企業が独自の“社内仮想通貨”を発行できる「コミュニティオ」が1億円を調達

次の記事

声のブログ「Voicy」がダウンロード機能実装、オフラインで楽しめる

企業が独自の名称で社内仮想通貨を発行できるサービス「コミュニティオ」を展開するコミュニティオは6月6日、XTech Venturesとセレスを引受先とする第三者割当増資により総額1億円を調達したことを明らかにした。

ユーザーとなる企業はコミュニティオを通じて社内で使えるオリジナルの仮想通貨(ポイントに近いもの)を発行。推奨されるような行動をとった社員に対するインセンティブや、社員同士で感謝の気持ちを表す手段として付与・送付する。

受け取った通貨はアプリを介して社員食堂やオフィス内コンビニなどの決済に用いることが可能なため、給料や賞与とは違った“ちょっとしたボーナス”のような役割を果たすツールと捉えることもできるだろう。

ピアボーナスや業務最適化の目的などで活用

コミュニティオ代表取締役の嶋⽥健作氏によると、昨年の10月にサービスを開始して以降、大企業を中心に約10社が利用しているとのこと。たとえばコミュニケーション活性化を目的として同僚間で少額の通貨を送り合う文化を形成しているケースもあれば、実業務と連動して特定のアクションをすれば通貨が付与される形で運用している企業もあるという。

前者のように各社員が誰に対してでも気軽に“成果給”を送れる「ピアボーナス」としての使い方は、「Unipos」を始めそこにフォーカスしたプロダクトや事例も出てきているのでイメージしやすいだろう。新たなコミュニケーションが生まれるきっかけになるほか、今まで可視化されていなかった各社員の“良い行い”が社内にも見えるようになる。

「顧客と話していると『日々のちょっとした良い行動をきちんと褒める仕組みがない』という話を聞く。社内通貨やポイントと紐づくことで、会社でコツコツやったことが半年に1回の査定時などではなく、すぐに評価される仕組みを作れる点に興味を持ってもらえるケースは多い」(嶋田氏)

もう一方の実業務との連動については「定時に勤怠システムを打刻すれば通貨が付与される」など、普段の業務を最適化するための仕掛けとして社内通貨を活用する。

勤怠においては1月にチームスピリットが開発する「TeamSpirit」の勤怠管理システムと連携。同サービスから出退勤打刻を行うと、出退勤の時刻に合わせてコミュニティオ上で自動的に社内仮想通貨が付与される仕組みを作った。

要はコミュニティオが打刻漏れや遅刻を防ぎ、勤怠を習慣化させるためのツールにもなり得るということだ。

今のところ他社ツールとの連携で発表されているのは勤怠管理システムのみだが、今後は他の作業や健康に関するアクションまで、自動で集計して通貨(ポイント)が付与される仕組みを広げていくという。

また少し別の切り口では、社内で業務を受発注する際に独自通貨を用いる事例もある。これは社内の誰かに業務を依頼する場合、その業務自体に値付けをしてコンペやオークションのように発注する形だ。

嶋⽥氏いわく「社内でクラウドソーシング的に業務を依頼するようなイメージ」だが、特に大企業の場合は各メンバーが持つスキルが集合知的に共有されていないことも多いため、そこで機会損失や無駄が発生してしまっている恐れもある。

これまでパートナー企業に外注していた業務をもっと上手くやれるメンバーが社内の違う部署にいたり、ある業務に対してものすごく熱量を持った社員がいたり。社内通貨が1つのきっかけとなって、隠れた才能の発見や業務の質の向上などに繋がることも考えられるだろう。

「社内通貨」という表現をしているかはさておき、近しい使い方ができるプロダクトやその事例は今までもあった。社内専用のポイントを発行できるサービスや上述したUniposがまさにそうだし、以前紹介した「KOU」のようなコミュニティコインも登場している。

コミュニティオの場合は他社ツールとの連携も進めながら、かなり汎用的に作られているのが1つの特徴。関連するプロダクトが増えることで、今後より多くの企業に社内通貨が広がっていく可能性もありそうだ。

集めた社内通貨はオフィスコンビニや社員食堂などで実際に活用できる

オルトプラスからスピンアウト、外部調達で開発加速へ

コミュニティオ代表の嶋田氏はライブドアにおいてデータセンター事業の技術担当執行役員や事業部長を務めた後、データホテルの代表取締役社長、テコラス(現NHNテコラス)代表取締役社長などを経てオルトプラスにCTOとして参画した人物だ。

オルトプラスではブロックチェーン技術「Hyperledger iroha」を用いたR&Dプロジェクトを進めていて、ユースケースの1つとして取り組んだ社内仮想通貨の実証実験が現在のコミュニティオにも繋がっている。

投資家であるXTech Ventures、セレスとコミュニティオのメンバー。中央が代表取締役の嶋⽥健作氏

「(社内の取り組みを)発表してみたところ、特に大企業を中心に『HR領域で困っていることを解決したい』という目的での問い合わせが各方面からあった。独立したプロダクトとしても成立しうるという判断から昨年10月にサービスをスタートし、現在は各社のニーズやテーマに合わせていろいろなツール群を開発している状況だ」(嶋田氏)

2019年3月にオルトプラスの100%子会社としてコミュニティオを設立。さらなる事業拡大を目指し、5月には嶋田氏が大半の株を譲り受け、同社からスピンアウトする形で再スタートを切った

今回の資金調達を通じてコミュニティオでは開発体制を強化し、プロダクトのブラッシュアップを進めていく計画。まずは企業内での利用にフォーカスして社内通貨サービスを充実させるとともに、ゆくゆくは地域内通貨などの利用も視野に入れ、価値発⾏プラットフォームとして運⽤領域の拡充を図っていきたいという。