テスラのフル電動トラック「Cybertruck」がクレイジーなスタイルになった理由

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Tesla(テスラ)のCEOを務めるイーロン・マスク氏は11月22日、完全電動モデルを含むピックアップトラックのCybertruck(サイバートラック)を発表。市場に2つとないスタイルだと公言した。そのとおりだ。しかしCybertruckは、その主要部分が似ても似つかないホンダの中型スポーツユーティリティトラック(SUT)であるRIDGELINE(リッジライン)の1世代と共通している。

CybertruckもRIDGELINEも、別々に開発された標準型のピックアップトラックだが、どちらもほとんどの乗用車に採用されているモノコック構造になっている。フレームの上に載っかるのではなく、両車とも実質的に金属の鳥籠のような構造体バードケージを包むようにして作られている。モノコックボディは、ボディの下に大きくて場所を取るフレームを使わずに済むため、テスラには都合がいい。バッテリーを車体の下側に配置し、ボディでそれを保護する構造をテスラは好むからだ。

モノコックのピックアップ形状のため、牽引力を高めるためのデザイン要素を取り入れる必要があった。それがセイルピラーだ。

たいていの場合、車両の牽引力は、エンジンの出力よりもボディのデザインで制約されることのほうが多い。牽引フックを取り付ける場所では、車体のフレームに大きな力がかかる。もっと重い物を引っ張りたいなら、トラック下部のフレームを大きくすることだ。しかし、モノコックボディのCybertruckの場合、牽引力を高めるために、できるだけ大きなセイルピラーを取り付けるしかなかった。それがあの、奇抜な形状につながったのだ。

自動車の車体は捻れ曲ろうとする性質がある。タオルを絞ったときのような感じだ。フレームの上にボディが載っかる構造なら、エンジンは、たくさんの応力を吸収してくれる大きなフレームの上に固定される。モノコック構造の場合は、縦の支柱が頑張ってくれる。フロントウィンドウのAピラーから始まって、SUVのリアウィンドウのDピラーまでが縦の支柱として配置されている。

フレームの上にボディが載っかる構造では、ほとんどのピックアップトラックが採用しているように、トレーラーを引っ張るときの力がフレームにかかる。ほとんどのエネルギーは、トラックの底を支えるその構造体の中に吸収される。トラックのキャブはフレームから独立していて、キャブとフレームが相対的な動きをすることで、フレームにかかる応力がうまく相殺される仕組みだ。

CybertruckやRIDGELINEや、ほとんどのSUVのようなモノコック構造では、ボディも同じ力を受けることになるのだが、ボディを使って捻れを防ぐようにしている。バットレス(控え壁)のようなセールピラーは、エネルギーを吸収し、トラックが捻れるのを防ぐ。

モノコックのSUVには、車両後部の縦の支柱であるDピラーがあるが、ピックアップトラックにはそれがない。Dピラーは、モノコックボディの捻れと、荷重がかかったときの屈曲を防ぐ。だが、Dピラーのないモノコックのピックアップでは、セールピラーがCピラーと車両後部をつないで、同じような効果をもたらしている。

第1世代のRIDGELINEは、控えめなセールピラーが付いていたが、第2世代ではモノコックボディ全体の主要部分を補強することで、セールピラーを廃止することができた。

ホンダは、そのデザインを以下のように説明している。

2017年型リッジラインのリアフレーム構造は、ボディ全体の構造強度を強固にし、衝突安全性と、運搬、牽引能力を高める上できわめて重要なものです。ボディ側面とリアのテールゲートのフレームには、完全なボックス型フレームメンバーを利用したことで、前モデルと比較して捻れ剛性を28パーセント向上させつつも、前モデルのアッパーベッドの前部にあったバットレス型の構造材を廃し、リッジラインの伝統的な3ボックスの側面形状を保つことができました。さらに、U型のリアフレームメンバーを採用することで、リアのテールゲートに高剛性の土台構造がもたらされ、テールゲートが非常に正確に閉まるようになりました。

Chevrolet Avalanche(シボレー・アバランチ)も、Dピラーがない代わりにセールピラーを採用している。アバランチを作るために、シボレーはこれをフルサイズの郊外型SUVとし、リアクオーターを切り捨てた。

テスラが最終バージョンのサイバートラックを発表するかどうかは不透明だが、疑問は数多く残っている。もしこれが最終デザインではないならば、テスラはホンダの方式を取り入れて、大きなバットレスを縮小して、従来型のピックアップのデザインに近づけることもできるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)