元バンドマンが開発、好きなアーティストのチケット情報見逃し防止アプリ「Freax」が資金調達

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チケット見逃し防止アプリ「Freax(フリークス)」を運営するSpectraは9月30日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。具体的な金額は非公開だが、数千万円規模の調達になるという。

今年5月にローンチされたFreaxは、好きなアーティストのライブや気になるフェスなどの“チケット情報”を見逃さないようにサポートしてくれるサービスだ。

このアプリではApple MusicやSpotify、iPhone内のデータと連携することで普段から聴いているアーティストを簡単にフォローすることが可能。フォローしたアーティストのライブ情報はカレンダー上で確認できるほか、「チケットの情報が解禁されたタイミング」「チケットが発売されたタイミング」「申込み期限の前日」にプッシュ通知が送られてくるため、ライブ情報の見逃しやチケットの買い忘れを防ぎやすい。

カレンダーにはフォローしていないアーティストも含めた注目のライブ情報を表示する機能も搭載。エリアを選択すれば自分が行ける範囲で「その日どんなライブやフェスが開催されているか」を調べるのにも使える。

実際に行きたいライブが見つかれば、Freax上にてそのまま申込むことが可能だ。ライブページには「チケットぴあ」や「ローチケ」、「イープラス」など複数のチケットサイト情報が集約されているので、それぞれのサイトで検索する手間もない(チケット情報が申込みページへのリンクとなっていて、Freax上から各サイトで購入手続きをする)。

Spectra代表取締役の浅香直紀氏によると、今のところは特にコアな音楽ファンの利用が多いそう。1ユーザーあたりのフォローアーティスト数は約19組。合計では5300組以上のアーティストがすでにフォローされていて、プッシュ通知の許諾率は約80%だという。

確かに「気になるアーティスト」が複数組いる人の場合、それぞれの最新情報やライブ情報をくまなくチェックするのは大変だ。Freaxなら「少し興味があるアーティスト」や「暇な日に近くで開催される予定のライブ・フェス」を含めてさまざまなチケット情報を簡単に把握できるので、音楽ファンやライブ好きの人には特に向いているサービスと言えるだろう。

FreaxはもともとSpectraの創業メンバーが自ら感じた課題を解決するべく開発したものだ。浅香氏と取締役の露木修斗氏は高校時代に同じ軽音楽部でバンド活動を経験。ライブ情報の発信や継続的な集客の難しさを痛感した一方で、ライブ好きのファンの立場では好きなアーティストの情報を追いきれずチケット情報を見逃してしまうこともあったという。

そこでアーティストと音楽ファン双方にヒアリングをしてみたところ、同様の課題感やニーズを持つ人が一定数いることを知ったためプロダクトの開発を本格的にスタートした。

実はFreaxの前にもいくつかテスト的に事業をやっていて、その中の1つである「アイドルファンの人が推しメンの新着情報をLINE上で網羅的に受け取れるサービス」はユーザーの反応が良かったそう。その経験からもネット上の情報を1箇所に集めて提供する仕組みに可能性を感じていたようだ。

アーティストとファンをつなぐ情報プラットフォームへ

Spectraは2018年の創業後にEastVenturesのほか松本龍祐氏、堀井翔太氏、大湯俊介氏を含む複数の個人投資家から資金調達を実施済み。今回の調達はそれに続くものとなる。

主に人材採用の強化が目的で、開発体制を整えながらプロダクトのアップデートを進める計画だ。

左からジェネシア・ベンチャーズの一戸将未氏、Spectra代表取締役の浅香直紀氏、共同創業者で取締役の露木修斗氏、ジェネシア・ベンチャーズの田島聡一氏 。浅香氏と露木氏は同じ高校の軽音楽部出身で1学年違いの先輩・後輩。浅香氏はメルカリ/ソウゾウなどを経て、露木氏はnana musicやTechouseなどを経て2018年に起業している。

浅香氏の話では「アーティストの基本情報を全部追えるような『アーティストとファンをつなぐ情報プラットフォーム』」を見据えていて、アーティスト情報の拡充だけでなく、参加したライブ・フェスのレポート機能などファンとしての活動ログを残せる仕組みも追加していく予定だという。

「現段階ではまだライブにいく前のほんの一部分しか対応できていない。チケットの申し込みを楽にしたり、払い逃しをしないようにする機能などを強化しつつも、プロダクトとしてはもっと情報量を増やしていく。たとえばライブ情報だけでなくメディアの出演情報や公式のYouTube動画をアーティストのページで見れるようになれば、もっと幅広い使い方ができる」(浅香氏)

現段階ではFreaxの各アーティストページはライブ開催日程とSpotifyのリンク、類似アーティストが表示されるだけの非常にシンプルな設計。トップページで「おすすめ」として紹介されているアーティストが気になっても、アプリ上で詳しく調べることはできない。

そこを充実させることで新しいアーティストの発見などにも繋がるサービスへ進化させていくことが1つの目標だ。この点について浅香氏はマンガ探しアプリの「アル」も1つのベンチマークに挙げながら、よりメディア的な側面も強化していきたいということだった。

事業としてはFreaxに蓄積された行動データや指向性データを活用して事務所やレコード会社、アーティストなどのデジタル化をサポートする法人向けの取り組みも始める方針。ECサイトやファンクラブサイトの開発・運営、Webマーケティング、音源配信やライブ企画のサポートなどからスタートし、ゆくゆくは業界向けのプロダクトも検討していくという。

「まずはライブのチケット情報を軸として、音楽ファンの人が必要としている情報をしっかりと提供できるようにデータの質と量にこだわっていく。中長期的には業界向けのプロダクトも見据えながら、ファンの人・業界の人と一緒に良いサービスを作っていきたい」(浅香氏)