YouTubeがUIをリニューアル、ユーザビリティー重視、クイックリスト復活

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YouTubeがトップページのリニューアルを発表した。同社は米国時間10月7日、メジャーアップデートを行い、使いやすさを優先したシンプルなデザインを採用した。

これまでYouTubeのトップページは情報過多でゴチャゴチャした印象だったが、これが整理され視認性が向上した。またAdd to Queue(キューに追加)というクイックリスト作成機能が復活した。ビデオをこのキューに追加していけば、YouTube側のお勧めが次々に再生されてしまうことはない。

新デザインはデスクトップPCとタブレット端末をターゲットとしており、本日から公開が始まっている。YouTubeによれば、ウェブ、アプリともモバイル版には変化はないという。

YouTubeの親会社であるGoogleはすでに検索ページをコンパクトにし、テキスト、画像とも一見してコンテンツが理解しやすいレイアウトに変えてきた。例えば、7月にはGoogle検索でニュースのタブのデザインがアップデートされ、密集した大量の見出しから見やすいカードになった。 こうしたアップデートは可読性を大いに改善したが、一方ではスクロールせずに一見して読める情報量の減少も招いている。今回のYouTubeのデザイン変更にも同じきことが言えそうだ。

新デザインでは各行に表示されるビデオの数が減少している。そのかわりタイトルも詳しくなり、サムネールも大型化されてどんなビデオなのかわかりやすくなっている。

プレビューの精細度もアップされ、ビデオ下部のチャンネルアイコンも目立つデザインになった。ユーザーはお気に入りのクリエーターの作品であることがすぐに見てとれる。

こうしたアップデートにともなってページのレイアウトにも変更が加えられている。YouTubeによれば、 チャンネルやトピック別の表示部分をいくつか削除したという。新デザインでもビデオが所属するチャンネル、トピックは表示されるが、それぞれにグループ化はされない。新デザインでは「新着ビデオ」「トップビデオ」という分類となる。

一方、YouTubeのデスクトップ版の新しいオプション、Add to queueはビデオのサムネールに付加されたアイコンで、クリックすると従来どおり「後で見る」に追加できると同時に、新オプションであるクイックリストにも追加できる。

Add to Queueアイコンはビデオ視聴中はページの隅に最小化されているが、随時クリック可能だ。

「キューに追加」するというのは簡単にいえばクイックリスト作成機能だ。その場で簡単にプレイリストを作れるのはとても便利だ。ただしここで作られるリストは一時的ななもので、本来のプレイリストを代替するわけではない。つまりクイックリストをすべて再生してしまえばリストは消滅する。YouTubeではデスクトップのクイックリストはブラウザを閉じたときクリアされるという。つまりテレビやタブレットなど別のデバイスでビデオを見たい場合は、従来どおり「後で見る」リストに追加する必要がある。

さらに今回、モバイルのみの機能のいくつかがデスクトップに追加された。今年に入って、YouTubeはいくつかのアップデートを行ったが、これはこれはアルゴリズムによりトップページのサムネールや「次のおすすめ」としてビデオが選択される際に、ユーザーのコントロールを大きくしようとするものだった。モバイルでは「次に再生」をキャンセルすることが可能なった。

この「チャンネルのおすすめ」のキャンセルがデスクトップにも移植されたわけだ。.これはトップページのビデオのタイトル右横の「…」メニューに含まれる。5番目のオプションをクリックすると、そのチャンネルに属するビデオはトップページに表示されなくなる。ただし、これは完全なブロックボタンではない。検索結果や人気急上昇には表示されるし、そのチャンネルを訪問しても表示される。

これも今年のアップデートだが、YouTubeのAndroidアプリではユーザーが好みのトピック選ぶことでビデオのフィードをカスタマイズできる機能が導入された。この機能はデスクトップ、タブレットの各アプリにも近く導入されるというが、今回のアップデートには含まれていない。

新デザインによって見通しがよくなったことは確かだが、クリエーター側から見ると副作用もなくはない。サムネール、キャプションが大きくなり視認性がアップしているが、トップページの情報密度は減った。つまりスクロールせずに表示されるビデオの数、つまりはクリエーターの数も減少したわけだ。

ヘイトスピーチやフェイクニュースの拡散をアルゴリズムが手助けしているという批判が強まっているが、一方ではどんな内容であれ、多くの人々見ていればアルゴリズムはそれを取り上げる。

ヘイトスピーチや人々の過激化にYouTubeがどの程度責任があるかというのが激しい議論の的となっている。ニューヨークタイムズの主張とは逆にWiredは人々の過激化にアルゴリズムはほとんど関係がない、責任があるのはむしろオンライン上で積極に活動するグループだと報じている。これは判断が難しい問題だ。孤独な若者がたまたま目にしたYouTubeビデオをきっかけにさらに暗い迷路に迷い込み過激化して最後にはそうしたコミュニティーに加わるというコースもなくはないだろう。

YouTubeではこうした批判に対し、(少なくともある程度)言論の自由を擁護しつつ、人々に「見たくないものを見ない」ですむような裁量権を増やそうとしているようだ。今回のアップデートもこの流れに沿ったものだろう。

「見たくないものは表示しない」(「おすすめ」キャンセル)機能の導入はYouTubeに限ったことではなく、最近はビデオサービスの標準となりつつある。Facebookでも他人のスレッドに反対意見を書き込む人間は「いやなら読むな」と言われがちだ。YouTubeも「良識あるコメント」を心がけるようユーザーに注意している。インターネットではますますユーザー個々の責任が重要となっている。

YouTubeによればこのアップデートはデスクトップ(Android、iOSのタブレット・アプリを含む)ですでに公開を始めたところだというという。すぐにユーザー全員が利用できるようになるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook