月と地球を結ぶエレベーター「スペースライン」を科学者が提唱

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SFやフリンジ科学のファンなら「宇宙エレベーター」の構想にはなじみがあるだろう。まさしくその名の通りのものであり、現在の科学ではまったく実現不可能だ。しかし、2人の科学者は代替案を発見したと考えている。月エレベーターだ。それはわずかにバカバカしさの少ない技術かもしれない。

宇宙エレベーターは、アーサー・C・クラークが小説「楽園の泉」で初めて詳しく探求した構想で、実質的には宇宙に到達するほど背の高いタワーだ。宇宙船や物質を地表から軌道に送り込む代わりに、このタワーのエレベーターに載せるだけで、頂上に着けばそこは高度約4万2000kmの対地同期軌道で、重力に引っ張られることなくあらゆる意図や目的のために使える。

楽しいアイデアだが、単純な事実としてこのタワーは自身の重さを支えるだけの強度を持ち、反対側にはカウンターウェイトを置く必要もあり、これを実現できる材料は発見されたことがないのはもちろん、考えることもできない。絶対に。そのため宇宙エレベーターは提言されて以来、サイエンスフィクションの「フィクション」側に置かれている。だからといって特許を申請する人を妨げるものはない。

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しかし、宇宙エレベーターをさらに大きくして、現在入手可能な材料で作れると私が言ったらどうだろうか?私にそんなものを作る資格はないと言われるだろうし、それは実に正しい。しかし、ケンブリッジ大学とコロンビア大学の宇宙科学者2人は代替案を考えついた。その名は「スペースライン」。

秘密は、宇宙エレベーターを地表に固定するというコンセプトを捨てたことだ。代わりに彼らは、タワーまたはケーブルを〈反対側〉から伸ばす方法を提案している。月面から地球の周りの対地同期軌道に向けて。

実はこのアイデア、1970年代にはすでに提唱されていた。Zephyr Penoyre氏とEmily Sandford(エミリー・サンドフォード)氏は論文で以下のように書いている。

これはコンセプトを純粋な数学的および物理学的記述として表現したものである。われわれや過去の著者らが驚きとともに発見したきわめて妥当なコンセプトであり、人類が太陽系内を移動する能力の発展における大きな一歩としてこれまで見逃されてきたものと思われる。

diagram

Math by Cambridge and Columbia. Diagram by MS Paint.

言い換えると、これまでに提唱した人はいたが計算はされていなかった。そして、これは実際に実現可能である。そして費用は数十億ドルにすぎないということのようだ。スペースラインはタワーというよりスカイフックと呼ぶべきだろう。細くて強靭な材料(鉛筆の芯の太さを想像されたい)で月面から地球上空の、人工衛星を妨害したり、悪天候に遭遇しない安全な距離まで約36万キロ延びる。

月へ行きたい人は、スペースラインの末端がある高度まで飛んでいくと、そこには宇宙ステーションがある。そこからソーラー推進を使ってワイヤーに沿って進んでいく。燃料は必要ない。終点では減速して月面軌道や何らかの月面施設に軟着陸する。

重要なのはスペースラインが地球と月の間のラグランジュ点を通過することで、そこは実質的に無重力で物理的障害物もないため建築や保管が容易だ。

基地には少人数の科学者と技術者のみを配置するだけで、新しい世代の宇宙での研究設備の制作やメンテナンスが可能になる。望遠鏡、粒子加速器、重力波検知器、生態動物園、発電機、太陽系の他の部分へのミッションの発射場所などが考えられる。

NASAが計画しているあのちっぽけな「月軌道ゲートウェイ」よりは良さそうに思える。

提唱者たちはこれを「根拠のないゲーム解析ではない」と言っているが、もちろんそんなことはなく、これは現実的な理論ではなく、だれも真に受けない非現実的な話だ。それでも、計算した人が出てきた今、その可能性には興味をそそられる。宇宙にとりつかれたビリオネアの誰かが次の情熱プロジェクトとして月面エレベーターを作ってくれるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook