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風力タービンのブレード上を這って目に見えないキズを探すロボ

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風力タービンはクリーンな電力を供給する優れた発電装置だが、その見るからに単純な(でっかいやつが回るだけの)構造とは裏腹に、一般の機械と同じように摩耗する複雑なシステムであり、最悪、大事故を引き起こす恐れもある。そこで、Sandia National Labsの研究者たちは、タービンの巨大なブレードを自動的に検査し、グリーンパワーのインフラを健全に保つロボットを開発した。

風の流れからエネルギーを集めようと聳え立つ巨大なタワー群は、普段は車で通りかかったときにちょっとだけ目にする存在だ。しかしそれは、厳しい天候、極端に変化する気温、そして(周囲でもっとも背の高いものであるため)必然的に落雷にも絶えながら長年立ち続けなければならない。それに通常の摩耗や破損も加わるため、どうしても定期的な検査が必要になる。

しかし、検査は困難であると同時に、表面的なものに終わる恐れがある。そのブレードは、一体の製造物としては地上最大級だ。さらにそれは、洋上など、人里離れた交通の便の悪い場所に建てられることが多い。

「ブレードは、その寿命を迎えるまでの10億回の負荷サイクルの間、落雷、雹、雨、湿気などの自然の力に晒されます。しかし、外して作業場に持ち込んでメンテナンスするこというわけにはいきません」と、SandiaのJoshua Paquetteはニュースリリースの中で述べている。つまり、検査員がタービンまで足を運んで検査するしかないのだが、タワーは数十メートルの高さに及ぶこともあり、危険な場所に設置されていることもある。

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クレーンを使うという手もある。ブレードを下に向けて、そこを検査担当者が懸垂下降しながら調べることも可能だ。それでも、検査は肉眼に頼らざるを得ない。

「目で見るだけでは、表面の傷しか発見できません。それに、目視できる傷が表面にあるということは、損傷の程度が深刻なレベルにまで進んでいるとも考えられます」とPaquette氏は言う。

もっと入念に、深いところまで検査する必要があることは明らかだ。そこで彼らは、International Climbing MachinesとDophitechをパートナーに迎えて動き出した。その結果生まれたのが、この這うように進むロボットだ。これはブレードの表面に張り付き、ゆっくりながらしっかりと移動し、視覚映像と超音波映像を記録する。

視認検査では表面のひび割れや擦り傷を確認するのだが、超音波はブレードの奥の層にまで到達し、表面に傷が現るずっと以前の段階で内部の損傷を発見できる。これを芝刈り機のように、左右に、そして上下に移動させながら、ほぼ自動的に行う。

現時点では、その動きは非常に遅く、人間の監督を必要とする。だがそれは、研究室から生まれ出たばかりのロボットだからだ。近い将来には、数台のロボットを現場に持って行き、ブレード1枚につき1台を配置して、数時間後、あるいは数時間後に回収して問題箇所を確認し、精密検査やスキャンを行えるようになる。タービンに常駐して、定期的にブレードの上を動き回り検査をするようになるかも知れない。

ドローンを使う方法も研究されている。橋やモニュメントなど、人が行うには危険すぎる場所ではすでにこの万能飛行機を使った検査が行われているので、自然な流れだろう。

検査ドローンには高解像度カメラと赤外線センサーが搭載され、ブレード内の熱の変化を検知する。太陽の熱がブレードの素材に浸透する過程で、内部に損傷があれば熱の伝わり方に不規則な部分が現れる。そこを見つけるという考え方だ。

こうしたシステムの自動化が進めば、こんな展開も期待できる。ドローンがタービンの状態を素早く調査し、精密検査が必要なタワーがあれば報告する。それを受けて、タービンに常駐しているロボットが出動して検査を行う。その間、人間の調査チームが現地に向かい、問題部分にどのような修理が必要かを詳しく検討する。これなら、命や手足を危険に晒すことがない。

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(翻訳:金井哲夫)