学習モデルにうまく適合できることを意味している。さまざまな入力から、どれが最良の出力を生成するかについての予測を下すことができるからだ。

MITのセレブ・ハーパー(Caleb Harper)氏は、ニュースリリースの中で以下のように説明している。「私たちは、植物が出会う経験、その表現型、遭遇する一連のストレス、そして遺伝子を取り込み、それらをデジタイズして植物と環境の相互作用を理解できるような、ネットワーク化されたツールを開発したいと本気で思っているのです」。これらの相互作用を理解すればするほど、植物のライフサイクルをより良く設計できるようになる。そのことによって、おそらく収量は増加し、風味は改善し、そして無駄が削減されるはずだ。

今回の研究では、チームは、風味の濃度を高めることを目的として、植物が受ける光の種類と露光時間の、分析と切り替えに限定した機械学習モデルを用意した。

最初の9株の植物は、バジルが一般的に好むと思われる従来の知識を用いた手作業の露光計画に従って栽培が行われた。栽培された植物は収穫・分析された。次に単純なモデルを使用して、最初のラウンドの結果を考慮に入れ、類似はしているもののわずかに調整された露光計画が作成された。そして3回目にはデータからより洗練されたモデルが作成され、環境への変更を推奨する追加の機能も与えられた。

研究者たちが驚いたことに、このモデルは非常に極端な対策を推奨した。すなわち植物に対してUVライトを24時間休むことなく照射せよというものだ。

おわかりのように、当然これはバジルが野生で生育する方法ではないし、日光が昼も夜も力強く注ぎ続ける場所もめったに存在しない。その意味で白夜が存在する北極と南極は魅力的な生態系だが、風味豊かなハーブとスパイスの産地としては知られていない。

にもかかわらず、ライトを照射しっぱなしにするという「レシピ」は実行された(なんといっても実験だったので)、そして驚くべきことに、このことによって風味に関わる分子が大幅に増加したのである。その量は実験対照植物の倍になった。

「このやり方以外で、これを発見することはできなかったでしょう」と語るのは論文の共著者であるジョン・デ・ラ・パラ(John de la Parra)氏だ。「南極に居るのでない限り、実世界で24時間の光照射を行うことはできません。それを発見するためには人工的な状況が必要でした」。

とはいえ、より風味豊かなバジルは歓迎すべき結果だが、ここでのポイントはそこではない。チームは、この方法で優れたデータが得られ、使用したプラットフォームとソフトウェアが検証されたことをより喜んでいる。

「この論文は、多くのことに応用するための第一歩として読んでいただくこともできますし、これまで開発してきたツールの力をご披露するものでもあるのです」とデ・ラ・パラ氏は語った。「私たちが開発したようなシステムを使うことで、 収集できる知識の量を遥かに素早く増やすことができるのです」。

もし私たちがこの先世界を養おうとするなら、それは黄金色に波打つ穀物。すなわち旧来の農業手法によって、成し遂げられるわけではない。一貫生産、水耕栽培、そしてコンピュータによる最適化。21世紀の食料生産を支えるためにはこれらすべての進歩が必要とされる。

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(翻訳:sako)