Facebookの独自仮想通貨でユーザー間の送金や購入代金の支払いが可能に

次の記事

ゼンハイザー初のゲーム用ワイヤレスヘッドセット「GSP 670」

Facebookは、Libraというコードネームで呼ばれる仮想通貨の詳細を発表する準備をようやく整えたようだ。同社の仮想通貨の概要を説明するホワイトペーパーが、今のところこの6月18日に発表される予定となっている。複数の投資家が、Facebookからこの日付を明かされた、と主張する、ある情報筋からもたらされた話だ。

一方、Facebookの北ヨーロッパを担当する金融サービスおよびペイメントパートナーシップ部門長のLaura McCracken氏も、ドイツの雑誌、WirtschaftsWocheのSebastian Kirsch氏に、ホワイトペーパーが6月18日に発表されるはずであると明かしている。また、その仮想通貨は、たとえば米ドルのような単一の通貨に連動するのではなく、通貨バスケット制を採用して、 価値の変動を防ぐことになるという。Kirsch氏は「私は、火曜日にアムステルダムで開催されたMoney 2020 EuropeでLauraに会いました」と、私に明かした。それは彼女が、同僚のFacebookのペイメント担当役員のPaulette Rowe氏の講演を聴いた後のことだった。「彼女によれば、彼女はDavid Marcus氏が率いる『Facebookブロックチェーン』チームの活動には関与していない、ということでした。彼女は私に、詳しいことは6月18日にホワイトペーパーが公開されるまで待つように言ったのです」。彼女は彼に、その発表の日付が、すでに公になっているはずだと伝えたのだが、実はそうではなかった。

そして米国時間の6月5日、TechCrunchは6月18日に関するニュースの差し止めを、Facebookのブロックチェーンチーム担当の、あるコミュニケーション部門長から要求された。とはいえ、The InformationのAlex Heath氏とJon Victor氏も、すでに米国時間の6月5日、Facebookの仮想通貨プロジェクトが今月後半に発表されると報じている。

Facebookは、同社の仮想通貨プロジェクトに関するニュースについてのコメントを控えている。パートナーとなる企業や政府とのゴタゴタが生じた場合には、発表の日時が変更される可能性は常にある。ある情報筋によれば、Facebookは2020年に正式に仮想通貨の扱いを開始することを目標にしているという。

それをLibraと呼ぶのか、何と呼ぶのかは別として、これはFacebookにとって、商取引と支払い機能の新時代の幕開けとなるだろう。たとえば、友人同士で、無料、または安い手数料での支払いが可能となったり、海外に出稼ぎに出ている労働者が稼いだお金を家族に送金したりするのにも使えるだろう。一般の送金サービスは手数料が高過ぎるので、これは歓迎されるはず。

Facebookの仮想通貨を利用すれば、クレジットカードの取引手数料を回避できるので、従来からある電子商取引にとっても、安価な支払い方法を確保できることになる。さらに、気に入ったニュース記事に対して支払う少額取引や、コンテンツのクリエーターへのチップの支払いなどを促進する可能性もある。またFacebook自身にとっては、誰が何を購入しているか、あるいはどのブランドが人気なのか、といった情報が得られるので、広告の計測やランク付け、コアビジネスを増強するためのターゲティングにも有効だ。

Facebookの仮想通貨の仕組み

Facebookのブロックチェーンプロジェクトについて現在分かっているのは以下の通り。

名前:Facebookは、この仮想通貨の正式名として、Libraというコードネームをそのまま使う可能性がある。以前にBBCが主張したGlobalCoinという名前にはならないだろうと、The Informationはレポートしている。ロイター通信によれば、FacebookはスイスでLibra Networksという名前の金融サービス会社を登記したという。Libra(てんびん座)という名前はLIBORをもじったものかもしれない。それは、London Inter-bank Offered Rate(ロンドン銀行間出し手金利)の略で、銀行間での借入の基準金利として使われるもの。LIBORが銀行向けなら、Libraは一般市民向けというわけだ。

トークン:Facebookの仮想通貨は、ステーブルコインになるはず。一定の価値を維持するように設計されたトークンで、支払いまたは交渉の過程で価格が変動することによる話の食い違い、やっかいな問題の発生を防ぐ。Facebookは、仮想通貨の価値を安定させるための担保として、複数の国際不換通貨を含む10億ドル規模の通貨バスケットと、低リスクの債権を創出するための資金の拠出について、すでにいくつかの金融機関と交渉していると、The Informationは報じている。Facebookは、ステーブルコイン公開の事前承認を得るため、多くの国々との交渉も進めているという。

TechCrunch Disrupt 2016で講演するFacebookのブロックチェーンチームの責任者、David Marcus氏(左)。

使い方:Facebookの仮想通貨は、MessengerやWhatsAppといったFacebookの製品を介して、無料で転送可能となる。Facebookは、その通貨による支払いを受け付けるよう、業者と協力して作業を進めていてる。サインアップボーナスを提供する可能性もある。The Informationによれば、Facebookは、ATMのような物理的な装置も導入したいと考えている。ユーザーは、それを使って仮想通貨を通常の貨幣と交換することができる。

チーム:Facebookのブロックチェーンプロジェクトは、PayPalの元社長で、現在はFacebookのMessenger担当副社長David Marcus氏が率いている。そのチームには、Instagramの製品担当副社長だったKevin Weil氏や、Facebookの元財務部門の責任者、Sunita Parasuraman氏も参加している。The Informationによれば、このParasuraman氏が、仮想通貨の財務を監督するという。さらに、Facebook社内のさまざまな部門から抜擢された多くの優秀なエンジニアが参加しているということだ。このチームは、機密保持のため、他の従業員の立ち入りを禁止したFacebookの本社の専用エリアで仕事をしてきた。とはいえ、立ち上げにはあちこちとのパートナーシップが必要なこともあって、少なからぬ情報がリークされてきた。

ガバナンス:Facebookは、その仮想通貨を監督するための独立した財団法人を設立することを協議していると、The Informationは報じている。その仮想通貨を使った取引を認証可能なノードを運用する企業に対しては、1000万ドル(約10億8500万円)を拠出するようFacebookは求めている。その支払いと引き換えに、その通貨のガバナンスに対する発言権が得られる。そうしたノードの運用者は、財務的な利益が得られる可能性もある。このプロジェクトのガバナンスについて、一定レベルの分権化を実現することで、Facebookが世界の通貨に対して強大な力を獲得することによって規制の対象となるのを防ぐことができるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)