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ECやD2Cブランドの“パッケージ”発注を変革、最適な印刷会社つなぎ低コスト・短納期を実現する「canal」

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ECやD2C事業者にとって、商品を包む梱包袋や梱包箱といった「パッケージ」はブランド作りにおける重要なパーツの1つだ。パッケージは消費者とブランドをつなぐ接点であり、その見た目や素材感、使い勝手などの良し悪しがブランド全体へのイメージにも影響を与える。

事業者としては高品質なこだわりのパッケージを作れるに越したことはないけれど、一方で特に小規模なブランドの場合はそこに回せる予算や時間は限られる。最近は国内でもD2C事業者が増えてきていることに加え、簡単にネットショップを作成できるツールなどが充実してきたこともあり、パッケージの発注をより低コストかつシンプルにしてくれるサービスは今後ニーズが増していくのではないだろうか。

本日11月25日にベータ版の事前登録を開始した「canal」はまさにそんなアイデアを形にしたプラットフォームだ。「ラクスルのパッケージ印刷版」とも言えそうなこのプロダクトは、複数の印刷会社をネットワーク化し顧客の要望に合った会社をマッチングする。

それによって従来1ヶ月以上かかっていた受発注プロセスを即日完了できるだけでなく、平均30%のコストダウンを実現している点が大きな特徴だ。

少なくともユーザー(ブランドオーナー)から見ればcanalはとてもシンプルだ。まず最初に梱包袋や差込梱包箱、小物用ジップ袋、配送箱などの商品から注文したいパッケージの型を選択し、サイズなどの具体的な仕様を設定する。

そうすればすぐにオンライン上で見積もりを確認できるので、後はデザインデータを入稿して発注すれば完了だ。

canalの開発元であるre代表取締役の福村圭祐氏によるとこの業界は多重下請け構造になっていて、多い場合には6次・7次下請けまで及ぶこともあるそう。通常ECやD2C事業者はインターネットで検索してヒットしたところに発注するか、知り合いから紹介された会社に発注することが多いが、間に入る各印刷会社がマージンを乗せているため末端価格が30%以上高くなる場合も珍しくないという。

canalの場合は複数の提携印刷会社の保有設備をネットワーク化した上で、発注者が求める品質・価格・納期に合った印刷会社を直接マッチングする仕組みを構築。中間業者をなくすことでコストを抑えることができ、実際に現在クローズドで同サービスを使っているユーザーの間では平均で30%のコストダウンに繋がっている。

canalでは保有機械や過去の取引から印刷会社の得意な商品を把握し、顧客の要望を踏まえて受発注を行うことで品質を落とさずに低コストや短納期を実現。小ロットの発注ニーズにも応える。

「事業者は『誰に相談を行って良いのかわからない』『どの印刷会社が自分自身の作りたいパッケージに最適なのかがわからない』という悩みを抱えている。自分で膨大な数の印刷業者に手当たり次第見積もりを取るのは現実的ではないし、そもそもパッケージで包む商品が確定しないとパッケージの構成を確定できないため見積もり自体が難しいという課題もある」(福村氏)

そこでcanalでは独自で自動見積もりシステムを搭載。商品やサイズ、注文数などの必要事項を入力すればその場ですぐに料金表のような形で見積もりを算出できるようにした。

従来の構造では個別での見積もり依頼と見積もり確認、デザイン入稿とデザイン確認の工程などをFAXや電話、郵便を始めとしたオフラインツールで何度も繰り返していたため、企画から商品到着まで1ヶ月以上かかることも多い。自動見積もりシステムを含めて非効率だった部分をIT化することにより、このプロセスを圧倒的に短縮しているのがcanalのポイントだ。

「特に定期的に仕様変更やアップデートがあるECやD2C事業者の場合、毎回のコミュニケーションが大きな負担になる。価格の不透明性や情報の非対称性から生じるミスマッチを解消すると共に、仕組みによってコミュニケーションコストを極力抑えるのが自分たちの役割だ」(福村氏)

ここまでパッケージを発注したいユーザー側の視点からcanalを紹介してきたが、このプロダクトは印刷会社側が抱える課題にも同時にアプローチする。

福村氏によると印刷会社の課題は「ダイレクトに新規の顧客を開拓できないこと」。特に小規模な印刷会社はECやD2C事業者と接点がなく、文化も違うためなかなか受注が行えないのが現状で、そういった企業に対してはcanalが営業パートナーのような役割を果たす構図だ。

現在はプロダクトを試験的に運用しながら改善している段階のため、canalと連携している印刷会社は約15社ほど。裏側も今は人力で対応している部分もあるが、今後は各エリアごとにパートナーとなる印刷会社を増やしていくとともに、受発注システムの自動化を進める計画。合わせてラインナップの強化やオンラインデザインシステム、在庫管理機能なども追加する予定だという。

海外ではcanalに近しいプロダクトの「lumi」が昨年900万ドルを調達済み。冒頭でも触れた通り今後日本でもD2Cブランドや小規模のECオーナーが増えていけば、それに伴ってcanalのようなプロダクトが活躍するシーンも広がっていきそうだ。