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ピッチデックで自滅しないために、やっちゃいけない3つの間違い

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資金調達は、いつだってブラックボックスだ。好調な企業からすれば、そよ風のようなものかも知れないが、大抵の起業家はそのために眠れない夜を過ごす。私が初めて立ち上げたPursuit.comというスタートアップは、シード投資を獲得できたものの、信じられないほどキツかった(結局、Facebookに買収された)。DocSendは私の2番目のスタートアップだが、そこで私は資金調達のプロセスに関する多くのことを学んだ。自社の資金を集める方法だけではない。製品そのものが、特有な方法でピッチの大きな傾向を明らかにしてくれたのだ。

2014年以来、文書のトラッキングと共有を行う私たちのプラットフォームでは、10万人以上のユーザーが220万を超えるリンクを共有していて、2億2000万回の閲覧数を記録している。毎日、何千という会社創設者が未来の出資者を求めて資金調達のための資料を公開している。さらに、私たちの製品の多くのユーザーに、営業や事業開発やカスタマーサクセスの情報も発信している。こうした活動全般をよく理解したいと思った私たちは、ハーバードビジネススクールと長期の協力関係を結び、シードやシリーズAラウンドの投資を獲得を目指すスタートアップの、匿名化された資金調達に関するデータの分析を行ってきた。

私たちは、初期の分析結果を、「完璧なピッチデックの研究からの教訓」という記事(本文は英語)にして2015年にTechCrunchに掲載したが、今回は、その後の4年間のデータ(とユーザー数の大幅な増加)から判明した新しい情報をお伝えしたいと思う。

シード投資を獲得できたピッチデックと、獲得できなかったピッチデックとの違いは何か? 成功したピッチも失敗したピッチも、長さは平均18ページで変わりがない。違うのは、内容の組み立て方だ。投資家がその資料を読む時間も平均3.7分と変わらないが、成功したピッチと失敗したピッチとには共通して、時間をかけて読まれた箇所に違いがあった。ここに、避けるべき3つの過ちを詳しく解説しよう。

ピッチデックで「やるべき」大切なことについては、Extra Crunchの補足記事「Data tells us that investors love a good story」(有料会員向け記事)を読んでいただきたい。

間違い1:製品紹介から始めてはいけない

とくに技術系企業の創設者には、その製品がいかに画期的であるかを最初に説明したがる傾向がある。開発までにどれほどの時間がかかったか、どれほどの独自技術が積み重ねてきたか、そしてMVP(実用最小限の製品)の作り方を知っていることを力説する。

「失敗したピッチデックは、すべてが製品の話から始まっている。投資家は、成功したピッチデックと比較して、製品のスライドを読むのに4倍の時間をかけている」

よいことだと思うかも知れない。製品のスライドをじっくり見てくれているのだとね。だが、それは違う。データによれば、投資家は、その製品の価値と現在の市場のニーズとを照らし合わせ、その2つの間の明確な接点がなかなか掴めないために、詳しく見ているのだ。

また、ターゲットにした投資家は、ターゲットとなる消費者とは違う。スクリーンショットや製品の詳細は、彼らを混乱させるだけだ。では彼らは何を見ているのか?なぜ問題なのか?ほとんどの製品は生産が可能だ。むしろ彼らが答を知りたがっている疑問は、なぜこの製品が大きなビジネスを生み出すかだ。

ピッチデックの成功例と失敗例との閲覧時間(青が成功例、赤が失敗例)グラフ横軸(左から)企業の目的、チーム、製品、問題、解決策、ビジネスモデル、市場規模、なぜ今か、競争、決算、期首残高、会計報告DocSendより

間違い2:「Why」から始めていない

今では、サイモン・シネック氏がTedで話した「Whyで始めよ」の考え方が私たちの頭に浸透しているのに対して、失敗したピッチデックでは「なぜ今なのか」や「なぜ私たちなのか」といった疑問が最後に残されている。成功したピッチデックでは、企業の目的から始まり、なぜこのチームなのか、なぜこの製品を今出すべきなのかと続く。

「成功したピッチデックはすべて、企業の目的とその存在意義からスタートしている」

成功したピッチデックでは、投資家は「なぜ今か」と「なぜ私たちなのか」のスライドを平均27秒で見ているが、失敗したピッチデックでは62秒かかっている。ここから、投資家がチームやその能力の判断に、成功したピッチデックの場合よりも多くの時間をかけていることがわかる。この部分に時間をかけているということは、起業家の期待とは裏腹に、投資家はこのベンチャーに確信が持てずにいる証拠だ。ピッチを行う側は、「なぜ」のスライドに重点を置き、その流れを崩さず、なぜ今まで大きなビジネスになっていなかったのだろうと投資家に思わせることが大切だ。

「なぜ今か」と「なぜ私たちなのか」がスライドに登場した回数赤は失敗例(38.4パーセント)、青は成功例(61.6パーセント)DosSendより

間違い3:ストーリーがない

誰でも良い物語が大好きだ。投資家もその例に漏れない。成功したピッチデックはみな、面白いストーリーを含んでいて、それに合わせた語り口で話が進む。まず企業の目的から入り、彼らが立ち向かっている大きな問題、なぜ今でなければいけないのか、なぜ自分たちがその問題解決に取り組む最適な人材なのかと続く。失敗したピッチデックは、まず製品の話から入り、ビジネスモデル、競合の状況へと続く。成功したピッチデックでもこの話はしているが、かならず、直感的な理解をもたらす物語の延長線上にある。一方、失敗組には面白い物語がない。

「失敗したピッチデックでは、投資家は、製品、チーム、会計の説明を、平均で6分かけて読んでいる。成功したピッチデックでは2分だ」

また成功したピッチデックは、繰り返し訪れる回数が多い。失敗したピッチデックの2.3倍の再閲覧数がある。さらに、失敗したピッチデックよりも転送される数も多い。

トータル閲覧数グラフの横軸(左から)成功例、失敗例DocSendより

目的のほうが製品よりも大切

企業の創設当初は、起業家は実用最小限の製品(MVP)の構想を練り製作することに多くの時間を費やす。当然、投資家にピッチをしたくてたまらない気持ちになる。しかし、意外なことに、ビジネスの可能性、つまり「なぜ今か」「なぜ自分たちなのか」を上手に物語る前に製品を見せないほうがよいという結果がデータには表れている。この重要なポイントが投資家に伝わったらな、製品の詳細やロードマップをどんどん見せることができるが、製品から先に入ってはいけない。

この記事は、資金調達シリーズの第1弾だ。この補足記事を、Extra Crunchに掲載した(有料会員向け記事)。データが示すピッチデックでぜひやるべきことの話だ。今後は、シード、シリーズA、シリーズBの各ラウンドの違いや、会社が成長するに従って資金調達の方法がどう変わるかについて解説していきたいと思っている。次の記事では、他よりも多くの資金を獲得したピッチデックの秘密を解説する。それまで、最良の資金調達の方法に関して質問があれば、私たちのブログ、Twitterアカウント@rheddlestonまたは@docsendを利用してほしい。

【編集部注】筆者のRuss Heddlestonは、DocSendの共同創設者およびCEO。以前はスタートアップPursuit.comの買収にともないFacebookに移籍し、プロダクトマネージャーを務めた。Dropbox、Greystripe、Truliaでも活躍した。@rheddlestonまたは@docsendでフォローできる。

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(翻訳:金井哲夫)