Uberが暴露本記事を受け安全への取り組みを確約

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ときどき、Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏を気の毒に思わずにはいられなくなる。2017年4月にライドシェアリングの巨人のトップになったとき彼が受け継いだものを考えると。

To Do項目は、個人取引の企業価値がすでに本来の価値を上回っていた赤字会社を上場すること、「何をしてでも勝つ」という会社イメージを一層すること、そして、Uberの共同ファウンダーで自らの後任にコスロシャヒ氏を雇った比類なき人物Travis Kalanick(トラヴィス・カラニック氏を今も慕い続ける社員たちを味方に引き入れることなど数多い。

New York Times記者のMike Isaac(マイク、アイザック)氏が書いたUberの暴露本出版が近づくにつれ、事態がいっそう悪化することは間違いない。米国時間8月24日に同紙が掲載した抜粋記事でイサック氏は、Uberが「業界をリードする身元調査や、車両の定期点検、ドライバー安全教育、アプリの安全機能の開発、および保険」の資金にするためであると顧客に思い込ませ、1回の乗車につき1ドル余分に支払わせたことを指摘した。

アイザック氏によるとキャンペーンは大成功を収め、Uberに5億ドル近くをもたらした。しかし、プロジェクトを担当した社員らによると、追加料金はマージンを1回の乗車に1ドル増やすことを主目的として考案されたものだという。

元ITジャーナリストでベンチャーキャピタリストのOm Malik(オム・マリック)氏は、抜粋記事を読んだあと、皮肉をこめて「@dkhosからすぐに謝罪ツイートがあるだろう。今の我々は違います」とツイートした

マリック氏の予想は近かった。謝罪ではなく、Uberは本日、乗客に一斉メールを送信し、そのタイトルは「あなたの電話番号は今もアプリ内に隠されています」というどこか不気味なものだった。本文には「アプリ経由でドライバーに電話やテキストをしても電話番号は伝わりません」「乗車場所と降車場所はドライバーの運行履歴で見ることはできません」、そして「さらにプライバシーを強化するために、正確な住所を知らせたくないときは、近くの交差点で乗り降りするようリクエストしてください」というフレンドリーなメッセージが書かれていた。

メールの目的は明らかに、Uberに対するネガティブな報道を見て、会社は自分たちのことを少しでも気遣っているのだろうかと不安に感じている乗客を安心させようとすることだ。実際Uberは、3月にUberの車両と間違えて車に乗った大学生が殺害された後、ユーザーに対して安全に関するメールを何度も送った。タイミングについて同社は、本日のメールは昨日の抜粋記事と「無関係」だと主張している。これは、従来からある安全機能を乗客に告知したのが、同社が数年前に実施した詐欺を疑われている「安全な乗車」キャンペーンに関する記事が大きく報道された直後だったのは偶然であるという意味だ。

そうなのかもしれない。しかし、乗客が数カ月間にわたって送られてきた何通かのメールから、キャンペーンの全貌を知ると仮定することはできない。結果的に今日のメールは、Uberに乗ることは生死に関わるリスクがあると顧客に思い出させることが主たる効果だった。

Uberが説明を加えることなく「安全を約束する」と強調するのは、ディベートで否定が逆に肯定を示唆する、いわゆる「Negative Pregnant」と同じことだ。Uberは自ら墓穴を掘っている。

Uber

さらに見てみると、この事象はUberが今おかれている厄介な状況を明確に示している。「安全な乗車」のようなキャンペーンは、カラニック氏(会社を大きくするためにもなんでもやった)が指揮をとっていたころに画策されたものだが、今はコスロシャヒ氏の問題だ。

株価が5月のIPO以来下がり続けている事実も同様だ。Uberのコスト削減策はことあるごとに好奇の目を誘う(部外者は特に、社員の勤続記念の ヘリウム風船をステッカーに代えて節約したことを面白がった)。そしてUberは、ドライバーの最低賃金を引き上げようとする労働運動家との戦いに、ロサンゼルス市でもニュヨーク市でも敗れている。

コスロシャヒ氏が解決すべき問題はこれだけではない(フードデリバリー、自動運転技術、国内外のライバルなど)。アイザック氏の本がほかにも数多くの問題を取り上げることは間違いない。

避けようのないこれらの不評にUberがどう対処していくかはまだわからない。コスロシャヒ氏が強気に出ることは考えにくい。それは彼のスタイルではない。

しかし、Uberが理由を説明することなく利用者にメールを送り続けるのをやめることも望みたい。もしUberが、カラニック時代よりも真剣に乗客の安全を考えているのなら素晴らしいことだ。乗客がUberドライバーから身を守る方法を闇雲に呼びかけるのはまともなやり方とはいえない。なぜ会社が突然乗客と会話したがったのかの理由を知らせないのならなおさらだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook