ウォレットアプリの「Kyash」が約15億円調達、3大メガバンクと米VCが投資

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左からKyash代表取締役の鷹取真一氏、CTOの椎野孝弘氏

Kyashは7月3日、サンフランシスコに本社を置くGoodwater Capitalならびに三菱UFJキャピタルをリードとするシリーズBラウンドにおいて約15億円の資金調達を実施したと明かした。同ラウンドには凸版印刷、ジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタルも参加している。

Kyashは2016年12月に発表されたシリーズAでは約10億円を調達しており、累積資金調達額は約28億円となった。

Kyashは2017年4月にウォレットアプリの「Kyash」をリリース。今年の4月には法人向けの決済プラットフォーム「Kyash Direct」を提供開始し、決済技術を他社へ開放した。

今回のラウンドに三菱UFJキャピタルがラウンドに参加したことにより、Kyashの投資家勢に3メガバンクが揃うかたちとなった。Kyashはこれまでに三井住友銀行ならびにみずほキャピタルからの出資を受けている。

FacebookやTwitter、Spotifyなどに投資を実施してきたGoodwater CapitalのマネージングパートナーであるEric J. Kim氏は「Kyashは、従来の銀行が提供しているサービスをより合理的な方法で提供することができ、世界中で急拡大しているチャレンジャーバンクの類型に属している。プロダクトのリリースからわずか2年足らずで、決済領域におけるテクノロジーカンパニーのリーダーとして『価値移動のインフラ』を創りあげ、Visaからカード発行ライセンスを取得するまでにいたったKyashのさらなる成長を期待している」とコメント。

TechCrunch Japanでは、今回の調達に関してKyash代表取締役の鷹取真一氏に話を聞いた。

今回のラウンドには米のGoodwater Capitalが参加しているが?

鷹取氏「日本には巨大な小売市場があるけれど、キャッシュレス比率が諸外国と比べて圧倒的に低い。すなわち、ポテンシャルがまだまだある。日本では10月から政府がキャッシュレス還元を支援したり、来年にはオリンピックが開催される。更に、政府はキャッシュレスビジョンの中でキャッシュレス比率を40パーセントまで高めるという明確なコミットをしており、この大きな市場を魅力に感じる海外の投資家が増えてきている。とはいえ、日本の決済市場はかなりの飽和状態であり、『興味はある』という方は多くいるが、本当に出資にいたったのは今回のケースが初。Goodwater CapitalはFacebookやTwitter、Spotifyなど世界でも有名な企業の投資実績があり、これからの銀行になっていくような事業者に、グローバルに出資をしている。日本の中で可能性がありそうな事業者ということで、お話をいただき、ご縁にいたった。そしてKyashとしては、国内だけではなく、中長期としては海外も当然見ている」

日本の決済市場におけるKyashのポジションは?

鷹取氏「端的な答えとしては、金融領域のインフラを作っているというところ。KyashでもKyashというウォレットを出しているが、他の事業者もウォレットや自社のサービスとしてエンドユーザーに届けるところは色々とやっている。そのような中で、Kyashの強みは、プロセシングや送金などの仕組みのテクノロジーを他社に解放しているところ。プラットフォーム化をして、自社のサービスだけではなく他のサービスもそこに乗って収益化ができるような場を提供していく。そういう事業者であるという部分が他社との大きな違いだ」

日本のキャッシュレス化の現状をどう見ているか?

鷹取氏「僕の中で、『キャッシュレス1.0』が、ポイントばら撒きやインセンティブにより、まずは『経済的な便利』で使い始めてもらうというステージ。『キャッシュレス2.0』では、本当の意味での金融機能が価値を発揮してくる。支払いサイクルや受け取りのサイクルが短くなるなど、金融機能がより強化されることにより生まれる付加価値に、より強力なユーザーが付いてくると思っている。現在はかなりの飽和状態で、ポイントや還元の話が盛り上がっている。だが、僕たちはその先を見ており、給料や報酬が即座に受け取れるとか、1ヵ月後にしか払われなかったものが1〜2週間で払われるとか、金融機能を強化していくことによって、人々がよりお金にアクセスしやすくなる仕組みを作っていきたい」

調達した資金をもとにKyashは開発体制強化のための人材を確保する。鷹取氏は「決済事業者という域を超えて、バンキング領域やそういうところに入っていく。新しいライセンスの取得やセキュリティーに対する投資を強めていきたい」と話していた。