難解なITシステムの使い方を“画面上でガイド”する「テックタッチ」が1.2億円調達

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企業内でのWebシステム活用をサポートするSaaS「テックタッチ」開発元のテックタッチは9月18日、Archetype Ventures、DNX Ventures他個人投資家などから総額1.2億円を調達したことを明らかにした。

スクリーン上のガイドでWebシステムの使い方をナビゲート

テックタッチは対象となるWebシステムの使い方や注意事項に関する「ガイド」をスクリーン上にリアルタイムで表示することで、ユーザーをサポートするプロダクトだ。

たとえば経費精算システムに経費を入力する場合に「どのような順番でどのボタンをクリックし、どこに必要事項を入力すればいいのか」をチュートリアルのような形で順々に示すことができる。

手順をナビゲートするだけでなく、入力の誤りが合った際にアラートを出してチェックすることも可能(半角英数字のみが対象となる入力欄にそれ以外の記号があった場合など)。条件によって次に表示されるガイドの内容を変える「条件分岐」を始め、細かいニーズに対応した機能を搭載する。

ガイドの作り方もシンプルだ。操作フローにそって「画面上のどこで」「どんなアクションをするか」を設定していくだけ。プログラミングスキルも不要で、吹き出しやポップアップなどを使いながら説明文をテキストで入力しておけばOKだ。

メインのターゲットはエンタープライズ企業。テックタッチ代表取締役の井無田仲氏はもともと金融業界の出身で、自身も過去に社内の業務システムなどに複雑さや使いづらさを感じた経験があるそう。社員数が多いためWebシステムに接する人も必然的に多く、なおかつ自社開発のものを含めて複数のシステムが動いている。テックタッチが狙っているのはまさにそのような企業の課題解決だ。

「特に大企業で使われているようなフルスクラッチで開発した業務システムなどは、様々な機能が盛り込まれている反面、複雑で使い方がわかりづらいことも多い。これまで社員にとって『難解でわからない、面倒なもの』と捉えられることもあったWebシステムを『便利で業務の生産性を上げてくれるもの』へと変えるのがテックタッチの役割だ」(井無田氏)

現場ではこれまで操作画面のキャプチャとテキストを組み合わせてマニュアルを作成したり、社員向けの研修を開催してシステムの使い方をレクチャーするのが一般的だった。ただ結局のところシステム担当者には問い合わせが殺到し、社員も時間を費やした割には使い方がわからず、双方が負担を感じていたという。

テックタッチは画面上にガイドを表示できるので、マニュアルと画面を見比べながら操作をする必要がない。研修やeラーニングなどに比べると担当者側の負担も少なく、なおかつユーザーにとってもフレンドリーな形でシステムの使い方を共有できるのが最大のメリットだ。

「自分たちが作っているのは『企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するプラットフォーム』。マニュアルだけでなくOJTなどの研修やeラーニングなどをリプレイスするものでもあると同時に、システム導入担当者への問い合わせや不要な作業を減らす効果も見込める」(井無田氏)

従業員数1万人超えの企業を始めすでに10数社で活用

同サービスは2019年2月にクローズド版、同年5月にオープンベータ版をリリース。従業員数1万人を超える大企業を始め、すでに10数社で活用されている。

井無田氏によると金融業界のほか、まだ本導入に至った企業はないもののコールセンターなどは特に相性が良いと感じているそう。コールセンターのように社員の退職や入れ替わりが定期的に発生する業界では、新メンバーの教育にその都度時間とコストがかかっていたが、その負担をテックタッチを通じて解消できるという。

プライシングは1ユーザーごとの月額定額制。たとえば従業員1万人の会社で全社員が使うシステムに活用された場合は、1万ユーザーとしてカウントされる。なお複数のシステムに導入しても料金は同じだ。

直近はエンタープライズ企業を中心に比較的規模の大きい企業への導入を進めていく方針だが、もう1つのアプローチとしてシステムを開発するベンダー向けの展開も見据えているそう。

例としては勤怠管理や労務管理などのHRTech、会計システムなどのFinTech周りのSaaSを手がけるスタートアップにテックタッチを提供するような形で、カスタマーサクセスの一環としてテックタッチが活用されていく可能性もありそうだ(その場合はベンダーが料金を払い、ユーザー企業に対して提供)。

約50社へのヒアリングで手応え、企業のDX支える基盤目指す

中央がテックタッチ代表取締役の井無田仲氏

テックタッチは2018年3月の創業。代表の井無田氏はドイツ証券や新生銀行を経てユナイテッドに入社し、同社では着せ替えアプリ「CocoPPa」を運営する米国子会社の代表などを勤めていた人物だ。

CocoPPa時代を振り返った時に「ユーザーの声をもっとプロダクトに活かせれば良かった」との思いがあったことから、企業とユーザーの関係性作りを支援するようなプロダクトでの起業を考えた。

いくつかアイデアを検討する中で行き着いたのが、現在のテックタッチ。グローバルではユニコーン企業の「WalkMe」を始め複数社がWebシステムの使い勝手を改善するプロダクトに取り組んでいることを知り、この領域に強い関心を持ったという。

「(構想段階で)大企業を中心に50社くらいの担当者にヒアリングしたところ、最初の10社の時点で大きなペインやプロダクトに対する熱狂を感じた。単純に『担当者のマニュアル作成や問い合わせのコストが減る』『企業のDXを支援できる』だけでなく、これまでITを上手く活かせなかった企業やそこから取り残されてしまっていた人をサポートできる事業になりえるとも思った」(井無田氏)

現在のプロダクトはまだその第1段階にすぎない。今回の資金調達で開発チームを中心に人材採用を進め、プロダクトのさらなるアップデートに取り組む計画だ。

次のステップでは来年春頃を目安に、企業内における「システム利用状況の解析機能」をリリースする予定。社内で各システムがどのように使われているかを可視化することで、システム利用についての課題をあぶり出したり、システム投資のROIを分析できる環境を提供する。

ゆくゆくは一部の業務を自動化するような機能なども取り入れながら、システムをよりわかりやすいものに変え、誰もが便利に使いこなせるようにサポートしていきたいという。

テックタッチの今後の展望