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遺書、生命保険、遺産分けなど死後の準備を簡単にしてくれるアプリFabric

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Fabric(ファブリック)は、親権者が行うべき家族の長期的な資金管理を楽にすることを目的とする新しいアプリだ。生命保険の支払い能力をスマートフォンで聞き取ったり、5分で無料の遺書を作成したり、配偶者やパートナーと協力して重要な金融口座や重要書類の管理を行うなどのサービスを、すべてワンストップで提供することを目指している。さらに、親権者は遺産の受取人、子どもの後見人、弁護士、ファイナンシャル・アドバイザーといった人たちに、アプリで直接コーディネートできる。

同社は2015年、インターネット銀行Simple(シンプル)の元COO、Adam Erlebacher(アダム・アーレバッハー)氏と、Simpleの前データ担当ディレクターのSteven Surgnier(スティーブン・
サーニエ)氏によって設立された。同社は昨年、生命保険を数千世帯に販売した後、ベッセマー・ベンチャーパートナーズが主導するシリーズA投資1000万ドル(約10億9000万円)を獲得した。

設立以来、Fabricは、生命保険を超えて、簡単に遺書が作成できるサービスや、家族の財産情報や法的情報を一箇所で管理できるツールを増やすなど、その他のサービスを拡大してきた。その同社は、現時点での目的を、現在の多忙な親権者たちが代理店の人間に会って複雑な生命保険製品の説明を聞かなくても済む、よりよい方法を提供することだと話していた。その代わりにFabricは、10分間で簡単に生命保険を申し込めて必要ならば有資格の専門家の助言が得られるサービスを提供する。同じように、遺書の作成作業も簡便化してくれる。

彼らの古巣であるSimpleは、実際の銀行口座を他行に持つ人に便利な窓口を提供する企業だが、Fabricも、Fabric自身の生命保険を販売するのではなく、Aランクの保険会社Vantis Life(バンティス・ライフ)が提供しているものを扱っている。

これまでFabricの一連のサービスは、ウェブ上でしか利用できなかったのだが、今ではアプリで利用が可能になり利便性が増した。現在はiOS版が提供されている。Android版は準備中だ。

「家族を持つときや仕事を始めるとき、お金はとくに厄介な存在となります」とアーレバッハー氏。「Everyday Health(エブリデイ・ヘルス)の調査によると、アンケートに応じた人の52%が、お金の問題で常にストレスを感じていると回答しています。そして、お金にもっともストレスを感じているのが38歳から53歳までの人たちです。親権者たちは、家族の長期にわたる経済的健全性をもっと積極的に管理したいと思っていますが、今日の埃をかぶった古臭いツールでは、それが適いません」と彼は話している。

Fabricのアプリを使えば、親権者たちは同社が提供するあらゆるサービスの恩恵を受けられる。電話で生命保険に申し込めば即座に承認されるといったオプションもある。またこのアプリでは、保険の契約情報を紛失しないよう、受取人と共有することもできる。

もうひとつ、遺書を無料で作成して、例えば遺書の確定に必要な証人なども含む重要な人たちと共有できる機能もある。さらに、配偶者は遺書の複写を持つことも選択できる。これにより、同じ内容の遺書をもう一部作る手間を高速化できる。

またFabricでは、ありがちなことだが、手続きが間に合わないときや緊急時にも、両親の資産を一括管理することで対処できる。今日、仕事をしている大人たちは、銀行口座がひとつだけという人は少なく、投資口座、確定拠出年金の口座、個人退職口座、クレジットカードの口座などを合わせて持っていることのほうが多い。しかし配偶者は、その口座の情報や、どこに口座を開いているかを知らないことも少なくない。

私たちがこのアプリの性能を試してみたところ(生命保険は購入していないが)、とても使いやすかった。最初に、経済状況の概要を把握するためにいくつか簡単な質問に答える。そして、自分に合わせて作られたホーム画面が開き、次にすべきことを提案するチェックリストが示される。当然、そこでは生命保険の申し込みも勧められる。それがFabricの収入源なのだから仕方ない。もし遺書をまだ作っていなかったり、仲間に加えたい婚約者がいる場合も、それに対処する機能がある。

オンライン記入欄は、ウェブブラウザー版と違ってスマホ版では画面が小さくなってしまうのだが、有難い工夫によって簡単に記入できるようになっている。例えば、電話番号を入力するときはテンキーパッドが現れる。住所検索機能も統合されていて、該当するものをタップするだけで、残りの部分は自動的に記入される。途中で保存できるので、作業が中断されたときでも(親ならよくあることだが)、あとで続きを再開できる。さらに、Excuter(遺言執行者)といった専門用語の解説もあるため、どのような財産を譲渡しようとしているのかを理解しやすくなる。

こうした業務内容だけにFabricでは、銀行並みにユーザーの個人情報保護に気を配っている。256ビットの暗号化、2段階認証、自動ロック、生体認証、その他のアダプティブセキュリティー機能を備えている。

親や家族の資産計画を助けたり、遺書を作成したり、その他さまざまなサービスをiPhoneで提供している企業はFabricだけではない。この市場には他のアプリも存在する。遺書作成アプリには、Tomorrow、LegalZoom、Qwillなどがある。モバイル端末で利用できるサービスを提供する保険会社も多い。だがFabricがユニークなのは、ユーザーインタフェイスを複雑化することなく、遺書と保険とその他のツールをひとつの場所に統合したことだ。FabricのアプリはApp Storeで無料でダウンロードできる。

【編集部注】日本に拠点がない海外の生命保険に入ることは保険業法で禁じられている。

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(翻訳:金井哲夫)