軌道上の人工衛星に燃料補給するスタートアップOrbit Fabが約3億2000万円を調達

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今週サンフランシスコで開催されたTechCrunch Disrupt Battlefieldに出場したOrbit Fab(オービットファブ)が、300万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドをクローズした。Type 1 Ventures、TechStarsなどが出資した。Orbit Fabは宇宙空間でのロボットによる燃料補給技術で勢いに乗っており、今回の資金がさらに後押しする。

今年初めに達成したあることから、Orbit Fabという名前を覚えている人もいるかもしれない。国際宇宙ステーションに水を供給した最初のスタートアップになったのだ。それ自体も成果だが、軌道上の人工衛星に燃料補給する技術にも使えることを実証する結果となった。人工衛星に燃料を補給できれば商業衛星ビジネスに与える影響は計り知れない。高価な人工衛星の運用寿命を大幅に延ばすことができるからだ。利益率が上がり、収益性の高いビジネスになる。

共同創業者のDaniel Faber(ダニエル・フェイバー)氏とJeremy Schiel(ジェレミー・シエル)氏は創業前から業界では旧知の仲で、2人とも15年以上宇宙技術ビジネスでリーダーシップを発揮する立場にいたこともあり、Orbit Fabは創業後1年も経たないうちに宇宙で使える技術を実証できた。CEOのフェイバー氏とCMOのシエル氏は、Deep Space Industriesで出会った。フェイバー氏が同社のCEO、シエル氏は契約社員だった。

シエル氏はインタビューで「後日再会することになって、この産業を進化させるビジネスモデルをいくつか真剣に検討した。業界の動きとも歩調があっていて実際に顧客がついたのは衛星の燃料補給ビジネスだった。Elon Musk(イーロン・マスク)はロケットを再利用可能にしつつある。いよいよ人工衛星も再利用する時代が来たと思った」と語った。

2人は2018年1月に会社を設立して早速取り組み始めた。その後、同年6月にOrbit Fabにとって最初のラウンドとなるプレシードラウンドでサンフランシスコのBoltから投資を確保した。契約も2つ獲得した。NASAと国際宇宙ステーション国立研究所からだ。

「およそ4カ月半で燃料補給試験機に飛行適格かつ有人レベル(人間を運ぶに足る安全性)の評価をを得た。2018年12月と2019年3月に国際宇宙ステーションに飛ばした2つの試験機をNASAが評価した」とシエル氏は述べた。

なぜそんなに早くできたのか? フェイバー氏はリードエンジニアのJames Bultitude(ジェームズ・バルティテュード)氏の功績によるところが大きいと言う。国際宇宙ステーションに5つのペイロード(航空宇宙における貨物や旅客)を運んだ実績を持つ熟練した宇宙技術者だ。

「彼はペーパーナプキンに描いたプロジェクトのアイデアを4ヵ月半でハードウェアとして実現した。すべてがNASAの有人レベルの安全基準に適合していた。偉業だとしか言いようがない。NASAに急いでもらう必要があった」とフェイバー氏は語った。

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フェイバー氏は、Orbit Fabの成功理由として米国の宇宙機関を動かす能力を挙げ、こんな話をした。National Lab(国際宇宙ステーション米国国立研究所)が予定していた宇宙機への試験貨物積載を中止しようとした際、Orbit Fabはその週末にNASAの最上層部に掛け合い承認を得て何とか飛行にこぎ着けた。

スタートアップとしてNASAと仕事をすることに関してフェイバー氏は「様相が変わってきた。NASAは若い企業やスタートアップと仕事をすることに前向きになっているし、適応もしている。それが今までとは異なるイノベーションを現場にもたらしている」と述べた。

「NASAと電話していると変化がはっきりわかる。彼らの変化を電話越しに感じ取ることができる」と彼は言う。

Disruptのステージで、Orbit Fabは燃料補給用のロボットコネクタのデモを初めて行った。構想はこうだ。メーカーが標準的なノズルを人工衛星の設計に組み込む。ロボット給油機がノズルを探し出し、カプラーを介してしっかりと人工衛星と接続し、推進剤を注入する。

Orbit Fabはすでに、Northrop Grummanを含むパートナーと協議を始めている。衛星関連のロボットサービスとメンテナンスの業界団体であるRendezvous and Servicing Operations(CONFERS)のメンバーにもなっている。

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(翻訳:Mizoguchi)