“サードパーティの技術者集団”としてイノベーション創出に取り組むQueueが7000万円を調達

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ソフトウェアや自社技術の開発を行うテクノロジー企業のQueue(キュー)は12月11日、インソース、マネジメントソリューションズ、プルータス・マネジメントアドバイザリー、東大創業者の会応援ファンド、その他個人投資家より総額で7000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Queueは東京大学工学部出身の柴田直人氏らが2016年11月に創業したスタートアップだ。現在代表取締役を務める柴田氏は自身が在籍していた研究室でロボティクス領域の研究に取り組んでいたほか、2016年まで東大松尾研究室の共同研究員を務めるなど機械学習領域の知見も持つ人物。Queueには柴田氏を中心にソフトウェア開発者やコンピュータサイエンスの研究者などの技術者が約20名集まっていて、自社技術の開発やその技術を軸としたクライアントとの共同研究を進めている。

特にこれまでの3年間で力を入れていたのは、ソフトウェアによって業界に大きなインパクトを与えられるような領域でのプロダクト開発や共同研究だ。Queueのテーマとなっているのが「イノベーションデバイド(技術革新格差)」の解消。テクノロジーによるイノベーションが十分に進んでいないような業界のプレイヤーとタッグを組み、その分野の知見と先端技術を掛け合わせることで新たなアイデアを形にすることを目指してきた。

たとえば医療分野では東大病院とディープラーニングを活用して緑内障自動診断の共同研究を実施。この成果はNature Scientific Reportにも掲載されている。

「医療や製造業のようにテクノロジーによって大きなイノベーションを起こせるポテンシャルのある領域はまだまだ多い。そういった業界を変えていくには何が必要かを考えた時に、パートナーとして一緒に挑戦できる『サードパーティの技術者集団』がいれば面白いのではないか。そんな考えからスタートして、業界の専門知識を持ついろいろな企業と一緒にプロジェクトを進めてきた」(柴田氏)

Queueの1つの特徴は、得意領域である機械学習や画像解析などの技術をエンジンとして提供するだけでなく、アプリケーションに落とし込むところまでを担えること。柴田氏によると「エンジンをもらっても自社でプロダクト化できないで困っている企業もいる」そうで、そこも含めてサポートできるのが強みだ。

製造業向けSaaS「blue assistant」は、まさに創業70年の老舗機械商社である三栄商事との共同プロジェクトから生まれたプロダクト。機械学習を用いた類似度検索エンジンを独自に開発し、図面の検索に要する時間を圧倒的に短縮することで現場の業務効率化を実現した。

blue assistantの場合はQueueの自社サービスとして運営しているが、Queueの持つ技術をライセンス提供という形で組み込みプロダクトを一緒に伸ばしていくような形もあるそう。この辺りの細かい座組みは企業ごとによって異なるとのことだった。

今後はR&Dに加えて自社プロダクトの展開も

創業者の2人とCTOは東大の同期メンバー。引き続き「サードパーティの技術者集団」としてイノベーションデバイドの解消に取り組むほか、今後は自社プロダクトの開発も強化していく

今回Queueに出資している投資家陣は人材や財務、マネジメントの各領域でコンサルティング業を行なっている企業が中心。Queueとしては各社とも連携しながら「テクノロジーの実装業」にフォーカスしてさまざまな業界の課題解決を継続しつつ、今後は自社単独で開発するプロダクトにも力を入れていく方針だ。

その1つとして最先端のプロダクトやサービス、アイデアに関する情報をデータベース化した「SUNRYSE.」を開始した。このサービスでは50カ国300以上にわたるスタートアップのサービス内容やビジネスモデル、技術的な特徴などをまとめて提供する。

「Crunchbase」などのようにファイナンスの情報がメインではなく、プロダクトやアイデアに焦点を当てていることが特徴。新しいアイデアを出す前段階として「まずはチーム内でイノベーション事例を共有しながら知識をアップデートし、議論を深めていく」ためのツールとして企業向けに展開する。

料金は1ユーザーあたり月額5万円からで、すでに上場企業など約10社で導入が決まっているとのこと。現時点ではアイデアをストックできるボード機能やコメント機能などシンプルな機能が多くデータベースとしての色が強いが、今後はチーム内でのコラボレーションを加速させる仕組みを加えながらSaaS型のプロダクトとしてアップデートしていく計画だという。