宿泊施設と空港間の“⼿荷物当⽇配送”で旅行者のストレス軽減、Airporterが数千万円を調達

次の記事

最短24時間で請求書を現金化、クラウドファクタリングのOLTAが25億円調達

宿泊施設から空港まで⼿荷物を“当⽇配送”してくれるサービス「Airporter」を展開するAirporterは6月24日、BASE Partners、マネックスベンチャーズ、みずほキャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額数千万円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。

Airporterは旅行者を手荷物の制約から解放するサービスだ。

主なターゲットは海外から日本に訪れたインバウンド旅行者。彼ら彼女らにとって大きな悩みのタネとなっている「ホテルや宿泊施設をチェックアウトする最終日に手荷物をどうするか」という課題に対して、チャットと配送システムを活用したソリューションを提供する。

この課題に対する既存の解決策としてよく活用されるのが「一時的にどこかに預ける」か「空港まで運んでもらう」のどちらか。前者の場合は宿泊していたホテルの一時預かりサービス(クロークサービス)かコインロッカーが使われるケースが多く、後者の場合は複数の事業者が空港配送サービスを手がけている。

ただAirporter代表取締役CEOの泉谷邦雄氏によると、それぞれの選択肢において使い勝手に改善の余地があるという。

クロークサービスやコインロッカーに荷物を預ける場合、それ自体は非常に便利な仕組みではあるが「最終的には荷物を預けた場所まで取りに戻る不便さ」が残る。旅行者は当然その時間を踏まえて1日のスケジュールを組む必要があり、一定の制約を受けることになる。

一方ですでに数社が提供している空港配送サービスの場合、ネックになりがちなのが“集荷日”だ。

「既存サービスの多くは集荷日が2〜3日前に設定されていて、最短でも前日だった。インバウンド旅行者の場合は特に出発の前日夜や当日の朝まで荷造りをしたいので、荷物を預けるのも当日がいいというというニーズがある」(泉谷氏)

Airporterではまさにこの「当日配送」にこだわってサービスを展開している。荷物を預ける対象となるのは同サービスに対応したホテルや民泊といった宿泊施設。ユーザーはWebから集荷に来てもらいたい場所の住所や送り先、送る荷物などの情報を登録しオンライン上で決済をする。

あとはあらかじめ部屋に置かれている専用のタグにメールで送られてきた予約番号を記載し、荷物に取り付けた上で当日フロントに預ければOKだ。集荷依頼は前日の18時までに済ませておく必要があるものの(今後23時まで対応できる予定とのこと)、荷物は当日の朝9時までに預けておけば16時以降に指定の空港にあるカウンターで受け取れる。

現在は東京エリア(23区と浦安市)と大阪市内が対象。東急EXインやアパホテル、京王プレッソインなど大手ホテルとの連携を進めていて、2018年に東京エリア1万室、大阪エリア5千室を突破した。東京については年内に4万室を突破する見込みだという。

送り先の空港は羽田、成田、関西国際空港に対応。JALエービーシーとタッグを組み、同社のカウンターに荷物が配送される仕組みだ。また宿泊施設間での配送需要もあることがわかったため、エリア内については宿泊施設間で荷物を送ることもできるようになっている。

料金は大まかな荷物サイズ(機内に持ち込めるサイズかどうかなど)と送り先ごとに固定となっていて、ユーザーとホテルの担当者双方が手のかかる作業をする必要はない。何か困った際は英語や中国語に対応したチャットを通じて気軽に質問できるほか、決済もオンラインなのでスムーズに使えるのがウリだ。

配送料金についても自社で個人のドライバーをネットワークしているため、中間マージンがなく手頃な値段で提供できるという。

旅行者を荷物から解放し、観光時間を創出

Airporterは創業者である泉谷氏の個人的な体験がきっかけとなり生まれたプロダクトだ。とは言っても泉谷氏は荷物を預かる側、もともと民泊事業を運営していた際に宿泊客に対して提供していたサービスを事業化したものになる。

「(チェックアウト後に)荷物を預かって欲しいという声が多かったが、民泊にはホテルと違いクロークがなかったので最初は駅にあるコインロッカーを紹介していた。ところが自分としては喜ばれると思ってやっていたものの、結果的には『コインロッカーの空きを探すために40〜50分歩く羽目になった』など宿泊客にとっては悪い体験に繋がってしまい、悪いレビューを書かれてしまった」(泉谷氏)

同じ失敗を避けるため、コインロッカー以外の選択肢を調べてみたという泉谷氏。宅配はどうかと大手事業者に問い合わせてみたところ、上述したように当日配送に対応したものは見つからない。そこで当初はレンタカーを借り、サービスの一環として空港まで荷物を送り届けていたという。

「そうすると宿泊客からはとても感謝され、いろいろなプレゼントまでもらった。ひょっとするとこれは単独のサービスとしても十分にニーズがあり、成立するのではないかと考え開発を始めたのが最初だ」(泉谷氏)

まずは2016年12月にベータ版をスタートし、2017年11月に正式に法人化。2018年3月には1度目の資金調達を実施するなどしながらサービスを改善してきた。

Airporterのメンバー。中央が代表取締役CEOの泉谷邦雄氏

「利用後のユーザーにヒアリングをすると、ホテルやコインロッカーなど荷物の預け先に戻る必要がなくなったことで『元々は行く予定のなかった観光スポットも回ることができた』という反応をいくつも頂いた。自分たちのミッションは『観光時間を創出する』こと。旅行者から荷物を解放することで、自由な観光・旅行をサポートしたい」(泉谷氏)

宿泊施設側にとっても伝票の代筆や細かい採寸・計量などの手間なく、ユーザーの満足度向上に繋がるサービスを導入できるのはメリットに繋がる。荷物を預かるスペースが限られている施設でも導入しやすいのもポイントだ。

今後Airporterではホテルとの業務提携を強化し、まずは東京4万室・大阪1万5千室へのサービス導入を目指していく計画。並行してUIの改善や機能追加、配送システムのアップデートにも取り組み、より便利なサービスを目指していくという。