新規上場
ChatWork

Chatworkが東証マザーズ上場、山本代表が語る今後の事業戦略

次の記事

新型Mac Proは米国で製造するとアップルが発表

ビジネスチャットツール「Chatwork」(チャットワーク)を開発・提供しているChatworkは9月24日、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場した。主幹事証券会社は大和証券で、そのほかみずほ証券、SMBC⽇興証券、SBI証券、マネックス証券、楽天証券、松井証券などが株式を取り扱う。初値は1480円で2019年9月24日9時11分に1521円の高値となり、その後は1450円台で株価が推移している。公開価格は1600円だったので初値で7.5%下回ったことになる。発行済株式数は3660万株。

Chatworkは2000年7月の設立。2015年4月にGMO VenturePartnersから3億円、2016年1月にGMO VenturePartners、ジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタルから15億円を、第三者割当増資で調達していた。

大手企業への導入、サイボウズやBoxなど他社サービスとの連携など進め、2018年6月にはChatworkの生みの親でもある取締役兼専務執行役員CTOだった山本正喜氏が、代表取締役兼CEO/CTOに就任。今年2月にはマネーフォワードとの資本提携も発表。3月には、取締役1名と執行役員を2名、監査役を1名を選任する新経営体制を発表していた。

Chatworkで代表取締役兼CEO/CTOを務める山本正喜氏

今回の上場の目的について山本氏は「社会インフラとして定着させるには事業の継続性や信頼性を担保する必要がある。その手段として上場を選んだ」と語る。山本氏によると「当初は上場や外部資本の導入は考えていなかった」とのこと。

2014年にChatworkで大規模な障害が発生した際に、顧客のツイートや問い合わせなどでChatworkがビジネスのライフラインとして活用されていることを痛感し、翌年の2015年に腹をくくって資金調達を始め、開発体制の強化を進めたそうだ。具体的には前述したように、2015年4月にGMO VenturePartnersを引受先とした第三者割当増資で3億円、2016年1月にジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタル、GMO VenturePartnersを引受先とした第三者割当増資で15億円、総額18億円の資金調達を実施している。

関連記事
ビジネスチャットシステムを手がけるChatWorkGMO-VPから3億円の資金調達
ChatWork15億円を追加資金調達、打倒Slackで北米市場進出なるか?

ちなみに、先月8月23日に発生したAWSの障害により、コード決済やEC、オンラインゲームなどがさまざまなサービスが一時利用できなくなったが、「Chatworkのメッセージング機能はAWSの障害の影響を受けませんでした。メッセージ検索機能は一時使えなくなりましたが、すぐに復旧しました」と山本氏。「障害に強いシステムを作るには冗長性を持たせる必要がありますが、そのぶんコストがかかります。Chatworkでは、2014年の教訓からコアサービスであるメッセージング機能は障害に強い設計に作り変えた」と続ける。

セキュリティ面での取り組みも進めており、社内で検証するホワイトボックステストはもちろん、外部アクセスで検証するブラックボックステスト、脆弱性や不具合などを発見した場合に報奨金を支払うバグバウンティプログラムも実施している。「重要度の高いものは速攻で直し、軽微なものは定期メンテナンスでまとめて直しています」とのこと。

ビジネスチャットといえばSlackの勢いが増している印象だが、山本氏は意外にも「あまり競合していないと」語る。「ビジネスチャットは普及率は23%程度で、まだまだ開拓の余地があります。Chatworkは、Slackが登場する2013年8月より前の、2011年3月からサービスを開始していたこともあり、国内企業の普及率は高いそうだ。IT業界ではSlackの普及率も高いが、Chatworkは300名以下の非IT業界で採用が増えているという。具体的には、士業、介護、建設、製造、小売り、医療などの現場で使われているそうだ。

Chatworkの優位性としては「社内と社外で同じアカウントを利用できるため、シームレスな運用が可能」と話す。例えば、Slackでは企業単位でチャンネルを作成した場合、社外の利用者とやり取りする場合は専用のゲストアカウントを利用するか、企業のチャンネルとは別のチャンネルを作成する必要がある。実際は1画面でチャンネルを切り替えられるのでさほど手間ではないが、取引先ごとにチャンネルを作るとなるとかなり煩雑になる。

今後の海外戦略については「まずは日本企業の現地法人があるベトナムやマレーシアに注力する」と山本氏。新興国は安価で労働力が手に入るため、ITへの投資熱はまだまだ低いですが、日本企業が進出している地域では利用頻度は上がっています。当面は日本9割、海外1割のぐらいで事業を拡大していきます」と話す。当面の主戦場は日本とアジア諸国になるが、中国については「グレートファイアーウォールの問題がありメッセージを暗号化できないため、進出の優先順位は低い」そうだ。

米国進出については「調査のためにシリコンバレーに事務所を作ってスタッフを5人ほど常駐させていたが現在は撤退している」とのこと。その理由として、日本資本で日本の会社が英語圏でのエコシステムに乗るのは難しく、ハードルは高かったと話す。

今後のサービス展開として山本氏は「まだまだ普及率の低いビジネスチャットを当たり前にし、次にチャットを利用した商取引を当たり前にする」と語る。将来的には、請求書や決済などもChatwork上で済ませられるマーケットプレイスの構築を考えている」と語ってくれた。