Facebookが「いいね!」の数の非表示テスト開始、妬みの感情を抑えるため

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もし誰かの投稿に「いいね!」がたくさんあったら、妬ましい気持ちになるだろう。自分の投稿に「いいね!」あまり付かなかったら恥ずかしく感じる。さらに、「いいね!」を求めるあまり、自分の人生を歪めて描いてしまうかもしれない。「いいね!」も付かない、つまらない人間と思われるのが嫌で、ありのままを書かなくなってしまうかもしれない。

Facebookが、投稿の「いいね!」の数を公式に非表示にし始めたのはそのためだ。すでに9月27日から、まずはオーストラリアで始まっている。投稿した本人は、「いいね!」の数を見ることができるが、他の人からは見ることができなくなる。今のところ、何人がいいね、またはその他の反応をしたか、数を見ることができるが、今後は誰が反応したかだけが表示されるようになる。

このように「いいね!」の数を隠すテストについては、今月のはじめに、Facebookが密かにプロトタイプを作成していることを、TechCrunchがレポートした。これは、リバースエンジニアリングの達人、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏がAndroidアプリのコードで発見したもの。今回のテストは、Instagramの「いいね!」の数の非表示のテストと並行して実行される。このInstagramの「いいね!」の非表示についても、4月にカナダで最初にテストされた際に、TechCrunchがスクープした。これはその後、7月に他の6カ国にも拡大された。

「いいね、その他の反応、動画視聴の各回数を、Facebook全体で非公開にする限定的なテストを実施しています」と、Facebookの広報担当者は語った。「フィードバックを収集して、この変更がユーザー体験を改善できるかどうかを確かめます」。このテストが、ユーザーのエンゲージメントを台なしにすることなく幸福感を増進することができたなら、他の国々にも拡大して全ユーザーに適用することになる可能性もある。ただし、今回以降のテストは現状では計画されていない。

これによってFacebookが目指すのは、安心して自分自身を表現できるようにすること。ユーザーには、「いいね!」を付けた人の数ではなく、シェアする内容の品質と、大切だと思っている人たちとの結びつきに重点を置いてほしいと考えている。このテストは、同社の副社長であるFidji Simo(フィッジ・シモ)氏の管轄下にあるニュースフィードチームによって実施され、メインのFacebookアプリで有効となる。すでにInstagram上のテストが、データを蓄積し始めているものの、アプリがかなり異なるのでFacebook上でのテストも必要なのだという。

上の図に示すように、「Likes(いいね!)」ボタン自体は、誰からでも見えている。コメント数は引き続き表示され、投稿に対する最も一般的なタイプの反応を示す顔マークと「いいね!」を付けた一部の人の名前も表示されている。機能的には、この投稿を見た人が「いいね!」を付けた人のリストを開いて、その数を数えることは可能だ。しかしこのテストは、ユーザーが数字を見ただけで不安に駆られたりすることを防ごうというものなのだ。

友人の投稿に大きな数字が付いているのを見て、自分がちっぽけな人間に思えたり、自分の投稿の数字が小さいのは、自分が人に認められていないのを宣伝しているようなものだと感じたりすることなく、Facebookをもっと気楽に使えるようになるかもしれない。「いいね!」の数の非表示には、群集心理を軽減する可能性もある。やみくもに「いいね!」をクリックして、他の人と同意見であることをひたすら示すのではなく、投稿自体を気に入ったかどうか自分自身で判断するようユーザーに促すのだ。

約2年前にも書いたことだが、一連の研究が、Facebookがもたらしうる害を指摘している。そうした研究によると、友達とメッセージを交換したり、投稿のスレッドにコメントを書き込んだりすること自体は、ユーザーをいい気分にさせてくれる。しかし、ほとんど習慣的にスクロールして「いいね!」を付けて回ることは、妬みのスパイラルを引き起こし、幸福感の減少につながるという。ユーザーは、自分自身のいかにも退屈な生活を、友人や有名人が共有している「いいね!」のたくさん付いた派手なできごとと比較して、自分がちっぽけな人間だと思ってしまいがちなのだ。

例えば、Krasanova(クラサノバ)氏らの研究によれば、ユーザーが人生においてなんらかの妬みの感情をいだく瞬間の20%は、Facebookを使っている最中のことだという。そして「惰性的に他人をフォローしていることが、長期的にはユーザーの人生の満足度を下げる傾向にある。そうすることで、社会的な上層と比較することになり、不愉快な感情を引き起こすからだ」というのだ。

1つの懸念は、多くのフォロワーを持ち、個々のユーザーの投稿数よりも多くの「いいね!」を獲得することの多いFacebookページも、そうした群集心理を取り除いてしまうと、多大なエンゲージメントとリーチを失う可能性があるということ。カナダの何人かのインフルエンサーは、Instagramで「いいね!」の非表示のテストが開始されて以来、リーチが減少していると不満を表明してきた。しかし、それを証明する決定的なデータはない。一方Facebookは、ランキングアルゴリズムの一部として、今でも「いいね!」の数を利用している。

Facebookが、今後15年先まで使われ続けるソーシャルネットワークを構築したいなら、ブランドより、エンゲージメントより、さらには広告収入より、ユーザーの幸福を優先しなければならない。また、たとえばユーザーがあまりにも長時間、だらだらとスクロールし続けている場合には、通知や警告を表示するといった工夫も必要となるだろう。それはともかくとして、「いいね!」の数の非表示が機能して、それが標準になれば、Facebookは、ずっと昔に大学の中で使われ始めたときのように、素朴な共有の場に戻ることができるかもしれない。一生続く人気コンテストに参加し続けたいという人はいないのだ。

Snapchatには、そもそも「いいね」がない。私は、SnapchatのCEOであるEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏にTechCrunch Disrupt SF(10月2日〜4日、チケットはこちら)でインタビューすることになっている。そこでは、ソーシャルネットワークが増大する心の健康への懸念に対し、どのように取り組んでいくのか探ってみたいと考えている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)