アップルの対中国姿勢が米国で超党派議員による政治同盟を生み出す

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Apple(アップル)が中国政府の要求を聞き入れアプリの承認を取り下げた判断に対する手厳しい非難は、米国議会、上院議員、下院議員が、憎しみやいがみ合いを乗り越えて意見を一致させる珍しい事例となった。

ロン・ワイデン氏、トム・コットン氏、マルコ・ルビオ氏、テッド・クルーズ氏の各上院議員と、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏、マイク・ギャラガー氏、トム・マリノフスキー氏の各下院議員は、「香港の抗議活動で目覚ましい役割を果たしているものを含むアプリの、中国政府からの要請によるアップルの検閲に対して深い憂慮を表明する」と記した書簡に署名した。

最も強力な産業のひとつに立ち向かうために、米国で敵対する政治派閥が手を結ぶというのは、2019年内には初めてのことに思われる。論争の中心となったのは、HKMapsと呼ばれるアプリの承認を取り下げるといアップルの判断だ。これは、香港市民が警察の動きを監視するために利用している

数カ月間にわたり、小さな香港の中では、北京の中国政府からの香港の自治権への介入と彼らがみなす行為に抗議する人たちと、警察との間で衝突が続いている。かつて英国の保護領であったこの地域の住民は、1997年7月1日に英国から中国に返還されて以来、中国本土の市民には与えられない特権と人権を享受してきた。

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「先週のアップルの判断は、HKMapsの承認を取り消すことで中国政府に便宜を図ることになり、大変に憂慮すべきことだ」と書簡の送り主たちは話す。「市場アクセスよりも大切な価値観を示し、基本的人権と香港の尊厳のために戦う勇敢な男女の側に立つようアップルに、最大限の強い言葉で方向転換を求める」

アップルは長年、人権(プライバシーと言論の自由を含む)の擁護者という立場を貫いてきた、国内においては。海外においては、同社の歴史は潔癖だったとは言えない。特に部一国外では最大の市場である中国からの圧力に対する態度はあいまいだ。

2017年、アップルは、すべての仮想プライベート・ネットワーク(VPN)アプリをApp Storeから排除せよとの中国政府からの要求に屈した。それらのアプリは、中国政府とその検閲機関の承認を得た情報だけにアクセスできるよう制限するグレート・ファイヤーウォールの回避を可能にするものだ。

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中国の非営利団体GreatFireによると、中国政府の要求を聞いてアップルが承認を取り消したアプリは1100本以上あった(このデータは今回の米議会からの書簡にも使われている)。その中には、VPNや、中国国内の反体制コミュニティー(ウイグルチベット)で作られたアプリが含まれている。

香港での騒乱に何らかの形で関係したとして中国政府から目をつけられた企業は、アップルだけではない。National Basketball Association(NBA)とゲーム会社のBlizzard(ブリザード)も、従業員や、これら企業が代表するスポーツフランチャイズやゲームコミュニティーなど個々の系列団体に関連するさまざまな公的な立場を理由とした自己検閲をめぐって揉めごとが起きていた。

しかし、アップルは中でも最大の企業だ。そのため、ターゲットとしても最大だ。アップルの立場は、本国での立ち位置は別に、戦略的に重要と思われる市場の圧力にはしぶしぶ従ってしまうことを示唆している。

問題は、米国の規制当局が書簡の送付を止め、独自に法的な要求を行うようになったときに何が起きるのかだ。

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(翻訳:金井哲夫)