貼付型センサー
バークレイ
スタンフォード

汗や心拍を遠隔モニターできる柔らかな貼り付け型センサー

次の記事

宇宙飛行士の作業をロボットで代替し作業コスト100分の1以下へ、GITAIが約4.5億円調達

多くの人が、人間の動作をより細かく定量化しようと努力しているおかげで、そうした動作をモニターするセンサーたちは、ますます軽く邪魔にならないものになっている。対岸に位置するライバル同士であるスタンフォード大学とバークレー大学が生み出した2つのプロトタイプは、肌にぴったりと貼り付き豊富な生理学的データを提供してくれるものだ。

スタンフォード大学の伸縮性のあるワイヤレスセンサー「BodyNet」は、体の伸縮する表面に貼り付けられても大丈夫なように柔軟性があるというだけではない。データどこから取り出すかについても柔軟性があるのだ。

このセンサーは、絆創膏のような柔軟な素材の上に置かれた金属インクで作られている。しかし、身体状況を追跡するために小さな加速度計や光学的な仕掛けを利用している携帯電話やスマートウォッチとは異なり、このシステムは、それ自体がどのように引き伸ばされたり、圧縮されたりするかを利用している。そうした動きは、電気がインクを通過する方法に小さな変化を引き起こし、その変化は近くのプロセッサーに伝達される。

当然、もしそれが関節に貼られていた場合には、この電子的なステッカーは関節の曲げの有無やその程度を報告することができる。しかし、このシステムは十分に敏感であるために、心拍による皮膚のわずかな変化や、呼吸に伴うより大きな変化も検知できるのだ。

問題は、その信号を皮膚から離れたところから取得しなければならないときに現れる。有線ケーブルを使用するのは面倒で、間違いなく90年代的なやり方だ。しかし、アンテナは変な方向に曲げられているとうまく機能しないし、効率はガタ落ちになる。そして非常に少ない電力しか使うことができないことも問題だ、このスキンセンサーは非常に微弱な電圧を与えるRFID信号を集めることで電力を得ている。

bodynet sticker and receiver

そしてその仕事の2つ目の部分が(明らかにさらなる改善と小型化が必要とされている部分だが)、センサーの信号を収集し携帯やその他のデバイスへ再送信するレシーバーである。彼らは、なんとか衣服に留められる程度には軽量なユニットを作成したものの、それでもまだ、ジムで装着したいようなものではない。

幸いなことに、それは理論的な限界ではなく、現時点でのエンジニアリングとデザインの限界だということだ。したがって、数年のうちには継続した努力と電子機器分野での進歩によって、はるかに魅力的なシステムを手に入れることができるようになるだろう。

「いつかは、全身スキンセンサーを作って人間の通常動作を邪魔せずに生理学的データを収集できるようになると思います」とニュースリリースに書くのはスタンフォード大学の鮑哲南(ジェーナン・バオ、Zhenan Bao)教授だ。

対岸のカリフォルニア大学バークレー校にも似たようなドメインのプロジェクトがあり、プロトタイプから製品化への取り組みが行われている。ここの研究者やちは、数年前から多くの生理学的要素を検出できる汗モニターに取り組んできた。

SensorOnForehead BN

通常なら、15分ごとに汗を収集し、それぞれのまとまりを個別に分析することになる。しかし、それでは実際のところ優れた時間分解能を得ることはできない。もし汗が1分ごとあるいはそれ以下の単位でどのように変化していることを知りたいとしたらどうだろう?汗の収集と分析を行うシステムを肌の上で上手に組み合わせると、それを行うことが可能になる。

センサー自身はしばらく前から使われるようになっていたが、汗の計測が正確に何を提供できるかをチームが大規模にテストし始めたのはつい最近のことである。

RollToRoll BN 768x960 「このプロジェクトの目標は、センサーを作るだけでなく、汗が私たちに伝えることができることを知るために、多くの研究テーマを生み出すことです。私は常々それを汗組成の「デコード」(解読)と言っています、それを行うためには、信頼性が高く再現性のあるセンサーが必要ですし、複数のセンサーを多くの被験者の体の上のさまざまな場所に配置できるように、大規模に生産できるようになる必要があるのです」と説明するのは、バークレー校でプロジェクト責任者を務めるAli Javey(アリ・ジェイビー)氏だ。

ハードウェアの仕事に関わる人なら誰でも言うように、手作りのプロトタイプから大量生産モデルに移行することは大きな挑戦である。そこで、バークレーのチームはVTTフィンランド技術研究センターにいるフィンランド人の友人たちに接触した。同研究所はロールツーロール方式の印刷技術を有している。

平坦で比較的単純な電子機器の場合、ロールツーロール方式は優れた技術である。基本的にセンサーを柔軟なプラスチック基板上に印刷して、その後簡単に必要なサイズへと切断することができる。このようにすることで、数百または数千のセンサーを迅速かつ安価に作成することができ、任意の規模での展開がはるかに簡単になるのだ。

これらは、単に柔軟なだけの、既存の皮膚装着電子機器プロジェクトとは一線を画すものだが、こうした機器が実験室を出て、病院やジム、そして家庭の中に向かう日が近付いているのは明らかである。

スタンフォードのフレキシブルセンサーを説明した論文は先週Nature Electronics誌に掲載され、もう一方のバークレーの汗トラッカーはScience Advancesに掲載された。

[原文へ]

(翻訳:sako)