アップルがSonosを買収するなら今がそのとき

次の記事

イーロン・マスクがSpaceXのスターシップ宇宙船の最新情報をライブ公開、日本時間9月29日午前10時

スマートスピーカー分野ではこのところニュースが相次いだ。Amazon(アマゾン)は今週、Echo最新バージョンやプレミアムサウンドの新Echo Studioを含む、いくつもの製品を発表した。Sonos(ソノス)もまた、Bluetoothをサポートする同社初のポータブルスピーカーSonos Moveを発売し、8月にはIkeaとのコラボ製品もリリースされた。一方でApple(アップル)は直近のプロダクト発表会でHomePodには一切触れなかった。これは、Appleがこの分野についてよく知っている企業を買収するつもりであることを明示する「発表なし」だ。その買収対象となる企業はSonosだろう。

両社はかなりしっくりくる

部外者の見方として、プロダクトデザインやビジネスモデルにおいてSonosとAppleほどしっくりとくる2社はないだろう。両社とも明らかにプレミアムなハードウェア製品の展開にフォーカスしていて(価格面では大体において消費市場のハイエンドだ)、ハードウェア製品の魅力を増大させ、また補うためにサービスを充実させている。たとえAppleが急成長中のサービス事業との混合にシフトさせつつあるにしてもだ。

AppleのようにSonosも明らかに工業デザインにかなりフォーカスし、それなりに大きな投資もしてきた。そして真に特徴のあるプロダクトの外観にかなり注力し、他社の製品と差別化を図ってきた。大半の製品が黒か白で統一されてきたのもまったくAppleのようだ。Appleは少なくともiPhoneを含む人気のデバイスにおいて、多色展開する前は黒と白のプロダクトを提供してきた。

テクニカルの面では、AppleとSonosは協業に熱心なようだ。コラボの結果は、どちらのエコシステムも使う消費者にとって素晴らしいものだった。AirPlay 2のサポートはモダンなSonosハードウェアすべてにおいて事実上スタンダードだ。さまざまな要素や価格設定において幅広い選択肢があるお陰で、AirPlay 2ベースのマルチフォームオーディオを探している人にとってはすでにSonosは必然的にデフォルトの選択肢となっている。Sonos とAppleはまた、SonosのコントローラーアプリでApple Musicを提供している。そして今やApple Musicを流すのにAlexa経由の音声コントロールを使うこともできる。

競合する動き

これまでは現実味がなかった「Apple傘下のSonos」となったときの大きな問題は、少なくともスピーカーメーカーSonosの観点からすればだが、すべてのメジャーなストリーミングサービスプロバイダーやバーチャルアシスタントで素敵な音楽をかけるプラットフォームであるというメリットを失ってしまうことだ。例えば、最近のSonosスピーカーはAmazon AlexaとGoogleアシスタントのサポートどちらも提供していて、Sonosのソフトウェアは事実上、利用できるあらゆるメジャーな音楽とオーディオのストリーミングサービスに対応している。

変わったことといえば、今週のAmazonの多くの発表にあるように、Amazonのような競合相手がSonosの領域のビジネスを展開したがっているということだ。AmazonのEcho Studioは、Sonosと直接競合する新しいプレミアムスピーカーだ。これまでのEchoはそうではなかった。そしてAmazonは常により良いサウンドでリーズナブルプライスのEchoを展開してきた。Amazonはまた、機能が充実したマルチルームオーディオ機能を展開している。ここには、ホームシアター使用向けのワイヤレスサラウンドのサポートも含まれている。

さしあたっては、SonosとAmazonは「frenemy」(フレネミー、ライバルであると同時に友であるの意)のようだが、スピーカーハードウェアカテゴリーにおいてはAmazonはだんだんハイエンド部門に侵食しつつあるようだ。AmazonはAlexaを最大限活用するためにできることは何でもするだろう。それは自前のデバイス、サードパーティのデバイスどちらにおいてもだ。しかしAmazonはまた自前のデバイスラインアップを強化して拡大する意思もあるようだ。

GoogleやAppleを含め、他の競合相手は直接Sonosと競うラインアップで成功しているとは言い難い。しかしSonosは、オーディオ業界で信念を持っている企業から永遠に挑戦を受け続けるだろう。また、Anker(アンカー)のようなオーディオに関して野心を持っていて、コスト面でもアドバンテージを抱える新たなデバイスメーカーと競争を展開することもあり得る。

足りないものとなすべきこと

もちろん、AppleのSonos買収では、消費者離れを起こさないために大きな課題や今後注意すべきこともある。Sonosはかなりうまくやっている。というのも、サービスに依存していないからだ。例えば、最近展開しているプロダクトで鍵を握っているのは、人々が実際に最も使いたいと思っているスマートホームアシスタントの搭載のようだ。これは主にAlexaとGoogleアシスタントになる。

Apple傘下となれば、Apple Musicが唯一提供されるストリーミングとはならないにしても、少なくともApple Musicが優遇されるというのはあり得る話だ。おそらくSiriが利用できる唯一のヴァーチャル音声サービスとしてAlexaやGoogleアシスタントに取って代わる。そしてもし本当に買収したら、Appleが競合するサービスのサポートを継続するのはほぼ考えられない。

つまり、AppleとSonosの顧客はすでにかなりオーバーラップしていて、サービスでいくらかの柔軟性がある、という前提である限り(iOS上にSpotifyのようなストリーミング競争相手がいるように)、Siriのみを提供することはさほど大きな問題にはならないだろう。また、買収によりHomePodが確立できていない、家庭での足がかりをSiriが得ることになるかもしれない。Appleは、一般的な家庭でのアシスタントとしてSiriのパフォーマンスをさらに改善しようと駆り立てられることになりそうだ。これは最終的にはAppleエコシステムを利用している客にとっていいことだ。

他の買収例

Appleの大型の買収というのはさほどあるわけではない。しかし買収するときには通常、明らかにコアビジネスに近い会社が対象となる。Sonosの買収は、たとえ既存プロダクトの提供とストリーミングサービス立ち上げのための基礎固めという強固なモチベーションがなくても、Appleが2014年に買収したBeatsを思い起こさせる。

しかしながら、Sonosが進めてきたことは、ハードウェアを売るために素晴らしいサービスを活用するというAppleが取ってきたモデルの逆を行く。Sonosエコシステムは素晴らしく使いやすい。そしてAppleの音楽とビデオ(そして新たに加わるゲームサブスクリプション)のストリーミングサービスを最大限活用するためのプレミアムな手段となる。こうした要素は、AppleがiPhone頼みだった事業を変えていくのに、かつてなく重要なものとなっている。

AppleのSonos買収が理にかなっていると指摘するのは私が初めてではない。実際、J.P.モルガンのアナリストであるSamik Chatterjee(サミック・チャタジー)氏も今年初めに提案している。しかし私が思うに、買収のタイミング、そして両社にとっての動機付けも今がベストだろう。

情報公開:私は2015年から2016年にかけてのわずかな期間、Appleのコミュニケーション部門で働いた。しかし上記の分析記事はすべてオープンになっている情報に基づくものだ。また、Apple、Sonosどちらの株式も私は保有していない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)